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未来の挑戦者へ 第38回日産童話と絵本のグランプリ 絵本の部大賞 ホソカワレイコさん

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未来の挑戦者へ
受賞者が未来の挑戦者であるあなたに向けてメッセージを送ります。今回は日産童話と絵本のグランプリ 絵本の部で大賞を受賞したホソカワレイコさんです。
第38回
日産童話と絵本のグランプリ

1984年に創設されたアマチュア作家を対象とした創作童話と絵本のコンテスト。入賞作品のレベルの高さには定評があり、現在では、新人作家の登竜門と称されている。第38回の絵本の部の応募総数は347点。

規定童話の部:400字詰原稿用紙5~10枚。
絵本の部:画材・技法・大きさ・判型自由。絵と文の共作可。

童話の部:大賞1編=50万円、ほか
絵本の部:大賞1点=70万円、ほか
大賞に選ばれた作品は出版され、全国の図書館、幼稚園、保育園などに寄贈される



 はじめまして。第38回日産童話と絵本のグランプリの絵本の部で大賞を頂きましたホソカワレイコと申します。これを読んでくださった方が絵本コンテストに挑戦されるときに、何かのお役に立てれば幸いです。

 絵本の魅力は、映画監督のように、絵の場面構成やストーリー展開を自由自在に自分で決めて制作ができることだと思います。お話の中の切り取られた1つの場面を、どのアングルで、どんな構図で1枚ずつの絵に展開していけば魅力的な作品になるか試行錯誤していくことは、大変な作業ではありますが制作の面白みでもあります。

 制作において、まず絵本のアイデアの着想が重要になります。私の場合ですが、息子たちがおいしそうにみかんを食べる様子からみかんを題材にした絵本で息子たちを喜ばせたいと考えました。そんなときにスーパーで、ほかの果物に比べて雑に山積みにされているみかんを目にし、不平等な世界に生きる人と重なる部分があると感じたのです。そこから着想していくなかで、このお話は今までの作品の中でもオリジナリティーがあり、面白いものができるとどこか確信があったように思います。

 皆様もちょっとしたきっかけが絵本づくりの着想につながると思いますので、ぜひ日頃から創作のアンテナを張るようにしてみてください。

受賞作 
「みかんきょうだいのたんけん」

STORY

スーパーマーケットで、ぎゅうぎゅうにビニール袋に入れられていた「おにいちゃんみかん」と「おとうとみかん」は袋を破って探検にでかけました。お菓子売り場でチョコレートを手に入れ、レジに行ってバーコードを読み取り、レジの台の下に落ちている丸い形をしたものをレジに入れました。それから2人でチョコレートを食べ、元のところへ戻りました。次の日、男の子とお母さんがみかんきょうだいの入った袋を買いました。

 絵本コンテストに応募される方なら誰しも「絵本を出版したい」という想いをお持ちだと思いますが、大切なのは、作品が自己満足でひとりよがりな世界観になっていないか、ということです。客観的に見て誰もが面白いというものが作れていないと、コンテストで審査員の方の目には留まりません。私は4回目の応募で受賞できましたが、それまでの作品は賞がとれず、客観的に見れていない作品ばかりでした。

 人気の絵本というのは子どもの心を魅了する良さがあります。あるとき、プロの方の絵本と比べると、私の作品はお話が盛りだくさんになっていて、結局何を伝えたいのか分からないお話になっていると気付きました。それからは一番分かりやすい起承転結でお話を作るように心掛けていきました。そして絵本の意味や役割などが書かれた本を読んだり、できるだけ多くの絵本を読んで、使われているレイアウトの視覚的効果や、イメージにおける配色などを知識として入れることで、表現の幅を持たせるように工夫しました。

 最後に、絵本の読者である子どもたちがわくわくしながらページをめくることを想像して描くことも大切だと思います。ここの場面で笑ってくれる子がいるかなと想像しながら描くと、自分も楽しく制作できるように思います。

スーパーで山積みにされているみかんから着想を得た受賞作。みかん1つ1つに個性があると想像すると、日々のお買い物がちょっと楽しくなりそう。

ホソカワレイコ

1982年、兵庫県生まれ。京都精華大学芸術学部デザイン学科卒業後、パッケージデザイナーなどを経てフリーランス に。好きな作家はリスベート・ツヴェルガーなど。