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せきしろの自由律俳句 第58回「木」結果発表

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川柳・俳句・短歌・詩
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せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず(定型ではなく)、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

 

結果発表

第58回 課題:木

 

せきしろの一句

木が倒れてさらに廃屋

 

最優秀賞

おみくじ結ばれ戸惑う隣の庭木

(東京都 天野ボンド 46歳)

おみくじを引き、結ぼうとしてもほぼ埋まっていて、近くの木に誰かが結び始めるのだがまたそこがいっぱいになる。その連鎖は続き、「ここに結ぶの!」と驚くところに結ばれているのを発見する時がある。

 

 

優秀賞

良い枝を拾って少し幸せ

(北海道 ぶんぶん丸 15歳)

良い枝かどうかの判断は完全に個人の感性に委ねられるもので、人の数だけ良い枝が存在するだろうが、なぜかどれも「これは良い枝だ」と納得してしまう気がする。良い枝拾い対決をやりたい。

 

 

半紙からはみ出しそうな木のびのび育て

(北海道 エリンギ 34歳)

半紙の中に文字を収めたり、画用紙の中に対象を綺麗に収めたり、限られた枠の中で作品を完成させること以外できなかった私は、自由奔放に字を書いたり絵を描いたりする友人が羨ましかったことを思い出した。

 

 

佳作

本物かどうか確かめる
(島根県 ヒロ 17歳)

はしごの上で木を切る祖母
(福島県 きりんのき 19歳)

アイスキャンディーの後味
(新潟県 胡桃 30歳)

クレヨンでリンゴを付ける母
(石川県 道願麻子 41歳)

人気のある先生が枝を杖に
(長崎県 毎日ハッピ― 45歳)

固まった樹液がひんやり
(大阪府 葱山紫蘇子 45歳)

なりたての切り株沿いを歩く
(秋田県 紀野珍 46歳)

生意気な枝を折る
(群馬県 伊藤どらやき 47歳)

木彫りの鷲が引っ越していく
(千葉県 xissa 56歳)

イルミネーションを外す業者
(宮城県 ピザを切るハサミ 18歳)

二十年前なら拾っていた枝
(大阪府 フルカワ 30歳)

母と名前を覚えた木だ
(神奈川県 ひとにゃ 30歳)

呪われたみたいに曲がっている
(岐阜県 次元 30歳)

木漏れ日は私をヒロインにさせる
(北海道 Y 31歳)

あの木を越えたらホームランのルール
(鳥取県 きゅうりのたこよ 31歳)

なんの木かすぐ言えるのが大人
(東京都 しまこう 34歳)

一本杉としか呼びようの無い一本ぶり
(大阪府 石川聡 40歳)

ふと見上げると季節
(東京都 稲葉智子 42歳)

木にもたれかかる14インチの自転車
(愛知県 ミワサン 43歳)

年輪を10まで数えてやめる
(大阪府 石川かるた 47歳)

上った先に空
(東京都 めぐっち 48歳)

誰かによく似ている冬木
(北海道 三歩 69歳)

セミの抜けガラをつけたまま秋
(富山県 ポクリン 55歳)

木にとまる鳥の名前に詳しい父だった
(福岡県 大石聡美 43歳)

 

今月の総評

『本物かどうか確かめる』は木に限らず、造花も食品サンプルも同じである。『はしごの上で木を切る祖母』から郷愁と同時に不安や危なっかしさを感じるのは「祖母」の文字があるからだろうが、この祖母は自分より年下の可能性もあることに気づき、時の流れを実感した。『アイスキャンディーの後味』は木の棒の味を思い出させる。「あたり」であってもそうでなくても終盤に感じたあの味だ。『クレヨンでリンゴを付ける母』は優しい句であり、『人気のある先生が枝を杖に』には懐古がある。どちらも記憶の奥をくすぐる。『固まった樹液がひんやり』からは質感が伝わってくる。『なりたての切り株沿いを歩く』『生意気な枝を折る』は表現とチョイスが印象的だ。『木彫りの鷲が引っ越していく』からは「木彫り」とか「鷹」と書かれた段ボール箱が運ばれていく光景が浮かぶ。

 

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

 

イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト

募集要項


自由律俳句は、定型(五七五)ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム(律)のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

 

応募規定

定型(五七五)でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「年齢」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定

作品は未発表作品とし、採用作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

応募者に弊社から公募に関する情報をお知らせする場合があります。

最優秀賞1点=5000円(商品券)

優秀賞2点=2000円(商品券)

佳作10点=記念品

公募ポイント

mottomo会員の方は、ログイン後WEBから応募するだけで自動的にポイントがたまります。

応募者全員=5pt追加

【最優秀賞】 さらに50pt追加

【優秀賞】 さらに30pt追加

【佳作】 さらに10pt追加

※応募者全員ポイントの付与は各回ひとり1回までです。

※ポイント付与は結果発表の時期に行われます。

募集中のお題

第60回「バス」

応募期間 ~1月20日

 

第61回「おわり」

応募期間 1月25日~2月20日

発表

第60回 2022年3月15日 WEB上

第61回 2022年4月15日 WEB上