「すごい」やっぱり落選してましたね。まあ仕方ないか。 九月は投稿してないのでこれで今年発表分はおしまいですね。今年は選外佳作が2作。 佳作すら遠のいているな………
- 島本貴広
- 島本貴広
39回小説でもどうぞ応募しました。脳が死んでて文章書けない状態に陥っていましたがなんとか完成させられた………
- 島本貴広
落選供養企画黒田さんからのコメント抽選漏れたようだ残念。大変かと思いますがまた企画してくださると投稿へのモチベが上がりますのでよろしくお願いいたしますm(_ _)m #第35回どうぞ落選供養
- 島本貴広への返信島本貴広
齊藤さま いっそのこと日本を舞台にせず偽札が横行している架空の国にするということも考えましたが、それで今回のオチにきれいにつなげられるかと問われると……むずかしい!ってなりますね。ここが突破できれば面白い作品になるのでしょうが(笑) 話を作ってよしこれで行こうと決めて、その後書いてるときが(話が面白い面白くないかはさておいて)私にとっては一番楽しい時間です。 10月の課題も書き始めました。遅筆なので下旬完成になると思いますがなんとか書いて投稿したいと思います。
- 島本貴広への返信島本貴広
齊藤想さま はじめまして、落選供養作品を読んでいただき、さらに感想までありがとうございます! 「どうぞ!」入賞常連の齊藤さまに読んでもらえて光栄です! 添削では最初に破り捨てた偽札を宇宙人に渡して作ってもらったということにすればよかったのでは?ということが書かれておりやっぱりそうした方がよかったのか…と思いました。 ただ一人の画家が最新のお札に組み込まれてるホログラムの技術などを筆だけで再現できるか?と考えたときに無理があろうと思ってしまい今回の作品になりました。新1万円札が出たばかりだからそれを使おう!というこだわりを捨てればよかったなと(笑) 小説でもどうぞ!はほぼほぼ毎月投稿してます。(投稿できない月もありますが) 次月「すごい」は投稿してますがどうかなあ……。選外佳作以上に入ってたら是非読んでやってください(笑) 齊藤さまの作品も毎回面白く次も楽しみにしてます!
- 島本貴広
(毎回ですが)遅ればせながら落選供養です。添削受けましたが小道具のお札の使い方に問題があるということでした。もっと他に問題点があると思っていましたが、指摘された点は納得しました。やっぱりオチだけに力を入れてはダメですね(苦笑) #小説でもどうぞ #第36回どうぞ落選供養 タイトル:絵画とお札と宇宙人 画家の横山は渋沢栄一を肖像画にした一万円札を目の前に掲げた。それは横山の手で描いたものだった。「金が無いならお前の手で描けばいいんじゃないの」などと酒の席で友人の岡本に言われ、真に受けたわけではないが興味で描いてみた。財布からほんものを取り出し、比較する。パッと見はほとんど同じに出来た。が、手触りや3Dホログラムの部分などですぐに偽札だとバレてしまうだろう。そう思い破り捨てた。 破り捨てたところで家の呼び鈴が鳴った。郊外にあるぼろ民家を格安で借りていて普段は誰も来ないから珍しかった。出ると、そこにいたのは身なりの整ったアタッシュケースを持ったスーツ姿の男だった。 「突然すみません。こちらは横山さんのお宅でしょうか」 「そうですが」 「よかった。実はわたし、あなたの絵を買いに来たんです」 横山はおどろいた。まさか無名画家のじぶんに直接お客が訪ねてくるなんて。はじめてのことで戸惑ったが、男を家にあげることにした。 「きょうはどちらからおいでになったのですか」 テーブルについたところで横山はそう訪ねた。 「ええとですね、この惑星の外から来たのですが」 「え?」 横山は言葉を失った。男もまた口を開かない。お互いに無言のまま時間が流れた。横山が怪訝な顔をしていたのを見て、男は慌てはじめた。 「すみません、とつぜんこんなことを言って。でも、ほんとうなのです」 「そうは言ってもね、あなたはふつうの人に見えますよ」 「そうですね、ではあちらをみてください」 男が窓の外を指さしたので見ると銀色の麦わら帽子のようなものが飛んでいるので唖然となった。なんでもいま目の前にいるスーツの男はたまたま近くを通りかかったひとで、遠隔で操ってしゃべらせているのだとか。それで横山は男が宇宙人なのだとすっかり信じた。 「あなたはさっきぼくの絵を買いにきたと言っていましたね」 「はい、わたしはいろいろときれいなものや珍しいものを集めていまして、この惑星にも美しい絵を描く画家がいると聞いたのでやってきました」 コレクターか。しかし、そんな彼がどうしてじぶんを訪ねてきたのか。 「そうなんですか。だけどぼくは無名です。もっと有名な画家はいくらでもいるのにどうしてここに?」 「え、あなたは高名な画家だと聞いていたのですが」 「ぼくを誰だと思ってますか?」 「あなたは横山大観という方ではないのですか」 横山は思わず失笑した。確かに下の名前は大寛で似てはいるが、人違いだ。そもそも横山大観はとうの昔に亡くなっている。 「ぼくは横山大観では……」 そこまで言って横山は口を噤んだ。ふと、この宇宙人を騙せるのではないかと考えた。 「いえ、その通りです」 堂々と嘘をついたが、男はうたがうことはなかった。 横山は自身の絵を何枚か紹介した。横山もまた、大観とおなじく日本画を描く画家だった。学生のころ見た、横山大観の『紅葉』に心打たれて画家を志した。 男は何枚かをじっくりと眺めては「素晴らしい絵ですね」などと感嘆の声をあげていた。そののち、一枚の絵を買いたいと申し出てきた。『紅葉』を模倣して描いた風景画だった。 「お代はこちらで足りますか」 男がそう言うと持ってきていたアタッシュケースを開けた。そこにあったのはケースいっぱいの硬貨で、見たことのないお金だった。 「これはどこの国のお金ですか」 「これはわたしたちが普段使用している通貨です」 と言うことはどこの国のものでもない、宇宙のお金ということらしい。これをもらっても使い物にならないはずだ。 「ええとですね、これで払って欲しいんです」 横山は財布から一万円札を取り出すと、男に見せた。男はそれをしげしげと見つめた。 「こんなのは見たことがないです」 「それでしか受け取れません。いいですか、このお金と全く同じのを用意してください」 男は深く考え込んだ後、「わかりました、用意します」といってその場は帰って行った。 一週間後、男は横山が指定した通りに一万円札の札束をアタッシュケースに大量に詰め込んでやってきた。どうやって用意したかは知らず、偽札を持ってこられたかと思ったが手触りやホログラムの部分を見るに真札にちがいなかった。 「ではこれで」と男は言うと、満足そうに横山の絵を持ち帰って行った。横山の手元には大金が残された。 横山は絵が売れたことを友人の岡本を家に招いて話すことにした。 「へえ、絵買ってもらえたのか」 「現金一括でね。大金が手に入ったからこれで当面の生活には困らないよ」 さすがに宇宙人に買ってもらった、などとは話せなかった。 「でも今どき現金で大きな額を払うなんてな。偽札じゃないか?」 そうからかってくる岡本にむっとなった横山はアタッシュケ―スごと持ち出し彼の前に差し出した。岡本は大量の一万円札を目の前にびっくりした様子で手に取っていた。 「偽札でもなんでもないだろ?」 「確かにほんものみたいだ」 パラパラと札束をめくる岡本。だが次第にその顔が険しいものになっていった。 「横山、こりゃやっぱり偽札だぜ」 「なんだと? どうみてもほんものだろう」 「いや、確かにほんものっぽいけどさ、お札の番号がぜんぶいっしょだ」
- 小説でもどうぞ【公式】への返信島本貴広
本日発表のは第36回ではないでしょうか?
- 島本貴広
昨日締め切りだったどうぞ!の「サプライズ!」は書けなかったため見送りました。代わりと言っては変ですが過去にTO-BE 小説工房に応募して落ちた作品を一部改稿して坊っちゃん文学賞に投稿しました。年明けに発表とのことなので座して待ちたいと思います。
- 島本貴広
お題「アート」落ちました。自信そこそこあったんですが何がダメだったんでしょうか。添削に申し込んであるので勉強したいと思います。
- 小説でもどうぞ【公式】への返信島本貴広
冗談のつもりで言ったのですがなくはないとのことで期待しています笑 今後も投稿させていただきますね
- 小説でもどうぞ【公式】への返信島本貴広
ほんとに敗者復活戦ですね笑 なかなかありがたい企画だと思いました。今後も是非お願いします。 ところで敗者復活戦の敗者復活戦はないでしょうか?
- 島本貴広への返信島本貴広
陽心さんありがとうございます。前回が20日だったのは覚えてたので勝手にそう思ってたんですがけっこうばらついてるのですね。 お題はたぶんですが編集部(黒田さん)が決めてるのではないのかなと思いますが下読みの方も関わってそうな気がします
- 島本貴広
W選考委員版小説でもどうぞ!の次回お題まだ発表されてませんね。勝手に今日辺りかなと思ってましたが…… まあそもそもその前にサプライズ!の原稿すらまだ書けてませんが
- 島本貴広
出来が酷すぎるので落選供養としてアップするつもりはありませんでしたが、せっかくの企画ですので投稿したいと思います。 終盤YouTuberの下りが出てくるのですが物語前半で「颯太は今流行りというYouTuberを見てゲラゲラと笑っていた」ぐらいは書いて触れておくべきでした。あと「名人」というよりかは「悩み」というテーマの方がしっくりきますね。よろしくお願いいたします。 #第35回どうぞ落選供養 タイトル:二分間の名人 氏名:島本貴広 浅次郎は孫との接し方でなやんでいた。孫は颯太といって普段は首都圏に住んでいた。対して浅次郎は地方に住んでいて、東京からは新幹線と在来線を乗り継いで片道数時間はかかった。そんなだから普段は息子夫婦が帰ってくることはめったになかった。またここ数年は新型の感染病で行動制限されていたこともあってまったく会えなかった。最後に会った時は小学生だった颯太ももう中学生になったというのだからあっという間だと思った。 そんな息子夫婦と孫に再び会うことになったきっかけは大震災だった。激しい揺れは浅次郎の家をあっけなく倒壊させた。幸い出かけていて家に押しつぶされるということはなかったが避難生活を余儀なくされた。そんな折、心配した息子夫婦が一室空いているからと呼び寄せてくれたのだ。 学校も夏休みになる八月。浅次郎はひとり携帯ゲーム機でゲームをやる孫を前に腕を組んでいた。颯太はゲームの世界に没頭するためかイヤホンを付けていた。息子夫婦が建てた家に住まわせてもらってからはや一ヶ月。それなりの時間が経ったが、颯太とはほとんど交流できていなかった。 「颯太。ゲーム、よくやるのか?」 「え? ああ、うん、そうだね」 イヤホンを外して背伸びをしていた颯太に声をかけても返事はしてくれるが、それ以上はない。話が広がらなかったから、もどかしかった。だが、浅次郎は諦めない。 「ゲームやりすぎると母さんに怒られんか?」 「うん、そうだね。いまは一日一時間までなんだ」 どの時代でもそうなるのかと浅次郎は思った。何気なく浅次郎は颯太に近寄る。彼がやってたゲームを見て「うぉ」と声が漏れた。孫が遊んでいたのはリズムゲームだった。しかも、浅次郎が若い頃の数十年前に出てゲーマーの間では流行ったタイトルだ。 「懐かしいものをやってるな」 「昔の懐かしゲーム特集みたいなので買ったんだ」 それを聞いた浅次郎は時の流れを感じた。このリズムゲームは当初はスマホゲームとして出たものだ。画面上部から降ってくるノーツをタイミングよくタップすることで連続コンボを狙う。タイミングぴったりならぱ【Perfect】、少しズレたら【Great】、さらにズレたら【Good】でこれが出るとコンボが途切れてしまう。 「颯太はけっこう出来るのか?」 「うん、けっこう得意だよ!」 颯太の顔に笑みがこぼれている。先ほどまでのそっけない態度がうそみたいだ。 「見てて」 颯太はそう言うと曲を選択した。選んだ曲はゲームの中でも最難関とされる曲だった。 「それは……」 「知ってるの? すごい難しいんだよ。いまだに一番むずいエクストラモードじゃフルコンボ出来ないんだ」 二分間、孫がプレイしてるのを見ていたがなかなかの腕前だった。ただ曲の難しさも相まってコンボは繋がっていなかったけれども。 颯太のプレイ結果。 Perfect:857 Great:210 Good:88 「うーん、やっぱり難しいな」 「いや、けっこう出来てると思うぞ」 「ぜんぜんだよ。もっと上手くなりたいんだけどなあ」 上手くなりたい。その気持ちはよくわかる。浅次郎の中でコツを教えてやりたい欲が疼いて仕方がなかった。 「どれ、俺がもっと上手くやれるやり方を教えてやるよ」 「え、おじいちゃん出来るの?」 小馬鹿にしたような言い方に浅次郎はさすがにムッとなる。 「どう言う意味だ」 「だっておじいちゃんもう六十五歳なんでしょ? 歳とるとこういうゲームはきついんじゃない?」 我が孫ながら生意気なことを言うやつだと思った。ここまで言われては浅次郎のプライドが許さなかった。 「いいから貸してみなさい。そんでよくみてなさい」 「わかった」 渡されたゲーム機の画面を見つめる。颯太が遊んでいたのと同じ曲を選択して難易度はエクストラモードを選択。音楽が流れ始める。さいしょは曲調はゆっくりで落ちてくるノーツ数も少なかった。うん、いける。始めの十秒で感覚は戻った。ノーツの密度が段々とあがってくる。 「おじいちゃん、すげえ!」 浅次郎のプレイを見ながら颯太が歓声をあげた。 浅次郎のプレイ結果。 Perfect:1015 Great:140 久しぶりだったからか危なげないところもあったがフルコンボをキメられた。それこそ最盛期にはオールパーフェクトのフルコンボなんて余裕だったのだが。 「すごいじゃん。昔やってたってことだよね」 「まあな」 キラキラと目を輝かせる颯太を前に浅次郎は得意げだ。 「なんで今までゲーム得意だって言わなかったの?」 「別に言わなかったわけじゃない。言う機会がなかっただけで……」 浅次郎はそう言ったが内心では自分でも白々しいなと思った。浅次郎は昔YouTubeで『アサジ』というハンドルネームでゲーム配信をしていたYouTuberだった。ゲームの腕前は名人級で喋りもおもしろく人気を博した有名人だった。だが、既婚女性との不倫騒動を起こしてからは人気も落ちYouTuberも引退した。今でもあまり掘り返したくない過去だが、何よりもその不倫相手の女性が今の息子の母親、つまり颯太の祖母なのだ。それを颯太が知ったらさすがにショックだろうと思う。だから、自分がアサジだと悟られずにどう説明したものか。颯太と仲良くなれそうなのは好ましいことだが、果たして今後はどうしていこうかとそればかりを考えていた。 (了)
- 島本貴広
どうぞ落選供養の作品が募集メールのあとになんか一気に増えましたね。すごいな。
- 島本貴広
8月に送った、『すごい』の作品を読み返していたら 山本は思わず口走った。 「すごいな、おまえ」、と。 と書いていたのですがこれだと呆れて思わず皮肉を言っちゃったみたいな感じになりますね……ほんとうは称賛の意味での「すごい」なのですが……。 あと「思わず口走った」だと二重表現になるんじゃないかなこれ。
- 島本貴広
今さらながらですが投稿いたします。最後というテーマでは暗くなるなと思い、明るい感じにしたかったんですがうまく行かず落ちがいまいちな(というか意味不明な)ものになってしまったかなと思います。 #小説でもどうぞ #第34回どうぞ落選供養 夕方のことだった。男子大学院生が人通りの少ない道を歩いていると物陰から白のジャンパー男が飛び出し倒れ込んできた。おどろいた院生は倒れた男の顔を恐るおそる覗き込んだ。顔は、まだ、若い。自分とはそこまで離れてなさそうだった。痛めたところがうずくのか苦悶の表情だ。 「だいじょうぶですか?」 「う、うるせえ」 乱暴な口調だ。男はゆっくりと起き上がるとよたよたと歩き始めた。左足を引きずっていて歩きにくそうだった。 「あの、病院とか行った方がいいと思いますよ」 「うるさい。ついてくるな」 「でも、その左足折れてませんか?」 「……折れてねえ」 その後も何度かやり取りを交わして病院へ行くよう説得を試みたが男はどこまでも頑なだった。もう構わない方がいいだろうか。そう思ったが院生は男のことを放っておけなかった。 「わかりました。じゃあ病院はいいです。その代わりに手当てだけはさせてください」 「はあ? だから良いって言ってるだろ」 「さすがにけがしてるひとをこのまま見捨てたら寝覚めが悪いです」 男はそう言われると、逡巡したあと「じゃあ」とだけつぶやいて院生についてきた。 院生の自宅マンションは男と出会った場所から五分ほどのところだった。たいしたことはできない。せいぜい男の顔や腕にできたすり傷にオキシドールで消毒しておおきめの絆創膏を貼り付けてやるくらいだ。折れているかもしれない左足はネットで調べた骨折時の応急手当てのやり方を見よう見まねで施した。 「だから別に折れてねえよ」 「折れてなくてもヒビが入ってるかもしれません。やっぱり病院まで送りますから」 「病院には行かねえよ」 「さっきからそれ、なんでなんですか?」 院生は叱る親のような口調で男に問い詰めた。 「保険証も金もないからな」と、男は目線をそらしてぼやくようにに答えた。 なるほど、もしかしたら無職のひとか。院生はそう納得した。 「あんた、法学部の大学生?」 男は院生の部屋を見渡していた。目線の先には参考書が詰まった本棚がある。 「法学部は卒業してます。いまはロースクールに行っていて」 「検察とか目指してるのか?」 「いえ、弁護士です」 そこまで聞くと男は無理やり立ち上がった。トイレかと思ったが、玄関の方へと向かっていく。 「じゃあな世話になった。ありがとうよ」 「え、どこいくんですか」 「帰る」 院生はあわてて引きとめた。 「だから、その引きずった足じゃ無理ですって」 「お前もしつこいな。余計なおせわだと……」 痛みが走ったのか男の言葉は途切れた。院生はその姿をみかねて「もう夜です。きょうは帰れないでしょうからここに泊まってください」と言った。 「正気か?」 男は信じられないと言った表情で院生を見つめた。 「はい。外も寒いですしね」 院生は窓の外を見るように部屋の方を振り返った。カーテンの隙間から見える外は暗い。すると男は無言のまま院生の横を通って部屋へと戻った。部屋の隅っこまで行くと、そこで何も言わず腰をおろしてそのままうつむいた。院生はそれをみてほっとした。 その晩はLサイズのピザをとってふたりで食べた。男はあまり手をつけなかったが、それでも何切れかは食べていた。 零時を周り、寝る時間となった。男は座っていた場所でそのまま寝ようとした。院生は毛布を一枚貸した。電気を消し、眠気が深まってきたときだった。男は突然、院生に尋ねた。 「お前、なんで弁護士になりたいんだ?」 「そうですね、やっぱり困って弱ってる人を助けたいからでしょうか」 「俺を助けたのも、それが理由か?」 「はい」 「そうか」 「ところで、あなたはなぜあんなところにいたのですか? けがはなぜしたんですか?」 院生の問いに、男は何も答えなかった。寝てしまったらしい。院生もそのまま目を閉じ眠った。 朝。うめき声が聞こえ、院生は飛び起きた。男の顔を見ると汗が吹き出していた。痛みが増したようだ。どうしようと思っていると、「おい」と男が声をかけてきた。 「寝る前の質問に答えてなかったな。俺はなずっと盗みをはたらいてきた。きのうも、民家に侵入して金を奪おうとしてたんだ」 院生はなにも言わず、男の目をじっと見た。男も院生から視線をはずさなかった。 「だれもいない時間を狙ったはずだが、なぜか住人がいてな。外まで逃げたが捕まって揉み合いになって、階段から落ちた」 「それでけがしたんですね」 「そうだ。ダサいよな」 痛み止めを渡すと男は一気に飲み込んだ。 「警察、行きましょう。逮捕されますが治療は受けられるはずです」 男はすっかり観念していたのか、院生の言葉に何度もうなずいていた。 男は警察に行く前にシャバで最後の飯を食いたいと言った。何が食べたいか聞くと「牛丼」と答えたので、近くにある牛丼屋で弁当を買ってきた。痛み止めがいくらか効いているのか、男の顔はおだやかだった。 特盛の牛丼を食べながら、男がぼそりとつぶやいた。 「俺もこれで最後。人生終わりだな」 それを聞いた院生は首を横に振った。 「なに言ってるんですか? 生きてる限りいくらでもやり直しは出来ますよ」 「バカ言うな」 「ほんとうですよ」 院生のやけに自信に満ちた言い方に男は思わず顔をほころばせた。 「……そうか、お前がそういうならそうなんだろうな」 その顔はとてもうれしそうだった。
- 島本貴広への返信島本貴広
やはり一作の方だけが多い感じでしょうかね。
- 島本貴広
W選考委員版小説でもどうぞ「さだめ」に応募しました。さいしょにワード横書きで書いて原稿用紙カウンターのサイトで枚数を確認して縦書きの応募用ファイルにコピーするのですが五枚のはずが六枚だったことが判明。締め切り二十分前だったので急いで削りました。これが吉と出ればいいですが………。 とりあえず使っていたカウンターサイトのブックマークは削除しました。笑
- 島本貴広
つくログを見てると「小説でもどうぞ」には皆さん複数作投稿されてる方が多いようですが一人あたりで平均すると何作投稿されてるんでしょうかね。自分も毎回複数投稿したいですが量産できるタイプではないので……(調子いいと二作は投稿できますが)
- 島本貴広
「小説でもどうぞ!」の8月入選作読めませんね(リンク踏むと先月のが出てくる……)