あなたとよむ短歌 vol.9「推敲の大切さ」と「落選したときの気持ち」
「推敲の大切さ」と「落選したときの気持ち」
こんにちは、柴田葵です。
かつてない状況だった2020年も終わろうとしています。
この年末年始も、手洗い・うがい・おうち時間を大切に、公募に取り組んでみてはいかがでしょうか?
それではさっそく「公募に応募したものの入選を逃した短歌作品」を、一緒に読んで・詠んでいきましょう!
読売新聞にある短歌コーナーへ投稿された作品です。このような、いわゆる「新聞歌壇」は全国から作品が集まる激戦公募のひとつ。
短歌歴が長い人や投稿常連者も多く、レベルが高いのが特徴です。何度か応募して入選しなくても、めげずに投稿を続けてみましょう。
クッキーママさんの短歌。私は素晴らしいと思いました。
「亡き母の使い勝手の高さ」の家具は、母の生きていたころの日常や、母の背格好を思い出させる唯一無二のものです。
しかし、いざ処分するとなると「木製家具」というカテゴリーに該当し、500円の費用が発生する。
母への想いと現実的な死後の処理。切なさが迫ります。
下句が特徴的です。助詞の「の」以外がすべて漢字表記のため、視覚的にも硬く事務的な印象を与えます。
上句の「使い勝手の高さ」というのも、気取らない生活感にあふれています。全体を通して言葉の選び方が見事です。
この作品をご紹介する上で、自分ならどう推敲するかなと考えました。推敲は作品を仕上げるのに欠かせません。
たとえば、「木製家具」をもっと具体的な言葉にしてみたらどうでしょうか?
これは元の「木製家具」の方が断然いいですね。
「裁縫台」では「母」の思い出の温もりが残ってしまいます。裁縫台でも植木台でも一律「木製家具」として処理されてしまう、その事務的な冷たさが下句の要だからです。
また、漢字3文字の「裁縫台」よりも4文字の「木製家具」の方が、視覚的にもより重苦しい雰囲気が出ます。
このように、推敲して出てきたアイディアはいくらでも書き出してみるのが大事です。「書いては捨てる」を繰り返して、一首を完成させましょう。
さて、私はこの作品に惚れこんでしまいましたし、技術的にも長けている作品だと思います。
しみじみ魅力的な一首です。今回は作品に対して言えることはなさそうです。
「推敲をしたらどんどん書き出すこと」そして「何百、何千から選出される公募で落選した短歌も、別の誰かには感動を与えられるかもしれないこと」。
公募で落選したら、結果は結果として受け止め、しかし落ち込みすぎずにいたいものです。自分の一首を完成させることができて、自分でその一首を好きになれたら、それだけでも楽しいことだと思います。
引き続き、一緒に「読む・詠む」短歌を募集中です。コンテストだけでなく、新聞歌壇、雑誌投稿、WEB投稿の短歌(投稿できなかった短歌)もお待ちしています!
応募規定 | ペンネームと、入選を逃した公募タイトル・応募した作品・お題やテーマ(ある場合のみ)をお送りください。 |
応募方法 | 応募フォームもしくはTwitterでご応募ください。Twitterの場合は公募ガイド公式アカウント「@kouboguide」をフォローして、ハッシュタグ「#あなたとよむ短歌」をつけてツイートしてください。 |
賞 | 採用1点=公募ガイドONLINE上で講評・アドバイス、金券2000円分進呈 |
締切 | 常時募集 |