「黒板アート甲子園」受賞校が決まりました!
黒板-白板メーカーの日学株式会社(東京都品川区)が主催する「日学・黒板アート甲子園2020」の各受賞校が決まりました!
例年は春先に募集していたところ、今年は新型ウイルスの影響で変則的な募集時期になったり、授業の遅れを取り戻す必要があり、例年以上に課外活動に取り組んでいただくのが難しい状況だったとのこと。
そんな中、締切の時期が変わったことで花火やヒマワリといった夏を想起させるモチーフを描いた作品が増えたりなど、変化も感じた大会となりました。
メイン大会(黒板アート高校生) 最優秀賞
好文学園女子高等学校(大阪府)
ボッティチェリの「春」という作品をオマージュし、いつもの春の楽しく気持ちも踊るような日常を描きました。コロナ禍の影響で普段当たり前のようにできていたことができなくなってしまったことや、自分たちの失われた日常への気持ちを黒板に込め、楽しげな雰囲気を表現しました。
<審査員長 武蔵野美術大学 三澤一実 教授 コメント>
ボッティチェリの「春」をオマージュした作品で、高校生の楽しそうな様子がリアルに描かれ、これから新しい生活が始まっていくようなイメージを与えてくれる作品です。今年の春は新型コロナウイルスの影響で、こういう楽しい雰囲気はありませんでしたが、見る人を非常に前向きな気持ちにさせてくれるパワーがある作品だと思います。細かいところまでこだわりを持って描き込まれているのも魅力的で、全審査員とも最優秀賞に異論がありませんでした。
メイン大会(黒板アート高校生) 優秀賞 3作品
埼玉県立大宮光陵高等学校
高校生になり初めての黒板アートです。これから色んな事を経験して、無色から様々な色に染まっていきたいという想いを込めました。森の賢者と呼ばれる梟の大きく羽ばたく様子で、私達の大きく成長しようという気持ちを表現しました。
香川県立善通寺第一高等学校
完成したのは夏休みの最終日!次の日から授業が始まるので、皆で製作した作品をたった一日で全て消さなくてはならず、黒板消しで消している時にとても悲しい気持ちになりました。
しかし、今回この5人で協力して最後まで投げ出さずに一つの作品を作り上げた経験は大人になってもきっとずっと忘れない価値のあるものになったと思います。
※スペースの都合上、抜粋しました。954文字の全文は大会サイトをご覧ください。
福島県立会津学鳳高等学校
屏風を押しのけ、何かを掴み取ろうとする猫。その手が求めるのは、夢か、希望か、猫じゃらしか…。いろいろ想像して楽しんでください。観てくれた人の元気が出て、目線を上に向けたくなるような作品を目指しました。明るい未来が掴めますように!
ジュニアの部(黒板アート中学生) 最優秀賞
川崎市立金程中学校(神奈川県)
「黒板のうらがどうなっているのか・・・」を考えて描きました。
普通の黒板は普段の姿、倒れた黒板の裏は自分たちの想像の世界、つまり、マイワールドを表しています。タイトルも含め、色の鮮やかさや描いたものの印象で非現実的感のある世界にしました。
タイトル『セカイ創造』の世界、がカタカナなのは、現実空間である
「世界」と区別をつけるためです。この作品を通して、自身のオリジナリティーを表現する楽しさを感じてほしいです。
白板アート甲子園(ホワイトボードの部) 最優秀賞
東京都立六郷工科高等学校
東京オリンピックに向けて、世界中の人々に東京の街の美しさを伝えたいと思ったからです。色は7色(黒、赤、青、黄、緑、オレンジ、ピンク)を使用しました。お互いの色が重ならないように描くのと、明暗をはっきりさせることが大変難しかったです。特に月と空のリアルな表現を生み出すために、実際の写真を何度も見直して描く工夫をいたしました。
<<<2020大会 審査員 大会総評>>>
三澤 一実 先生
(武蔵野美術大学 教授)
今年はコロナ禍の影響で募集締切の時期が変わりました。応募がどれだけあるか心配でしたが、例年にも増して力強く、チャレンジングな作品があり驚きました。そして生徒の皆さんの黒板アートに対する情熱を感じることができました。
何をどのように描くかという構想を深めていく前に、何を描きたいかという表現主題を見つけることが最初の一歩です。チームでディスカッションを重ねコンセプトを決定していった様子が各作品に感じられます。このように表現主題を決めることはその後の表現技法の工夫にもつながります。遠近感を強調しようとか、細部を大切に描こうとか、鮮やかな色彩で勝負しようとか。描く前の「何を描きたいか」「どのように表そうか」という検討がその後の制作に大きく関わり、見る者にメッセージを強く語るのでしょう。まず「描きたいテーマを見つける」ことが表現のベースになると改めて感じた大会でした。一人一人のアイデアを出し合って、新しい発想で、描き方の工夫を追求するチームの力に来年も期待したいと思います。
熊沢 加奈子 先生
(日本チョークアーティスト協会 会長)
回を重ねるごとに、全体的な作品のデザインと技術のレベルがアップしていると感じました。これまでは春の時期の開催ということもあり、桜のモチーフが取り入れられたの作品を見ることが多かったですが、今回はコロナの影響で開催が秋となり、例年とはまた違った時期に描いていることが伝わり、それぞれ春に限らないテーマで描かれた作品を見ることができました。新しい黒板アートのモチーフを多く拝見することができました。
開催が延期となるとその分モチベーションを維持するにも影響が出ると思いますが、それでも多くの応募があり、工夫されている作品が多かったと感じます。改めて学生のエネルギーやパワーはすごいなと、まっすぐな想い・ひたむきさ感じさせられました。
西村 愛子 先生
(駒沢女子大学 准教授)
今回、黒板アートの審査員として初めて参加させていただきましたが、審査の時間は心がワクワクし、楽しく面白い時間でした。
一見すると油絵のようだったり、日本画のようだったりと、とてもチョークで黒板に描かれているようには見えない作品が数多くあり、バリエーションに富んでいてとても面白く感じました。細部まで描き込まれた作品からは生徒たちの情熱を感じ、審査させていただいている私たちがパワーをもらっているような時間を過ごせました。
吉田 朋弘
(日学株式会社 代表取締役社長)
新型コロナ問題による様々な制約の中で、黒板アートに取り組んでいただきましたことを、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
今年の「黒板アート甲子園」で感じたのは、やはりコロナの影響が作品に色濃く投影されているということです。前向きなものがあれば、ネガティブなものもあり、世相や生徒さんたちの様々な想いが映し出されていることを、とても興味深く拝見しました。
また今年は新たなチャンピオンが誕生し、強豪校として今後も活躍が期待されます。他にもこれまでの作品には見られなかった技法や構図、表現が生まれるなど、数多くの収穫がありました。
引き続き"With コロナ"の難しい環境が続きますが、私たち日学は黒板アートを通じて生徒さんたちの協働の機会、活躍の場を提供して参りますのでご期待ください。