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ヨルモの「小説の取扱説明書」~その24 ご都合主義~

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作文・エッセイ
小説の取説

 

公募ガイドのキャラクター・ヨルモが小説の書き方やコツをアドバイスします。ショートショートから長編小説まで、小説の執筆に必要な情報が満載の連載企画です。

第24回のテーマは、「ご都合主義」です。

ご都合主義の代表的パターン

ご都合主義とは、必然性のないストーリー展開のことを言います。

端的に言うと、そんなふうに展開させたのはストーリーを進めるうえでの作者の都合でしょ! と不自然に思ってしまうような展開を言います。

ご都合主義の代表的な4パターンを挙げてみます。


〔そんなうまい話はない〕

中年の男性、またはもてない男性が街を歩いていると、ちょっと影がありそうな美少女が現れ、いきなり誘ってくる――。

そんなこと、普通はまず起こらない。単に作者が小説の中で願望を満たしたいだけではないかなと思ってしまいます。


〔問題がすぐに解決する〕

主人公はさまざまなトラブルに直面するが、唐突に救いの神が現れて、主人公を助けてくれるなど、問題が都合よく解決する――。

読者は、そんな神がいるなら世話はないなあと失望してしまいます。


〔設定と合っていない〕

今までは「引っ込み思案」という性格だったはずが、急に積極的な性格になり、ストーリーは結末に向かって都合よく展開していく――。

なぜ急に性格が変わったのだろう。そうでないと都合が悪いので、作者が操り人形のように人物を動かしているのではないか、と舞台裏が見えて白けてしまいます。


〔偶然が過ぎる〕

急いでいると都合よくタクシーが来る、晴れていたのに別れのシーンになって急に雨が降り出す――。

流れが自然でない。科学的根拠も薄く、確率からいってもそうなるのは不自然だなあ、強引さが目立つなあと思ってしまいます。

「それもあるな」と思わせる説得力が必要

アマチュアの小説に中には、このようなご都合主義がよく見られますが、このような設定が悪いかというと、必ずしもそうではありません。

要は、「まあ、あり得なくはないかな」と読者が自然に受け止めてくれるように設定しておけばいいわけです。

都合よくタクシーが来たという場合でも、その道が大通りだったり、タクシーが客待ちをしていそうな場所だったりすれば、すぐに空車が見つかっても不自然ではありません。

中年男性と美少女の出会いにしても、誘わざるを得ないような切羽詰まった状況を設定すれば、「それもあるかもね」と思えたりします。

要は、いかに説得力を持たせるか。「そんなことある?」と思わせないことですね。

そのためには、作者自身が「展開が強引だな」と気づけないといけません。

簡単なことです。ストーリー上の都合ではなく、常識的に考えればいいだけです。

そういう意味では、作者は一面で極めて常識人である必要があります。

不自然に気づいたら、普通はどういう行動をするのが自然かと考え、自然な行動をとらせる。それができないときは、そこに必然性が出るような条件を加える。

これでだいたい解決します。

(ヨルモ)

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ヨルモって何者?

公募ガイドのキャラクターの黒ヤギくん。公募に応募していることを内緒にしている隠れ公募ファン。幼馴染に白ヤギのヒルモくんがいます。「小説の取扱書」を執筆しているのは、ヨルモのお父さんの先代ヨルモ。