【11月号特集 連動企画】「昔話をミステリータッチにリメイク!」コンテスト結果発表
公募ガイド11月号の特集連動企画「昔話をミステリータッチにリメイク!」コンテストに多数ご応募いただき、誠にありがとうございました。
11月6日に選考会が行われ、以下のように入選者が決定しました。
【総評】
有名な昔話をミステリータッチにリメイクする本コンテストには、さまざまな謎が提示され、審査は難航しましたが、楽しく審査することができました。
ツイッターで応募するということで、どんな謎かは明らかにしなくてもいいという規定でした。
結果、「きっとこんな事件があったのではないか」と、読み手の想像をかき立てる面白い作品が集まりました。
本コンテストを通じ、ミステリータッチにするコツがわかったと思います。
今度はオリジナル作品にこの手法を応用し、面白い小説に仕上げてください!
(公募ガイド編集部)
最優秀賞
unuiさん(元ネタ:浦島太郎)
「父さんをどこへやった!」
「お前と一緒だったのを最後に行方不明になったんだ」
子供達が亀に詰め寄る。
しかし亀は適当にあしらう。
そこへ事情を知らない一人の青年が来て子供達を追いやってしまった。
「お礼に竜宮城へ」
亀は青年に見えないようニヤリと笑った。#謎を作る#公募ガイド11月号
— unui@11/17新譜『素敵なダストボックス』よろしく〜 (@unui) October 23, 2019
〈亀は青年に見えないようにニヤリと笑った。〉という一文がいいですね。
で、亀は村のお父さんを連れ去り、どこへやったのでしょうかね。
もしかすると、乙姫さまに贈る生贄だったのかもしれません。
となると、浦島太郎も……。ちょっと怖いですね。
優秀賞
ヨシダケイさん(元ネタ:かちかち山)
ウサギは火打ち石をカチカチと鳴らすと、一生懸命に薪を運ぶタヌキを眺めた。ウサギの中である疑問が湧く。
「この様な愚鈍な者に果たして婆を殺せたのか?」
婆が殺されたあの日。
爺は「タヌキが婆を殺すのを見た」と言っていた。しかしそれは爺の証言に過ぎない…
— ヨシダケイ (@yoshidakei2018) October 21, 2019
ウサギは愚鈍なタヌキにはそんなことはできないし、「タヌキがおばあさんを殺すのを見た」というのは、おじいさんの証言に過ぎないと推理します。
となると、真犯人はおじいさん! 動機は金銭? 怨恨? いずれにしても、おばあさんに対し、殺したいほどの気持ちがあったことがわかります。
CREATAROさん(元ネタ:桃太郎)
「不思議に思ったことはないか? お前を育てた老人たちが歳をとっていないことを」
「え?」
「お前を拾った時には既に相当な歳だったはずだ。なのに死なずに今も生きている。どうしてだかわかるか?」
鬼は桃太郎に言った。
「人間じゃないからだ」#謎を作る #公募ガイド11月号
— CREATARO (@creataro1) October 24, 2019
それはなぜでしょう。「人間じゃないからだ」。ここがポイントですね。
では、なんのために桃太郎を育て、なんのために鬼退治をさせたのか。おじいさんとおばあさんが善にしろ悪にしろ、そこには大きな企みがあっただろうと推測できますね。
佳作
むーむーさん(元ネタ:赤ずきん)
「おばあさんの耳は、ずいぶん大きいのね」
オオカミはバカだった。いくら何でも、おばあさんと獣の顔を見間違うわけがない。
それは、村を挙げてのオオカミ撲滅作戦の序章に過ぎなかった。
白羽の矢が立ったのが、子役養成所でトップの演技力を誇る赤ずきんだったのだ。
— むーむー (@mumu_1050) October 24, 2019
NOSYさん(元ネタ:鶴の恩返し)
鶴を見送った後も、お爺さんは釈然としない気持ちでいた。
娘が鶴だったというのは本当なのか。
なぜ態々「覗くな」などと注意を引きそうな物言いをし、羽根を抜いた後も人に化けず、布を織りにくい鶴の姿のままでいたのか。
娘のいた部屋の襖に、お爺さんは手を掛けた。#謎を作る #公募ガイド11月号
— NOSY (@NOSY_noe) October 24, 2019
森彗子☆小説家さん(元ネタ:マッチ売りの少女)
少女は死んでいた。昨夜この周辺でマッチを売っていた幼い少女。話しかけるのを躊躇うほど悲壮感漂うその顔は死人のようだったのに、なぜか死に顔は明るい。口角は上がり微笑んでいるように見える。
周辺には仕様済みのマッチが散乱しているのを見て人々は言葉を失った。#謎を作る #公募ガイド11月号
— 森彗子☆小説家 (@suiko1977) October 18, 2019
kamさん(元ネタ:シンデレラ姫)
王子はシンデレラが落とした靴を手がかりに国中の娘たちの元を訪れたが、靴が足に合うものは一人もいなかった。落胆する王子に、大臣が笑って言った。
「は!こんな靴に足が合う女など本当にいるんですかねぇ?」
大臣がふざけて靴を履いてみると、なんとぴったりだった。#謎を作る#公募ガイド11月号
— kam (@melanco_holic) October 12, 2019
いありきうらかさん(元ネタ:かぐや姫)
長い旅だった。
月から地球まで、思っていたよりも遠かった。
これから3年間、私は異国の地である地球で生活することになる。
この任務の失敗は絶対に許されない。
迎いが来るその時まで、私は与えられた役割を全うする。
彼女は目的を果たすために、竹の中で眠った。#謎を作る #公募ガイド11月号
— いありきうらか (@iarikiuraka) October 24, 2019
募集内容
公募ガイド11月号(10/9発売)特集「あなたの小説に足りないのは謎だ!」の連動企画として、「昔話をミステリータッチにリメイク!」コンテストを実施します。
謎があると、あなたの小説はもっと面白くなります。
では、どうしたら謎を作れるでしょうか。
方法は簡単です。物語の結果を最初に示すだけ。そうすれば、「どうしてそんなことになったんだろう」という謎が生まれます。
今回は、物語の中に謎を作る練習として、昔話などの物語をミステリータッチにリメイクしていただきたいと思います。
誰でも簡単に謎物語が作れます。
さあ、チャレンジしてみましょう。
【例】
ある日、浦島太郎は白髪の老人になっていた。その三日前、浦島太郎は亀を助けた。それでお礼に竜宮城に連れていってもらえることになったが、亀は行かないほうがいいと言う。「あの女は、乙姫は、恐ろしい女……」。わけがわからないまま竜宮城に着くと、そこには贅沢すぎる絶世の美女が! しかし、それが罠だった!」
最初に「謎」を作り、どんな謎だったのかなあと想像させてください。
結末まで書かなくてOKです。
また、物語全部でなく、ある場面だけでもOKです。
お題 | 「桃太郎」「浦島太郎」「一寸法師」など、おなじみの昔話をミステリータッチにリメイクして、ツイッターで投稿してください。 |
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応募規定 | (1)Twitter公募ガイド公式アカウント「@kouboguide」をフォローしてください。
(2)ハッシュタグ「#謎を作る」「#公募ガイド11月号」をつけて、作品をツイートしてください。 |
応募上のご注意 | 採用された方にはダイレクトメッセージでお名前やご住所等を確認させていただきます(誌面には県名・ペンネーム・年齢のみ掲載)。数日経ってもご返信がない場合は、採用を辞退したものとさせていただきます。 |
賞 | 最優秀賞1点=Amazonギフト券5,000円分
優秀賞2点=Amazonギフト券2,000円分 佳作5点=Amazonギフト券500円分 |
締切 | 2019年10月25日(金) |
発表 | 11月上旬 |
書評家・杉江松恋インタビューより
一般的な小説とミステリーとでは、まずは手法が違う。
これは「4コマ漫画のオチ(4コマ目)を1コマ目にもってきたつくり」と考えるとわかりやすい。
「『サザエさん』で、『カツオのイタズラが、タラちゃんの無邪気な一言でバレた』という話があるとします。1コマ目に本来のオチであるカツオが怒られている場面があると、読者は『なぜ怒られているの?』と不思議に思います。次に、カツオがいたずらをしている場面(本来の1コマ目)を読むと、『いたずらをしたからだ』とわかりますが、『なんでバレたんだろう?』という新たな疑問がわく。最後の『タラちゃんの一言があったから』という場面で、すべての謎が解ける。これが『時系列を逆転させる』ということです」
つまり、事件やトリックの有無にかかわらず、時系列をひっくり返せば、どんな作品でもミステリーになるのだ。
2019年10月9日発売/定価680円