文章表現トレーニングジム 佳作「ありのままのわたくしの、」緑茶
第17回 文章表現トレーニングジム 佳作「ありのままのわたくしの、」緑茶
就職活動をしていたころ、大切にしているものというテーマで作文試験が出題されたことがある。その際、躊躇なく、当時つけていた日記帳のことを記した。日々、暮らしを振り返るのに役立ってくれること、書くことで日常に新たな気付きが得られることなど、日記の魅力を存分に八百字にぶつけたが、試験には落ちた。他の受験生たちは、笑顔、挨拶、感謝の気持ちや家族について書いていたそうだ。
また、適性審査の「誰もいないのにふと視線を感じるときがある」、「人に見られていると集中できない」などの項目には、しばしば「はい」を選択していた。
当時、心療内科に通院していたため、精神的な状態を開示することにあまり抵抗がなかったのだが、採用する側からすれば、不安要素だったに違いない。あまりに不合格が重なるので、母に話したところ、諭された。
「問診票じゃないんだから」
どうやら、ありのままのわたくしではいけないようだと気付いたのは、既卒二年目に差し掛かったころのことだった。
その後、キャリアカウンセラーの勧めで受けた検査で発達障害の可能性が高いと指摘された。
突如、言い渡された、障がいという言葉を引きずった時期もあったが、創作活動を通じて、その、ずれやギャップで誰かを元気づけられたなら、それも個性、と少しは自分を認めてやれるのではないかといまは思う。
誰もが皆、才能を持っていると信じている。開花の場と時期がそれぞれ違うだけだ。