鉄道写真詩コンテストの面白さを知る!『ヨミ鉄』達人への道
11月23日(祝)、東武博物館ホールにて鉄道写真家の米屋こうじ氏と詩人で社会学者の水無田気流氏によるトークステージ『鉄道写真詩コンテスト2017の作品をみる』が開催されました。
『鉄道写真詩』とは「詩」と「鉄道写真」を組み合わせて表現し、鉄道の魅力を広めようと一般社団法人交通環境整備ネットワークが主催となり、全国から作品を募集。北海道~九州より13歳~70歳代の方から231通の応募が集まり【国土交通省鉄道局長賞】【米屋こうじ賞】【水無田気流賞】【エコトラン賞】、他、入選8作品がそれぞれ決定しました。
【受賞作品の紹介】国土交通省鉄道局長賞 佐々木博光 白龍 青森県
米屋こうじ賞 小池田和恵 トワイライト 大阪府
水無田気流賞 志波英明 シグナル 大阪府
エコトラン賞 千葉 洋 最終列車 高知県
その他の入選作品はこちらから。
http://ecotran.or.jp/photo/2017/index.html
※鉄道ジャーナル1月号にも紹介
「写真と詩の両面からの審査はとても難しく、大変でした!」と語る、審査員を務めた米屋さんと水無田さん。はじめは1通、2通と少なかった応募作品が、締め切り間際にドドドッとかなりの数が届いたそうです。
-全体的に真面目な作品が多かった-
今回のトークステージで繰り返し出てきたキーワードは「捨てる勇気」。受賞の決め手になったのは、潔く言葉を切り捨て、すべてを語らず観る人に感じてもらえるかどうかでした。
米屋さんからはキレイさを目指した既視感のあるアングルではなく、あえて崩すなど完璧を目指さない。写っていない部分の風景が「詩」をつけることで見えてくる物語性のある構図など、『鉄道写真詩』ならではのアドバイスがありました。
「カッコよくキメようとキャッチフレーズのような詩になっている。文章をキレイに作りすぎている、作品は作者が完結しなくていい、途中でおわらせてもいい。」とは水無田さんからのコメント。
鉄道は、自動車と違って自分が降りても走り続けている…オチをつけるとその余韻が消えてしまう、良い写真なだけに一次審査は通過したが、詩の部分で残念ながら入賞には及ばなかった作品がたくさんあったと評されました。
トークステージでは実際にどのように創作をすればよいか、会場の意見を募りながらレクチャーする一場面も。
「富士山と新幹線」を題材に、典型的な日本の美しさを切り取った写真はそれだけで意味が通ってしまい、題材として向いていないという例が紹介されました。とはいえ、そういう場合は内面のイメージを膨らませ、「会議は十時、ヤバイ、寝過ごした!」など、あえて壊れた言葉で写真とのバランスをとるのはあり、というテクニックが紹介されました。
美しい写真、キレイにまとまっている詩が必ずしも選ばれるわけではない……。2つのプロ視点に触れて目からウロコ。「次こそは!」と真剣にアドバイスを聞く『ヨミ鉄』への情熱を感じる実践的なトークステージでした。【写真×詩】の化学反応で生まれる思いがけない面白さ、楽しみ方を知ることができました。
好評につき、鉄道博物館(さいたま市)での展示は12月4日まで延長、来年には第2回の開催が決定しています。第1回目のコンテストでは応募者もイベント参加者も男性が多かったのですが、女性ならではの視点で新しい作風も生まれるかもしれません。ぜひ『鉄道写真詩コンテスト』に挑戦してみてください。