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文章表現トレーニングジム 佳作「五輪」 高橋さや

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作文・エッセイ
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文章表現ジム
第7回 文章表現トレーニングジム 佳作「五輪」 高橋さや

東京オリンピックの時は、小学一年生だった。下の弟が夏に生まれたばかりで、テレビの隣でヒーギャー泣いていた。東京など行ったこともなく、行けるとも思っていなかった。地方の一少女は、テレビの中の空に映し出された、五つの輪に驚いていた。白黒テレビだったので、色はまったく分からなかったが、くるんと丸まった輪が、少しずつ重なっている姿がステキだなと思った。

その当時、フラフープが流行の終わりの頃だった。体育館横にくっついた、薄暗くほこりっぽい用具室にもフラフープはあった。昼休みは借りられた。さっそく、テレビで五輪マークを見た翌日、友人と体育館の床にフラフープを置いてみた。簡単にできたのである。オリンピックを再現できたと嬉しかった。フラフープは、白と赤しかなかったが、当時は色なんて知りはしない。白と赤を交互に重ねて置けば、完成なのである。子どもの手でもマークはできた。

あれ以来、五十年以上もオリンピックのシンボルマークを見ているが、あの五輪マークがわたしの中ではピカ一なのだ。

小学生の時に月ぎめで買っていた学習雑誌で「ご大陸を青、黄、黒、緑、赤であらわしたもの」と知って、ようやくその色と意味が分かった。けれども、その大陸とされた色を嫌いな人もいるだろう。やっぱり、全大陸が同じ色、または紅白のめでたい二色のマークが良いなと思っている。