第58回 講談社児童文学新人賞、第39回講談社 絵本新人賞決定!
9月13日、講談社にて「第58回 講談社 児童文学新人賞」「第39回 講談社 絵本新人賞」の贈呈式が行われました。
本社ビル最上階にあるレセプションルームには受賞者の方々をはじめ、ご招待されたご家族、書店の方、取材陣などたくさんの人が集まり、注目度の高さが伺えました。
第58回講談社児童文学新人賞
リマ・トゥジュ・リマ・
トゥジュ・トゥジュ
こまつ あやこ さん
こまつさんは主人公と同じ中学2年生のときにマレーシアを訪れ、マレー系・中国系・インド系の3つの民族が共に暮らすこの国のことを、いつか物語にしたいと思い続けていたそうです。書くことをあきらめそうになったときに支えてくれたお母さまや応援してくださった方たちへの感謝とともに「この場にいられることを光栄に思っています」と語ってくださいました。
第39回講談社絵本新人賞
いっぺん やって
みたかってん
はっとり ひろき さん
「どれも力作」という590作品の中から絵本新人賞に選ばれたのは、はっとりひろきさんの『いっぺん やって みたかってん』。誰もいない公園で遊具が遊び始めるという斬新な設定、硬い遊具が身をよじらせながら奔放に遊ぶ姿を迫力満点に描いた絵、物語の展開の面白さが評価のポイントに。「いつも見ているはずのものが、こんな風に遊んでいるかもしれないと思ってしまう」と評されました。
「とにかく楽しく作った」と受賞スピーチで語ったはっとりさん。二人のお子さんを連れていく近所の公園や、幼い頃に楽しく遊んだ公園を思い出し、夜中にひとりニヤニヤしながら創作したのだそうです。「そんな作品が、このように大きな賞を頂けたということでうれしく思っています」とのこと。
懇親会で新人賞に輝いたお二人方にお話を聞きました。
第58回講談社児童文学新人賞 こまつあやこさん
「図書館司書の母が、いろいろな図書館や勤務先に連れて行ってくれました。本に触れる環境を作ってくれたのかなと思います」
現在のお仕事はお母様と同じ図書館司書なのだそう。
「10代の多感な時期に、ヤングアダルト文学に支えられたという思いがあります。悩んでいる子に1人じゃないんだよと、本を通じて伝えていきたいなと思いますね」
「公募ガイドを読んでいました」という嬉しいお言葉も!
第39回 講談社絵本新人賞 はっとりひろきさん
「子供たちに褒められて調子に乗っちゃいました!」と絵を描き始めたきっかけを話してくれたはっとりさん。独学で自作の絵本を作り続け、この作品はお仕事の傍ら1ヶ月半で作り上げました。ダイナミックな構図は「頭の中に浮かんだ構図を思うままに表現しました」とのこと。絵本を描きつづける原動力は、同じ夢を持つ仲間たちと、いつも読んでくれるお子さんたちの存在だそうです。これからはたくさんの子ども達にも楽しい作品を届けてくださることと思います。
児童文学・絵本を子供たちに届けるために
懇親会では普段、なかなか一同に会することのできない先輩作家や書店の方々との交流を楽しまれている受賞者の姿が多く見受けられました。
創作活動は一見すると孤独な作業ですが、己の世界観を大切にしつつも、支えてくれる人たち、同じ志を持つ人たちが支えあっている姿が浮かびました。児童文学・絵本を子供たちに届ける活動を担っていくためにはこれからも「書き続けること」が重要であるという、熱い気持ちが伝わってくる贈呈式でした。
来年の出版に向けて、受賞者の方々は担当編集者さんと二人三脚ですでに始動しています。
7つの物語が私たちの手元に届く日を心から楽しみにしています。
公募ガイド11月号(10月7日発売)では、新人賞を受賞されたお二人の「受賞のコトバ」が掲載されます。こちらもお楽しみに。
(取材:たま恵)
選ばれた7つの作品。(敬称略)
【講談社児童文学新人賞】
『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』 こまつあやこ
(佳作)
『107小節目から』 大島理惠
『大坂オナラ草紙』 谷口雅美
『さよならシュトラウス。』 黒川裕子
【講談社絵本新人賞】
『いっぺん やって みたかってん』 はっとりひろき
(佳作)
『ようこそハトまちへ』 ハナウタユキ
『ごろちゃんとでんしゃ』 いいづかみこ