本を知って、人を知る――「ビブリオバトル」の魅力とは?
「リアル書評合戦」として人気のビブリオバトル。
仲間とのコミュニケーション、全国大会や大学入試まで、さまざまな場で活用されています。「本は好きだけど、人前で話すのはちょっと……」という人や、「本はあまり読まない」という読書嫌いの人にこそ、ぜひ楽しんでもらいたいゲーム。
ただ本を紹介するだけのゲームにはとどまらない、その奥深い魅力を深掘りしてみましょう。
ビブリオバトルって?
「ビブリオ=本」は、古代ギリシャ語ですが、「ビブリオバトル」は日本生まれ。2007年に京都大学(当時)の谷口忠大先生によって考案されました。
ルールはとてもシンプル。
➀発表参加者がそれぞれ「読んでおもしろいと思った本」を持って集まる
②順番に1人5分で本の紹介をする
③紹介された本についてディスカッションする ※1つの発表に対して2~3分間
④「一番読みたくなった本」に投票し、チャンプ本を決める
本のテーマや開催場所などは自由ですが、この公式ルールは「鉄の掟」! スポーツと同じで、ルールがあるからこそみんなで楽しめるのですね。
読書が苦手。でも大丈夫!
ビブリオバトルの良い点は、読書が苦手でも参加しやすいこと。
本のジャンルは自由で、マンガや料理本などでもよいとされています。たとえばスポーツ好きな人であれば、スポーツの解説本や、選手のエッセイなど、興味のある分野の本にトライしてみるとよいでしょう。長い小説を読むことだけが読書ではありません。好きな本を楽しく読んで、感じた気持ちを伝えることが大切。
ビブリオバトルのキャッチコピーは「人を通して、本を知る。本を通して、人を知る」。読んでいる本によって、その人となりが見えるものです。このゲームを通して、仲間や友人の意外な一面を発見できたり、初対面であれば、自己紹介ツールにもなります。
プレゼンが苦手。でも大丈夫!
「三度の飯より本が好き! でも、人前で本の話をするのは苦手」という人も多いのでは? 私もどちらかというと、「読書は作家さんとの対話だ!」という信念のもと、ひとりで本の世界に浸る、内向き読書家です。読書感想文にさえ抵抗があるのに、ビブリオバトルなんてとんでもない! と思っていたのですが、学校司書として生徒に本をすすめるうちに、気づいたことがありました。
流行の本や、生徒にウケそうだからという理由ですすめる本よりも、自分自身が本当におもしろいと思ってすすめる本の方が、確実に受け入れられるということ。そして、自分が読んで感動した本について人に話すことで、より深く自分の心に刻み込まれるということです。
みんなと一緒に食べるごはんは、ひとりで食べるより何倍もおいしいと感じるように、読書もみんなで体験することで楽しさや感動が倍増するのかもしれません。
毎週、日本のどこかでバトル開催
家族や仲間と楽しむことに慣れてきたら、ぜひ本格的な大会にも挑戦してみましょう。ほぼ毎週、日本各地で開催されている大会スケジュールは、ビブリオバトル公式サイトに掲載されています。また、入試の面接にビブリオバトルを取り入れているユニークな学校もあるので、各学校ホームページで確認してみてくださいね。
大きな大会や入試ともなれば、プレゼンの技術や選書のセンスも必要となりますが、仲間内でのゲームと同様、大切なことは「自分の言葉」で「本のおもしろさ」を伝えること。あなたの「大好き!」な思い、本への愛情をアピールして、読書の楽しさをたくさんの人に広めてほしいなと思います。
【参考サイト】
知的書評合戦ビブリオバトル公式サイト - 開催カレンダー (bibliobattle.jp)
推薦入試(ビブリオバトル方式) | 筑波大学 情報学群 | 知識情報・図書館学類 (tsukuba.ac.jp)
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フリーランスの図書館司書&ライター。旅が好き。地方発の公募情報は、旅ゴコロをくすぐる。
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