ネットの海で物語る【第6回】狙うは情報の良いとこ取り! SNSで病まないための心構えとX活用方法 1/2
狙うは情報の良いとこ取り!
SNSで病まないための
心構えとX活用方法
SNSには、良い部分もあれば悪い部分もあります。
今回はSNSを利用することで生まれやすい悪い影響と、公募に挑戦する方に有益なX活用方法について話していきます。
SNSは諸刃の剣
私はXで小説について発信していくなかで、たくさんの創作仲間ができました。不思議なもので、小説投稿サイトで感想を送ったりもらったりしていると、自然に仲間が増えていくのです。色々な小説投稿サイトに作品を投稿していましたし、当時Web小説を毎日1作以上読むという活動を(勝手に)していたので、早いペースで小説を書く仲間が増えていきました。現実で会うことはありませんが、同じ趣味・活動をしている方々とする交流は大変貴重です。情報交換はもちろん、何気ない会話も楽しいものです。
出逢った方々の言葉や感想に何度も助けられました。私と同じように、交流を創作活動のモチベーションにしている人も少なくないでしょう。
小説を書いている人には色々な人がいます。趣味で書いている人、投稿サイトのランキングで上位を目指す人、公募に挑戦している人、その目標や熱意も様々です。
私はというと、「自分の書いた物語で結果を出したい」という気持ちが強くなってきて、とにかく公募に挑戦していました。しかし、この世界は甘くありません。
NOVEL DAYSの2000字文学賞で佳作に選出してもらって以降、約半年で16の公募に落選しました。この数が多いか少ないかは別として、気持ちはもうヘトヘトです。「最初の公募で運良く佳作もらえたからって調子乗ってたな」「才能ないんだよなぁ」なんて気持ちだって湧いてきます。
半年なんて書きはじめたばっかりだろ! って感じなのですが、当時はそう思えませんでした。
自分と他人を比べてしまう
そんな気持ちで過ごすなか、SNSでは創作仲間が活躍していくのを見届ける機会が増えていきます。私よりあとに小説を書き始めた人だっていました。
「受賞しました」
「書籍化しました」
「ランキング1位になりました」
自分が手に入れられないものが、日々タイムラインに流れていきます。
そういうとき、自分だけが置いてけぼりになっているような気分になります。
自分の創作には、なにも価値がないように思えてきちゃうのです。
仲間の活躍が嬉しいのに羨ましい、そんな複雑な感情に苛まれていくのです。
SNSをしていなかったら、こんな気持ちになることはなかったのに。
私の場合は次々と公募に挑戦し、自分に落ち込む暇を与えないという力技でその波を乗り越えました。が、このように落ち込むことが増えた場合、きっぱりSNSをやめるのもひとつの手です。交流や仲間を作ることでしか得られないパワーがあるのは事実です。SNSでしかないチャンスも確かにあります。 だけど、全てのチャンスは書き続けられる前提があってこそ活かされます。羨望から断筆し、 全てのチャンスを失うくらいならSNSをやめてください。
これは極端な解決方法で、あくまでも最終手段です。
普段から自分のメンタルをうまくコントロールできるような工夫が必要です。
心の中に架空のオカンを置く
それでは、どんな風にメンタルをコントロールすればいいのでしょうか。
あくまでも私の場合ですが「自分は自分」「他人は他人」と普段から境界線をしっかり引いておくことが大事だと感じています。この価値観をはっきりさせてから、仲間の活躍を羨んで落ち込む回数が減りました。
コンテストや公募、創作活動は努力すれば必ず認められるものではありません。
初めて書いた小説で書籍化デビューする人もいるし、学生のうちに小説家としてデビューする人だっています。「適当に書いたんだけど」って作品でも面白かったら受賞します。そういう世界なのです。努力すれば受賞の可能性は増えますが、結果は約束されていません。努力した過程での加点はないのです。
だからこそ、誰かに嫉妬したりして病みそうなときは心の中のオカンに言ってもらうのです。
「よそはよそ! ウチはウチ!!」
この界隈、上を見たらキリがありません。書き始めたばかりでも、アマチュア作家でも、プロになっても、アニメ化しても、たくさん本が売れても、上には上がいるはずです。自分が今どこのステージに立っていようとも、結局は自分が今できることをひとつずつやっていくしかないんです。 それに、自分が他人になれないように、他人は自分になれません。 自分にしか生み出せない物語が絶対にあります。
自分が自分である価値に気づくことが、メンタルを安定させる第一歩です。 他の人に認めてもらいたいなら、自分自身がまず自分を認めてあげないといけません。
SNSを利用するときは、自分の価値を絶対に忘れないでくださいね。
仲間の活躍に混じりけの無いお祝いを言えるようになると、仲間の活躍は自分のパワーとなり得ます。「自分も頑張るぞ」と、前向きな気持ちになるのです。
ただ、向き不向きはあるので、無理はしないでください。何度も言いますが、SNSが理由で自分が断筆するような状況になる場合は即やめてください。あなたの創るはずだった物語が、なくなってしまわないように。
■profile
蜂賀三月 (はちが みつき)
小説家。ショートショート、児童書、YA小説をメインに執筆活動を行う。著書に『絶対通報システム~いじめ復讐ゲームのはじまり~』(スターツ出版)、 短編小説収録『5分後に奇跡のラスト』(河出書房新社)など。小説情報メディア
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