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どこからが盗作か2:ネーミング・デザイン編

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商標登録するかで本気度が違う

ネーミングやデザイン公募では、商標として使う予定がある場合は、当然のことながら商標登録できる作品を選ぶ。
登録できない作品とは、すでに登録されているものだ。
実際、最終候補作を調べてみたらどれも登録できず、やむなく内部案を採用作にした例もある(Jリーグの「ジュビロ」がそう)。
主催者の中でも、企業系、大きな組織、採用作を長く使う場合は作品にも独自性が求められる。

言葉や画像は検索しやすい

 ネーミングやデザインの場合、特に類似が起こりやすい。そこで主催者は類似作品かどうかを調べるわけだが、調べ方、調べることには3段階ある。
まず、応募作品の中での類似。
同一または類似作品があったら、まとめて落とすことが多い。一方だけ入選にはできないからだ。同じ理由で、入選作を選んだあと、同じ作品がないか検索する。同じ作品が落ちていたらまずいからだ。
次に、ネットを使って検索し、同じ作品がすでに世の中にないかどうか調べる。言葉の場合は普通に検索し、画像は画像検索する。
最後は、特許庁のホームページで、登録された商標との類似調査をする。商標登録しない作品の場合でも、登録された商標の権利を侵害しないために一応丸かぶりしていないか調査しておく。

応募者としても知っておこう

 応募した作品が、そもそも登録できないから採用にはできないとなってしまわないように、応募者としても商標登録できない作品について知っておこう。

〔区別できないもの〕

単に産地や販売地、品質、成分などを示すだけの名称なら登録できない。たとえば、新聞雑誌の類で「マガジン」という名称では他と区別できないし、「マガジン」という普通名詞が使えなくなっては独占が過ぎる。

〔公益に反するもの〕

国旗と同じデザイン、わいせつなもの、差別、「ウィスキー」なのに「ワイン」と表示するなど。

〔類似するもの〕

すでに「テルライト」という商標が登録されているとして、同じ類で「テレライト」という名称を登録しようとするなど。
 

ただ、類似かどうかは判断が難しい。商標の見た目、読み方、印象、取り引きの実情を考慮し、出所混同の恐れがあるかどうか総合的に判断するそうだが、応募者はそこまでする必要はない。1字1句同じでないかだけ、応募前に一度検索する程度でいいだろう。

標語は似た作品でもいい?

全く同じでは採用作にする意味がないが、標語の場合、訴えたい内容がかなり限定されており、その中で的確に言おうとすれば当然似る。言いたいことが似るのは仕方ない。あとはどう違いを出すかになる。

商標登録する公募かわかる?

企業、商品などの名称やマークは商標登録することが多い。自治体、公共団体も類似調査ぐらいはする。期間限定的なもの、特にはグッズ販売等をしないもの、動物等の名称などは商標登録まではしないこともある。

商標権と著作権、どっちが優先?

 商標登録されていないものでも、有名なマークを別の会社が商標登録するのは難しい。しかし、無名の著作物の場合はどうか。それが著作物と言えるか、いつ作ったかをどう証明するか、実害はあるかが問われる。それ次第。

類似の判断が難しいデザインの世界

ディック・ブルーナのミッフィーと、ハローキティの友達のキャシー。
このキャラクターのことを知らない人が見たら「似ている」と言うだろう。それはアイドル歌手を見て、みんな同じ顔に見えるのと同じ理屈だ。
一方、ミッフィーまたはキャシーをよく知っている人が見比べた場合、「全然違う」となる。
デザイン公募の採用作の場合も、デザインに詳しい人はわずかな違いを感じて「違う」と言い、素人は「似ている」と思う。
しかし、世間の人は素人だから、素人目に見ても「似てない」作品が選ばれてほしいもの。
なお、サンリオの「キャシー」が、ディック・ブルーナの商標、キャラクターである「ミッフィー」の著作権と商標権を侵害しているとして争われた裁判は、2011年、東日本大震災を機に、訴訟費用を日本の復興のために寄付するべきとの結論に至り、両キャラクターを管理するメルシス社とサンリオは和解に合意した。

サービスマークと類似調査

商標の類似調査について、弁理士の井澤幹さんに聞いた。
「個人でも特許庁の特許情報プラットフォームで、登録されている商標を検索できます。弁理士に依頼する場合は『弁理士ナビ』で探せますし、特許事務所がHPを持っていればネット検索で探せます。類似調査費用は1万円~5万円が多いです。
公募の採用作が他者の登録商標と類似する場合は、商標権侵害の可能性が出てきますので注意が必要です。商標権者の同意があれば使用可能ですが、ライセンス料が必要になる場合も。他者の登録商標が3年以上使用されていない場合は、不使用取消審判の請求により登録を取り消すことができます」

 

 

※本記事は「公募ガイド2018年3月号」の記事を再掲載したものです。