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文芸公募ニュース 4.26更新 文学賞発表情報

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文学賞発表情報

前回、小説現代長編新人賞や文學界新人賞など、大手出版社によるメジャーな文学賞の結果をお知らせしました。
今回はメジャーな文学賞のほか、地方文芸の結果もお知らせします。

第11回日経・星新一賞

応募総数は、一般部門1,138編、ジュニア部門251編、計1,389編。
岡田晴恵(公衆衛生学者)、高島雄哉(SF考証)、荒俣宏(作家)、佐竹美保(挿絵画家)、鴻上尚史(演出家)、滝順一(日本経済新聞編集委員)というバラエティーに富んだメンバーの選考により、下記のように決定しました。

一般部門
グランプリ(星新一賞)「冬の果実」柚木理佐
優秀賞(アマダ賞)「彼方には輝く星々」木下充矢
優秀賞(旭化成ホームズ賞)「ポラリス」玖馬巌
優秀賞(図書カード賞)「星の灯の狭間にて」鷹羽玖洋

ジュニア部門
グランプリ(星新一賞)「ライトコート」竹腰奈央
準グランプリ「おいしい世界の歩き方 東京」田中文瑛
優秀賞「見えない力」岡田頼和
優秀賞「エーアイさんへ」岩本名央
優秀賞「星になる」名もなき佐助

詳細はこちら (https://hoshiaward.nikkei.co.jp/)


昨年、生成AIの特集のときに日経本社まで行き、取材しました。生成AI対策の文言を応募要項に入れる準備のため、募集開始が1カ月ほど遅れましたが、今回も1000編を超える応募がありました。
生成AIを使った作品は70編(前回は32編)あったそうですが、入選には至らなかったとのこと。ChatGPTが話題となりましたので、生成AIを使った作品はちょっと厳しめに見られたかもしれませんね。

樋口一葉記念 第32回 やまなし文学賞

応募総数は621編(昨年度417編)。町田康、堀江敏幸、青山七恵の3氏の選考により、下記のように決定しました。

入選作
やまなし文学賞 「クレソン」宮本彩子
佳作 「流刑地にて」小林安慈
佳作 「二人、溺れてる」春名美咲

詳細はこちら (https://www.bungakukan.pref.yamanashi.jp/prize/)


太宰治賞、内田百閒文学賞、木山捷平短編小説賞、長塚節文学賞など、出身やゆかりの作家を顕彰する賞は多いですが、東京出身の樋口一葉と山梨県はどんな関係があるのかなと気になりました。両親が中萩原村(現在の甲州市)出身なんだそうですね。ゆかりといってもだいぶ薄いなあと思いましたが、そんなことはどうでもいいですね。要は中身。テーマが自由、賞金100万円、入選作はやまなし文学賞受賞作品集として刊行されるということで、この賞はほんと優良公募です。選考委員も豪華すぎ! 全員芥川賞作家!

さよなら新所沢パルコ 文芸・映像コンテスト

応募総数は、文芸70編、映像9点。
ここでは文芸部門のみお知らせします。

文芸部門
大賞・ドリアン助川賞 「八人の厳しい日本人」広町朝陽
優秀賞 「郊外」工藤昭太郎
新所沢パルコ店長賞 「スピンアラウンド」林和雨
パルコ南通り商店会賞 「新所沢パルコ産姉妹」小森谷みや
審査員特別賞 「PARCO狂騒曲」むさしこうじ

詳細はこちら(https://shintokorozawa.com/)


テーマが「新所沢パルコ」だっただけに文芸の応募総数は70編にとどまりましたが、表彰式はテレビでもニュースになっていました。タイトルを見ていると、応募数は少ないながら少数先鋭だった気もします。WEBサイトでは表彰式の模様を見ることができます。

第6回西の正倉院みさと文学賞

応募総数は不明。中村航ほかの選考委員により、下記のように受賞者が決まりました。

入選作
大賞 「オン・ファイア」T・S・デミ
優秀賞「⽕伏せ地蔵」いっき
優秀賞「倭の月」松本英太郎
審査員特別賞「夢のまた夢の」雪柳あうこ
佳作 「帰る場所」原田なぎさ
佳作 「大猪子」洞北亮
佳作 「ふたつの約束」白石未知
佳作 「その郷は」羽鳥郁
佳作 「ロードフレーム」潮路奈和

詳細はこちら (https://misato-bungaku.com/2023/12/18/%E7%AC%AC6%E5%9B%9E-%E8%A5%BF%E3%81%AE%E6%AD%A3%E5%80%89%E9%99%A2%E3%81%BF%E3%81%95%E3%81%A8%E6%96%87%E5%AD%A6%E8%B3%9E%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E5%8F%97%E8%B3%9E%E7%99%BA%E8%A1%A8/)


西の正倉院、百済王伝説など美郷町から連想される何かを取り入れたショートストーリーということで、やや書きにくかったかもしれません。受賞作をまとめた単行本は1300円で購入できます(WEB参照)。また、『MRT宮崎放送賞』を受賞した作品はラジオドラマ化され、ラジオで放送および配信を行っているそうです。

第7回仙台短編文学賞

応募総数382編の中から、伊坂幸太郎氏の選考により、各賞が決定しました。

入選作
大賞 「川町」千葉雅代(30歳・仙台市在住)
仙台市長賞 「ポリエステル伝導」湯谷良平(24歳・埼玉県在住)
河北新報社賞 「声の場所」 郭基煥(56歳・仙台市在住)
プレスアート賞 「S市の秘密」水戸洋子(66歳・東京都在住)
東北学院大学賞 「擬態」浅井楓(22歳・仙台市在住)

詳細はこちら (https://sendaitanpenbungak.wixsite.com/award)


仙台短編文学賞は、仙台・宮城・東北となんらかの関連がある作品を募集する賞。今回の選考委員は仙台在住の伊坂幸太郎さん。生まれて初めてもらった原稿料は公募ガイドの「賞と顔」(現「受賞者DATABOOK)だったそうです(と本人のエッセイ集に書かれています)。
同賞は毎回選考委員が変わるのが特徴。次回の選考委員は映画監督の岩井俊二さんだそうです。

第7回宮古島文学賞

応募総数は76編。「島」をテーマに短編小説を募集。椎名誠、もりおみずき、大城貞俊の3氏の選考により、下記のように入賞作品が決定しました。

入選作
一席 「水平線」伊佐山昂(長崎県)
二席 「ぜる。」佐藤陽翔(富山県)
佳作 「夏の消印」半崎輝(徳島県)

詳細はこちら (https://miyakobunka.com/bungaku07-award/)


椎名誠さんの選評の中に〈“島”というテーマに対して、宮古島そのものを真正直に持ってくるという作品は減り、島というものの概念をそれぞれの人生に踏まえて小説世界を構成するという、内容的に数歩も進み高まった作品が多く集まった。〉とあります。
日本には14,125もの島があるそうです。テーマの「島」は宮古島に限りませんので、応募数はもっとあってもいいですね。入賞作品はWEBで読めます。「勝てそう」と思った皆さん、次回は賞金50万円を目指して挑戦しましょう。

第2回京都キタ短編文学賞

京都市北区を舞台に、北区の魅力が伝わり、北区に訪れたくなる短編小説を公募した京都キタ短編文学賞には、一般部門とジュニア部門を合わせて195編の応募があり、その中から下記のように入選作品が決まりました。
1次選考委員は京都市北区在住者などを対象に公募で決めたそうで、これは京都文学賞と同じですね。

一般部門
最優秀賞 「ハルの、還る家」黒田きな子
優秀賞 「影狛」おぎなお紺
船岡山賞 「五十一枚の写真展」ひぐち紀

詳細はこちら (https://www.city.kyoto.lg.jp/kita/page/0000323818.html)


題材が限定されている地方文芸は、その地方ならではの文化、歴史、偉人、産業などを織り込みますが、単に「北区を舞台とした恋愛小説」では、場所を変えたら他の地区でも成り立ってしまうではないかと言われます。これを俳句の季語になぞらえると、「テーマが動く」と言います。テーマが動かないことが地方文芸を制すコツかもしれませんね。

ところで、北区と言えば東京都北区も「北区内田康夫ミステリー文学賞」を実施しており、公募と親和性があるんですかね。札幌市、さいたま市、新潟市、名古屋市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、熊本市の各北区も、公募による文化事業、期待しています!
もう一つ余談。東京都北区に、13年間田端に住んでいた芥川龍之介の記念館ができるそうです(2026年完成予定)。「北区芥川龍之介記念文学賞」提案しに行こうかな~!

第67回群像新人文学賞

島田雅彦、町田康、柴崎友香、松浦理英子、古川日出男の5氏の選考により、下記のように受賞者が決定しました。
受賞作は「群像」6月号(5月6日発売)で読めます。

当選作
豊永浩平「月ぬ走いや、馬ぬ走い」(読み方:ちちぬはいや、うんまぬはい)
優秀作
白鳥一「遠くから来ました」


この「文芸公募ニュース」を公開しようと準備していたら、「群像」6月号の発売に際し、受賞作の発表がありました。
豊永さんは那覇市出身で琉球大学人文社会学部に在籍。馬熊英一の名義で応募しましたが、筆名を変更。タイトルからして異色の小説っぽいです。
優秀賞の白鳥さんはあと一歩でしたが、群像新人文学賞といえば、島本理生さんも村田沙耶香さんも優秀作からのスタートですから、逆に期待が持てるかも!

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