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あなたとよむ短歌 vol.54 テーマ詠「アクセサリー」結果発表 ~自分の意見、他者の意見~(1/3)

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川柳・俳句・短歌・詩
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あなたとよむ短歌
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結果発表

テーマ詠で短歌を募集し、歌人・柴田葵さんと一緒に短歌をよむ(詠む・読む)連載。

柴田 葵 1982年、神奈川県生まれ。元銀行員、現在はライター。「NHK短歌」や雑誌ダ・ヴィンチ「短歌ください」、短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」への投稿を経て、育児クラスタ短歌サークル「いくらたん」、詩・俳句・短歌同人「Qai(クヮイ)」に参加。第6回現代短歌社賞候補。第2回石井僚一短歌賞次席「ぺらぺらなおでん」。第1回笹井宏之賞大賞「母の愛、僕のラブ」。
■作品
プリキュアになるならわたしはキュアおでん熱いハートのキュアおでんだよ
(『母の愛、僕のラブ』より)
vol.54
テーマ詠「アクセサリー」結果発表
~自分の意見、他者の意見~

短歌を読む・詠む連載、「あなたとよむ短歌」。
今回はテーマ詠「アクセサリー」の結果発表です。
予想以上に恋愛を扱った作品が多かった印象でした。普段はあまりアクセサリーを身につけない人も、一度も買ったことがない人もいるはず。でも、売っているところを見たことはありませんか? 親や会社の同僚、知人がつけていたことは? 散歩中のワンちゃんがおしゃれに着飾っているのを見たことは? 歴史が好きな人は有名だったり悪名高かったりするアクセサリーを知りませんか? テーマ詠は、一見苦手なものこそ視野を広げるチャンスかもしれません。
今回は、投稿者の方からよせられた質問もご紹介しています。ぜひ入賞作品とあわせてお読みください。

それでは、最優秀賞の発表です!


トパーズの好きな私の旅つづく
探し求める語源のように
(池田信子さん)

色石の世界は奥深いもののようです。個々の色味がちがったり、透明度やカットが違ったり、それぞれに効果が謳われていたり、歴史があったり。自分自身にしっくりくる「これだ!」というものを探し求める人も多いそうですね。「探し求める語源のように」という比喩がミステリアスで、トパーズと呼応しているような一首です。
多くの語源は諸説あるものですが、どれが真実なのか、旅をするようにたどるしかありません。自分の源となるような、自分の魂ともいえるような石に出会えたら、そしてそれを身につけることができたなら。きっと幸せですね。



続いて、優秀賞2首です。

金婚式には同化しているだろう
魔道具のごとくい込む指輪
(はっちさん)

結婚指輪は寝るときも入浴中も外さない人が多いもの。体型の変化や妊娠出産、闘病など、長い年月寄り添うなかで外れなくなるケースも少なくないようです。私の知人も、どうしても外れなくなって、ついに消防署でカットして取ってもらったそうです。
指輪が取れなくなっても、取らずにそのままにする人もいます。するとだんだん指に食い込むわけですが、それを「魔道具のごと」と表現しているのが面白い作品です。冒険物のゲームや物語みたいですね。なお「ごと」は「ごとく」と同じ意味の言葉です。 結婚は仲間(パーティ)を増やして協力しあって暮らしていく点では冒険のようです。ずっとずっと先の金婚式には、この指輪は完全に取れなくなっているだろう、でもそれでいいという、今のパーティに満足している気持ちが伝わってきます。


イヤリングを海に投げれば近いうちに
海の耳たぶがどこかわかるよ
(反時計さん)

「海の耳たぶ」という言葉にビックリしました。「母なる海」いう言葉もあるように、海はしばしば女性のイメージを持ちます。常に波音を立て、動きつづける海は、海そのものが生命体のようにも感じます。
ところで、どうして「イヤリングを投げれば」という発想に至ったのでしょう。この短歌中からは想像しかできませんが、「近いうちに」という雑さも相まってどこか自暴自棄なようすです。たとえば、恋人から贈られたプレゼントで、辛い別れを経験したのかもしれません。海の耳たぶがどこかわかるなら、投げちゃってもいいかもしれませんね。



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