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ラノベのタイトル、どうつける? 大ヒット作品から、ライトノベルのタイトルの傾向を考える

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創作お悩み堂

公募を愛するみなさん、ライトノベルを書く時、タイトルってどうやってつけていますか?

ライトノベルにおいて「タイトル」は、まさしく作品の看板となりえるものです。
読者に一目で物語の設定やジャンルを理解させ、興味を引くために重要な役割を果たします。
そのために、タイトル付けには「作品の内容をどの程度入れるか?」「どこまで作品について説明すべきか?」を見極めるスキルが求められます。

ライトノベルでは、「物語の内容を直接的に伝える」という傾向のタイトルが多い印象です。
一目見ただけでどんな作品か理解できる、インパクトがあって覚えやすい……ライトノベルにおいて、タイトルは読者を惹きつける、迎え入れる「窓口」同然のものです。

では、魅力的なタイトルをつけるにはどうすればいいのか?
この記事では、具体例を交えながらタイトル作りのポイントについて解説していきます。
早速見ていきましょう!
 

タイトルの役割って?

まず、ライトノベルにおける「タイトル」には、以下の役割が求められます。

①物語の内容や設定を伝える
物語の核となる要素を明確に示すことで、読者が一目で「どんな話なのか」が理解しやすくなります。

②インパクトを与える
タイトルを長くすることで目を引いたり、インパクトのある言葉を盛り込んだりすることで注目を集める方法。競争の激しいラノベ市場において「目立つ」ことは大きな武器になります。

③ジャンルや作風を示す
例えばタイトルに「魔法」と入っていればファンタジー、「生徒会」ならば学園もの…など、作品がどのジャンルなのかをわかりやすく表せます。

 

大ヒット作品から傾向を学んでみよう!

では、これらの要素を伝えるためには、実際にどのようなタイトルをつければいいのか?
幾つかの大ヒット作品を実例として、それらを考察してみましょう。 

その1:説明的タイトル

ライトノベルにおいて、最近のヒット作では、あえて「説明的なタイトル」をつけることで、読者の関心を引いて「読んでみよう」と思わせる作品がとても多いです。
以下に、例を幾つか挙げてみます。

①「転生したらスライムだった件」 (作:伏瀬)
大人気作品「転スラ」シリーズ。このタイトルを一目見ただけで「スライム」=ファンタジー世界であること、それに「転生した」=異世界転生ものであることがわかります。
さらにこのタイトルの優れているところは、RPG最弱モンスターのイメージがある「スライム」になってしまった! と最初に表現してしまうことです。
「最弱の存在であるスライムになってしまった。強いモンスターが跳梁跋扈する世界でどう活躍するんだ?」と読者の興味を引き、これから先の展開を盛り上げるための下地があります。

②「俺だけレベルアップな件」 (原作・原案:Chugong) 
このタイトルはずばり、「主人公だけがレベルアップできる状況」というユニークな設定を、端的かつわかりやすく説明しています。
「俺だけレベルアップ」、つまり「通常(ほかの人)はレベルアップできない」という世界観を端的に示すことで、「主人公だけが特別な能力を持ち、それによって快刀乱麻の活躍をしていくこと」を想像させ、読者の好奇心をくすぐる役割を果たしています。

③「異世界でカフェを開店しました。」 (作:甘沢林檎)
こちらも異世界転生。しかし主人公は「勇者」でも「救世主」でもなく、「カフェの店長」として平凡な(?)生活を繰り広げます。それを簡潔に明記したのがこのタイトル。
「異世界」という舞台設定と、「カフェを開店」というユニークな要素を一文にまとめることで、物語の作風を端的に表しています。

④「魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」(作:秋)
こちらの長いタイトル。これで、作品の根幹設定がほぼすべて説明されています。
勇者ではなくて「魔王」が転生した。が、やることは世界征服ではなくて学生生活? さらに魔王=最強の存在のはずなのに「不適合者」の烙印を押されてしまった…という、何じゃそりゃな要素をタイトルに明記する事で、読者の興味を引きます。

その2:インパクト重視のタイトル

たくさんの説明を盛り込んだタイトルが人気ですが、その一方で、インパクトのある言葉を使った作品も多いです。
タイトルに印象的なワードを入れることで、それを強力なフックとして、読者に強い印象を刻みつけるのです。
そういったタイトルを持つ作品も幾つか見ていきましょう。

①「ソードアート・オンライン」 (作:川原礫)
まず「オンライン」という単語が、「仮想現実世界」という物語の世界観とジャンル(=サイバーパンクSF)をわかりやすく表現しています。
実際にこの物語は、オンラインネットワークやVR(仮想現実)など電脳技術の設定が緻密に作り込まれていて、重厚なサイバーパンクSFという面を持っています。
一方「ソードアート」とは「剣」、つまり「中世風ファンタジー」を連想させます。主人公は、作品タイトルと同名の「VRMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)」=「仮想世界」に入り込み、物語の主軸はファンタジーゲームの世界で繰り広げられます。
「サイバーパンク」と「ファンタジー」、異なるジャンルが並行して進んでいくという作風が、語感のいいタイトルで表現されているのが、非常に凝っています。

②「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」( 作:理不尽な孫の手)
まず「転生」「異世界」という単語が、ジャンルをそのまま表現しています。
が、この作品タイトルの肝は「無職」というインパクト大の単語。さらに「~したら本気出す(=今は出す気がない)」という、主人公の無気力さを如実に表した言い回し。
これをタイトルに組み込むことで、主人公が「無気力な引きこもりである。肩書が“無職”だから、そこそこの年齢(だった)のはず」であると一目でわかるようにしています。

③「この素晴らしい世界に祝福を!」 (作:暁なつめ) 
「素晴らしい世界」「祝福」というポジティブな言葉が、物語の軽快さとコメディ要素を表現しています。
…が、いざ作品を読んでみると、異世界転生した主人公は、転生先の世界を「ろくでもない世界」と呼んでいるため、作品本編とのギャップを狙ったタイトルをつけた、という見方もできます。

④「Re:ゼロから始める異世界生活」 (作:長月達平)
まず目につくのは「Re:」という部分。これは「再び」「繰り返し」などの意味があります。メールの返信をする時に、件名につくのでもおなじみですね。
ここから、主人公の「ゼロから始める異世界生活」が一度だけではない=「異世界で何度死んでも、特定の時点からやり直せる『死に戻り』という能力を手に入れた」という設定を暗示しています。

 

魅力的なタイトルをつけるポイントは?

これら人気作品のタイトルに共通する「魅力的なタイトルをつけるためのポイント」をまとめてみましょう。

①設定を明確に伝える

ライトノベルのタイトルには、主人公や世界観の「設定」をそこでわかりやすく説明してしまうものが多いです。「転生」「スライム」「異世界」など、読者が興味を持つキーワードを盛り込むことがわかりやすくするポイント。

②インパクトを優先する

タイトルが長くても、その中にインパクトのある言葉を入れることで、読者の記憶に残るタイトルに仕上がります。ユニークな言葉の組み合わせを工夫してみましょう。

③ジャンルを明確にする

どのジャンルの物語か、を読者が一目でわかりやすく判断できるように、タイトルに「異世界」「学園」「冒険」など、ジャンルを示唆する単語を入れてみるのもポイント。

④タイトルの長さを活用する

タイトルの長さを利用して、その中で「キャラの特性」などの売り出したい要素を入れることができます。長くても覚えやすいような、いかにキャッチーなタイトルにするかがポイント。