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【アウト? セーフ?】公募作品が似た場合の著作権|短詩・標語・ロゴ・画像の考え方

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Q.応募後に同じ句を見つけてしまいました。

A.偶然の一致なら両者に著作権が認められます。

模倣した意識があるかどうか

短詩や標語は著作物かというと、短詩は文芸作品であり、判例を見ても著作物性が認められている。

一方、標語は文芸ではなく、誰が書いてもそうなるというようなありふれた内容、表現では、法的な保護は難しいといわれている。

しかし、公募では、交通安全スローガンの「ボク安心 ママの膝より チャイルドシート」という作品の著作物性が認められた判例もあり、標語やキャッチフレーズだから著作物ではないとは言いきれない。ジャンルではなく個々の作品を見て判断すべきだろう。

では、著作物性のある短詩や標語と同一または似た作品ができてしまったときは? 文章なら一から十まで同じという偶然はまずないが、短い作品ではまま起きる。

著作権侵害になるかどうかは類似性と依拠しているかどうかで図るが、類似していても依拠していなければ偶然の一致であり、両者に著作権がある。つまり、適法ということだ。

ところで、模倣したものがさして有名でもない作品であれば、ぶっちゃけて言えば、依拠したかどうかは本人にしかわからない。悪意があれば、パクっておいて偶然の一致ですと開き直ることもできてしまう。しかし、模倣した意識があるのなら著作権侵害。このことは肝に銘じておこう。

自由に創作して、応募時に吟味する

ネットで検索すると俳句や標語、コピー作品が無数に出てくる。「学ぶはマネぶ」と言うが、習作時代はそれらを参考にし、あるいは模倣し、ミックスさせながら、やがて自分の作風を作り上げていく。これは定番の修業法。

問題はこれらを発表、応募するとき。習作するときは自由に創作していいが、外に出すときは、それが誰かの表現を借用したものか、それとも新たに自分で創作したものか、自分に問うて見よう。

そこで「オリジナリティーがある」と言えるなら、他人にとやかく言われても胸を張っていられる。

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Q.画像検索をすると、似た作品が出てくる。

A.図案などが類似とされることは、極めて少ない

図案の類似は、レアケース

マークやロゴを画像検索すると、自作と似た作品が出てくる。こうなると、あとで盗用だと言われないか気になるが、著作権法上、図案が類似とされることは酷似していない限りはあまりない。

東京オリンピックのエンブレムの騒動では佐野研二郎氏が作品を取り下げたが、著作権の専門家の間では「あれは著作権侵害にならないのでは」が一般的な見解だそうだ。模写をしたようにデザイン手法までそっくりでなければ、類似かどうかは心配しないでよい。

著作物を絵や写真にする場合

文章の場合、登場人物の性格などを模倣することは問題なかったが、漫画などの登場人物の姿を描く場合はどうか。絵画は美術の著作物になるので、プライベートユースを超えて公表したり、販売したりすれば著作権侵害になる。

日常の風景や小物を描くのはどうか。これらは著作物ではない。建築や美術の著作物もあるが、恒常的に屋外に設置されているものは絵や写真に利用して問題ない。

東京タワーや東京スカイツリーは商標登録されており、イメージを損なうような使い方をする場合や商用の場合は許諾が必要となる。

やむを得ない写り込みはOK

平面的な絵画を忠実に再製するために撮った写真には創作性はないが、少し角度をつけて撮影しただけで著作物になり得る。他人の写真をトレースして利用すると著作権侵害になる可能性大。

ただし、歴史的建築物や風景写真の構図はアイデアであり、それ自体に著作物性はない。

写真や映像に著作物が写り込んでしまった場合はどうか。これは令和2年の法改正により、正当な範囲内なら著作権侵害でなくなった。ただし、漫画のキャラクターなど著作物を意図的に写り込ませたり、強調して写り込ませたりしたものは正当な範囲内ではない。

類似の問題、主催者の対応

主催者の対応について、文章系、短詩型系、デザイン系に分けて取材した。

文章系
「受賞作が、あるコミックのストーリーと酷似していると指摘があり、確認したところ、話や設定が酷似していました」(小説公募主催者)
上記のケースでは本人から「そのような作品は読んだこともない」との回答を得て、審査結果は動かなかった。

短詩型系
「既存の作品でないことを確認して入選を決定します」(俳句公募主催者)
短詩型の場合は、パソコンで検索できる。偶然の一致なら適法だが、類似作品がすぐに検索結果に出るようでは入選候補から外される可能性が高い。

デザイン系
「画像検索、商標の類似調査をしてから公表します」(デザイン公募主催者)
デザインの場合、法的には問題なくても、シンプルな作品ほど類似と見られやすい。類似かどうかよりオリジナリティーがあるかどうかが問われる。

※本記事は2021年6月号に掲載した記事を再掲載したものです。