【二重投稿はダメ? 著作権は戻る?】新聞投稿・公募作品の著作権Q&A大全


Q.採用作を二次使用しない場合、著作権は戻る?
A.作品を使用していなくても、著作権は消滅しません。
新聞投稿と著作権の問題
新聞で投稿が採用されたら、著作権は新聞社に帰属する。自分のブログや作品集に再録したいという場合は、その旨連絡して許諾を得れば問題ない。
逆にSNSに載せた文章を投稿に使う場合は? SNSでの掲載が未発表にあたるかということだが、個人のブログなど閲覧者が限られている場合は特に問題はなく、削除してあればなおOK。
新聞投稿で問題になるのは、採用されないのでもうボツになったのだろうと別のところに投稿したところ、思いがけず両方採用になってしまうということ。
せっかく書いたのにもったいないが、こうしたことにならないように書き直したほうがいい。同じ題材でも、前の原稿を見ずに新たな気持ちで書けば、中身が変わり、質もよくなっているはずだ。
投稿文の中で他人の著作物を使う場合は、引用という形をとる。その際、出典まではわからないと
いうことがあるが、その場合はできる範囲で出典を調べ、わからなければ作者名を表示する。
このとき、引用文を間違えて書いてしまったら? よくはないが、故意でなければやむを得ない。
応募規定に著作権が誰に帰属するか書かれていない場合は? この場合は投稿者にあるものとして留保されていると考える。
新聞等の投稿の著作権
二重投稿はなぜいけないの?
二重投稿を許すと、著作権者が複数いることになる。また、同じ投稿が複数の新聞に載ることになり、幅広く意見を取り上げるという趣旨にも反する。新聞に限らず、応募するときは二重投稿禁止を前提に原稿を書こう。
投稿するとき、名前を書き忘れた
名前を書かずに応募しても、著作権を放棄したとは見なされないので大丈夫。名前がないと誰かに盗用されかねないので注意が必要だが、日記やパソコンの履歴などで自分の著作物だと証明することは意外と容易のようだ。
文章を修正されました。これは改ざんになる?
無断で原稿を書き換えれば、著作者人格権の同一性保持権の侵害になる。しかし、新聞投稿の規定には「趣旨を変えない範囲で加筆修正する」旨、書かれている。投稿はこれに同意して応募したものと見なされる。
投句の場合の選者の添削は問題なし?
「NHK 俳壇」の投句欄に応募し、添削されて掲載されたことを著作者人格権侵害として訴えた事件があるが、選者が芸術的な観点と教育的な見地で添削するのは俳句の世界の慣行として侵害は認められなかった。
創作と著作権 その他の疑問を一挙解決!
ここでは総まとめとして、著作権に関するその他の疑問、公募や創作に関するさまざまな疑問に回答していこう。
私の作品とそっくりなものが入選している!
盗作されたのが事実であると証明し得るのなら、まずは主催者に連絡し、入選を取り消してもらう。それが拒否された場合は、弁護士を通じて使用を差し止め、損害賠償を求める。ただ、その前に著作権侵害かどうかも考えたい。ストーリーは保護されず、小説の中のワンシーンが似ているというのもよくある。俳句や標語などは偶然の一致もある。適法でないか、よく考えて行動を。
パロディーやオマージュは、著作権侵害?
パロディーはもじり、オマージュは敬意による模倣。日本の著作権法にはパロディーやオマージュを自由にしてよいとする規定はなく、あくまでも元の作品をどのように複製しているか。アイデアを借りてリメイクしたり、続編を書いたりするのは問題ないが、具体的な表現を使用すると問題になる。また、表現を借りていなくても、著作者人格権侵害になる場合があるので注意が必要。
盗作ではないかと当事者でない人から言われた
作品を公表したとき、「○○にそっくり」と言われることがある。そんなときはどうするか。作品がオリジナルであることを前提に言えば、弁護士でもない人が「似ている」と騒いでも、著作権法上は適法の場合も多いので、過度には慌てないこと。また、問題があったとしても、著作権は親告罪なので、第三者は訴えられない。既存の作品の著作権者が問題化していないのなら言わずもがな。
損害賠償っていくら?
既存の作品Aに似たBを書いたとして、この場合ならAにどれだけの損失があったか考える。たとえば、2万部売れるはずが1万部になった、だから○万円など。Bに売り上げがあればそれが損失額になる。ただ、Bがアマチュアの作品なら経済的な損失はほとんどないから、そうなると慰謝料ということになるが、そこまでこじれることはまずなく、あっても額はさほどでもないと推察される。
作品の中で歌詞を掲載したいときは?
歌詞の一部を掲載する程度なら引用という形で済む。しかし、まとまった量の歌詞をとなると許諾が必要となる。許諾はJASRAC(日本音楽著作権協会)が管理している曲ならJASRACに申請し、必要な料金を支払い、許諾番号を掲載する。ただ、自費出版でなければ、許諾は発行元が行うことになる。これを避けて選外とされる可能性も否定できない。できれば引用で済むようにしたい。
「著作者人格権を行使しないこと」って何?
著作者人格権を行使すると、作品の改変はできなくなる。やむを得ない改変は許されるが、文章の場合、場合によると誤字の修正もできなくなる。上記の文言は、これを行使されると作品の質が保てなくなることもあり、趣旨を変えない範囲の加筆修正は一任してほしいという意味。修正はだいたいは不備を改善したものであり、公募の活性化とスムーズな運営のためにも協力しよう。
WEBで公開したものは未発表になるか
ここでいう未発表は著作権法上の未公表とは別の概念になるが、未発表作品とは出版も商業誌に掲載されたこともない作品を指す。ほか、個人のSNSなど閲覧者が限られている場合や、同人誌・自費出版(非流通)、グループ展、個人的な年賀状で発表しても問題はない。落選作品も規定が「応募作品の著作権は主催者」でなければ再応募可能だが、落選理由を考え、書き直しを推奨する。
主催者は譲渡された作品をどこまで使っていい?
「入賞作品の著作権は主催者に帰属」とだけ書かれていることが多いが、だからといって主催者は入賞作品をどのようにも使えるわけではなく、賞金と照らし合わせ、常識の範囲を超える使い方をする場合は別途契約を結ぶ。たとえば、ゆるキャラを募集し、アイコン等に使うのはいいが、グッズを制作し、それで莫大な利益を得てしまったという場合なら、著作者には請求権が発生し得る。
※本記事は2021年6月号に掲載した記事を再掲載したものです。