【著作権を学ぼう!】どこまでがOK? 創作を恐れないための著作権の基礎知識


知って安心! 著作権と応募のルール
「著作権侵害になる」「盗作では?」「訴えられる」と聞くと、過剰に怖がってしまうのは、著作権についてよく知らないから。そこで公募に関する著作権と応募のルールを解説!知識を得て、恐れずに創作しよう!
基本的な考え(編集部より)
本特集は、以下の二つの考えのもとに制作をしています。
一つは、なるべくわかりやすくすること。著作権侵害となるかどうかは少し条件が変わっただけで結果が変わってくることがあります。それゆえ「こうなる可能性が高いが、それも条件による」といった言い方になりますが、本特集では一定の確度があれば、ある程度は言い切るようにしています。
また、「この場合は適法」と言うこともありますが、それは真摯な態度で創作に打ち込んでいる人たちが、著作権侵害にはならないかと恐れて、問題がないのに創作を避けてしまうことがないように言ったものであり、盗作を推奨したものでは決してありません。
この二つを含みおいてお読みいただければ幸いです。
誰でもわかる 著作権ってこういうもの
著作権とは何か。定義は何か。目的は? この機会に知っておこう!
著作権とは財産権、利益を守る権利
著作権の一面は財産権。端的に言えば、「私の創作物で利益を得る権利は私にある。君が勝手に利益を得たらだめよ」というもの。
では、著作物の定義はというと、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法第二条第一項第一号)
ここで重要なのは「創作性」と「表現したもの」。創作性というと高度なものである必要がありそうだが、なんらかの個性が表れていればよく、幼稚園児の落書きでも著作物になり得る。
ただし、具体的な表現でなければならず、形になる前のアイデアは著作物ではない。
著作権とは?
複製権、上演権・演奏権、公衆送信権、翻訳権・翻案権等などを含む権利の束。保護される期間は著作者の死後70年(映画は公表後70年)。著作権(著作者人格権も)は創作した時点で発生し、登録や手続きは不要。
著作権(財産権)
著作権は財産権。「著作権は主催者に帰属」の規定でもわかるように譲渡できる。著作物の創作者のことを著作者と言い、著作権を持っている人のことは著作権者と言う。
著作者人格権
著作者人格権は一身専属権で、譲渡はできない。著作権を譲渡しても、著作者人格権は残る。保護期間を過ぎると消滅するが、それでも著作者の人格を害することはできない。
著作権解説1 私が作った表現は、私の財産であるべき
他人の表現は勝手に変えられない
著作権にはもう一つの面があり、それが著作者人格権。これを細かく分けると以下の三つがある。
公表権は、未公表のものを勝手に公表しないでと言う権利。
氏名表示権は、公表するときに著作者名を表示する権利。
同一性保持権は、勝手に変更や改ざん、加筆修正、写真のトリミングなどをさせない権利。
また、厳密にいうと著作者人格権ではないが、同視できる権利に名誉・声望保持権がある。これは著作者の名誉を害するような使い方を制限するもの。
たとえば、悪意あるパロディーやリメイクで名誉を傷つければ名誉・声望保持権の侵害となる。
ただ、どんな変更にもクレームをつけられるわけではなく、権利を行使するのは人格にかかわるような変更に限るという意見もある。
著作権侵害かどうかは手順を踏んで判断する
著作権(財産権)侵害かどうかは、どう判断すればいいか。
まず、元の作品は著作物だったかどうか。著作物の定義は「思想又は感情を創作的に表現したもの」だったが、ありふれた表現や事実、データは著作権では保護されない。また、著作権が切れた創作物を使っても侵害にはならない。
次に、どの程度似ているか、また似ていたとして、どの程度、元の作品に依拠しているか。俳句など短いものはほぼ同時期に偶然似た作品ができてしまうこともあるが、偶然の一致なら両者に著作権が認められる。
最後は、実害があるか、あっても著作権者が問題化したいと思うかどうか。悪質な盗用や営利目的の使用は別だが、普通に創作している分には、著作権法上、大きな問題となることはまずない。
著作権法上、問題になるかどうか
作品Aと作品Bが似ているのでは?となったときの判断のポイント
POINT1 先行作品と同じ表現を使っていいか
下記のものは自由に使える
①ありふれた表現
②事実やデータ
③公有(パブリックドメイン)
POINT2 先行作品が著作物だとして、著作権侵害かどうか
下記の場合は侵害にならない
①類似していない
②依拠していない
POINT3 類似しているとして問題になるか
①財産権を侵害しているか
②著作者人格権を侵害しているか
③相手は許容してくれるか
著作権解説2 アイデアまで独占せず、社会の共有財産にしよう
文化の発展になるかという観点で考える
著作権法の第一条にこうある。
〈……著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。〉
著作権というと「権利の保護」にばかり注目してしまうが、その目的は「文化の発展」。
たとえば、ストーリーまで著作物として保護したとしよう。「男女が入れ替わるというストーリーを思いついた。もう誰にも使わせない」「過去にタイムスリップするアイデアを考えた。まねしたら訴える」。こんなふうになったら怖くて誰も創作などしない。アイデアはみんなの共有財産にして、どんどん再生産したほうが文化の発展につながるのだ。
悪質または営利目的でなければ許容されるべきとまでは言えないが、権利を行使するときは、文化の発展に寄与するかという観点でも考えてみてほしい。
著作権侵害とならない場合
引用
他人の著作物でも、引用の場合は利用できる。ただし、自分の作品が主で、引用が従であること、自分の作品と引用部分をカッコや1行空きなどで明瞭に区別すること、出典を明記することが条件。また、引用は引用する必然性がなければならない。
類似性がない
誰かの創作物にインスパイアされた場合、その影響が出てしまうことがあるが、意識的にしろ無意識にしろ、結果的に生み出した創作物が似ていなければ著作権侵害とはならない。ただ、似ている、似ていないの境界はあいまいで、グレーの部分がある。
プライベートユース
他人の著作物でも私的利用なら使用できる。テレビを録画しても書籍をコピーしてもいい。利用できる範囲は「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」と狭く、また利用はできるが、販売したり公表したり、SNSに上げたりはできない。
依拠していない
「似た作品があることなど知らなかった」ということもあり、認められれば偶然の一致で適法となる。ただ、長文や音楽などでは偶然そっくりになることはまずあり得ず、引き写すように同じ箇所があれば、それは依拠した証拠とされる可能性が高い。
※本記事は2021年6月号に掲載した記事を再掲載したものです。