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【創作はうんこ?!】関取花さんに聞く!「たくさん食べたらたくさん出るように、たくさんの経験をしてきちんと吸収したら、いい曲がたくさんできる」

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創作はうんこである 
食べれば食べただけ出る 出ないときは出ない

音楽、トーク、エッセイと垣根なく活躍する関取花さん。11月には喜怒哀楽たっぷりの日常をつづった初の著書『どすこいな日々』を発売。今回は〝書くことへの思い〞を伺った。

全部出してから整理するといい

——文章は前から書かれていたのですか。

文章を書く仕事をするようになる前からブログは書いていました。最初にエッセイを書くのが楽しいなと思ったのは、大学生のときにエッセイを書く授業をとったのがきっかけです。エッセイを提出して、いい作品が講評されてという実践的な授業でしたが、のめり込むように書いていましたね。

——子どもの頃はどうでしたか。

科目で言えば国語は大好きでした。長文読解などは答えがないじゃないですか。「このときの気持ちを100文字以内で答えよ」のような問題を自由に想像するのが楽しくて、勉強という感じではなく、楽しんでやっていました。

——エッセイのネタはどんなふうに見つけていますか。

数年前までは〝探しにいこう〞という姿勢でした。ブログ、ラジオ、テレビ、ライブのMCで同じ話をしたくなくて。でも、見つけようと思うと、季節の花が変わったとか、風のにおいが変わったとかには気づかない。そんなことよりも〝目につくわかりやすいものを〞ってなっちゃうんです。それももったいないので、最近はただ散歩に出かけて、そのときに感じたことやいいなと思ったことをメモするようにしています。

——あとでメモを見ても思い出せないことは?

メモを読み返して、覚えていたらそれは面白いネタ。覚えていなければエッセイにするほどのことでもなかったのかなと清算します。

——エッセイと歌詞では違う?

エッセイのほうが自由ですね。詞を先に書く人は自由に作詞できると思いますが、決まったメロディーに決まった歌詞を付けるとなると、どこをどう引いたらいいかわからなくなることがあります。でも、文章を書く仕事をするようになって、歌詞を書くのも楽になったんですよね。

——というと?

全部出してから整理すればよかったんだって気づきました。前は限られたメロディーの中にパズルをはめるようにやっていましたが、絶対入るはずのない箱にたくさんのおもちゃを詰め込もうとしても、ごちゃごちゃになっちゃうじゃないですか。でも、1回ばあって広げて、「これはいる」というものを選んで箱に詰めたら、実はきれいに入る。文章でやっていたこのやり方が作詞にも生きました。

本意を伝えるには続けるしかない

——自分のことを包み隠さずに書くとき、ブレーキをかけてしまうことはありますか。

自分のことを書くときに、ためらうことはないですね。自分をよく見せようとか、上手に書こうという気負いがないんです。

——子どもの頃から積極的に自分を表現できていましたか。

自分の性格についてコンプレックスがあって。父の仕事の関係で転校が多かったので、常に人の反応を気にして、浮かないようにしていました。本当はこれがやりたいけど、みんなはこういう感じだからそうするか、と当たりさわりのないようにやっていましたね。

——その殻はどのようにして破ったのですか。

大学生になり、就活中に、作詞、作曲した『むすめ』が神戸女子大学のテレビCMソングに起用され
て、曲のほうが先に世に出てしまったんです。

——周りの反応を気にして前に出ないようにしていたけど、もう曲が独り歩きしてしまったと。

気になるのでツイッターとかを見て、いろんな意見をいただいたのですが、CMは尺も短いので、自分の本意でない伝わり方をしている意見もあったんですね。

——SNSの怖いところです。

今までの自分の性格だったら、ただ傷ついて、「じゃあ、嫌われないような言葉だけ選んでやろう」だったと思うんですが、このときは、絶対にちゃんと聴いてもらったら伝わるはずだと前向きにとらえられて、この人たちに伝えるにはどうしたらいいか、続けるしかないなと思えました。

転校ばかりしているときは、その場限りのコミュニケーションをとってしまったけれど、それがいけなかったんだと気づかされて、でも、音楽でだったら、「いや、私はこれを伝えたいんです」を主張できる、コンプレックスも解消できる、そして自分を好きになれる気がして、この道に進みました。

さらけ出せば、誰でも面白い

——『どすこいな日々』の中に、「あなたにとって音楽とは」と聞かれたら「うんこ」と答えると書いてあるのには度肝を抜かれると同時に、創作ってそうだなと思いました。

「たくさん食べたらたくさん出るように、たくさんの経験をしてそれらをきちんと吸収したら、いい曲がたくさんできる」と書きましたが、ミュージシャンの友達にも「同じことを思っていた」という子が多くて。もの書きの方もそうなんじゃないかと思います。出ないときは出ないし、それでもあれこれ試して必死にあがき、いいものが出せたときは晴れやかな気持ちになります。

——まさにうんこですね。それを出せない人、恥ずかしいから出したくないという人もいます。

みんな書いたら面白いものが書けると思いますよ。ファンレターをいただいて、「前に花さんのライブに一緒に行った彼と別れちゃいました」とか、「花さんがきっかけで付き合うようになりました」とか、気持ちが伝わって、みんなめちゃめちゃ面白いですよ。上手だという自覚もないと思うし、上手に書こうともしていないと思いますが、ありのままの気持ちが乗っていたら、ありふれた話ほど面白くて。心を開いて、さらけ出して書けば、誰でも面白いものが書けると思います。

——逆に狙うと失敗したり。

考えるとだめで、たとえば、広島に行って、「カープのあのピッチャー、いい球投げるね」とか言ったら盛り上がるかもしれませんが、気持ちが伝わっているわけではない。それより、「広島と言えばカープですね、赤だよね……」と言ったほうが、「花ちゃん、こうだよ」と話に乗ってくれます。狙うと、絶対にすべるんですよ。

——今後、チャレンジしたいことはありますか。

夢はいつか両国国技館でワンマンライブをすることです。何しろ、名前が関取(本名)ですから。

両国国技館ってすり鉢状なので、こちらが見下ろすのではなくて、360度お客さんに見守られなが
ら、お客さんに背中まで見せるんですよ。これって文章を書くのにも通じて、私は背中まで見てもらって、背中まで面白い人でありたいと思っています。

関取花さんに3つの質問

思わず読みたくなる文章とは?

ヘルマン・ヘッセが好きです。読み進めると、ある地点から怒ど 涛とうの比喩で畳みかけてきます。すごく繊細で、思わずページをめくるのも早くなります。そんなふうに引き込まれる文章が理想です。

書かないようにしている題材は?

音楽制作のことですね。この曲はこんな思いで作ったとか語るのはいいわけっぽくて野暮だと思っています。答えは楽曲にあるので、それは聴いてもらえればわかると思っています。

表紙のイラストがとてもかわいい

イラストも自分で描いています。関取なので「どすこいちゃん」と言います。大学生のとき、ホームページに自分の顔を載せる代わりに載せていたキャラクターです。私じゃない私です。
 

関取花
1990年生まれ。伸びやかな声で心に響く楽曲を歌い続けるソロアーティスト。テレビ、ラジオのほか、エッセイでもマルチに活躍。関取は本名で、関所の門番の取り締まりが由来。

『どすこいな日々』(晶文社・1500円+ 税)
幼少期のエピソードや大好きな本、家族との距離感など、独特のユーモアや哀愁が漂うエッセイ集。毎日開きたくなる生活アイテムのような1冊に仕上がっている。

※本記事は2021年1月号に掲載した記事を再掲載したものです。