心の世界を1編の童話に! 「全国高校生童話大賞」
富士大学と花巻市、花巻市教育委員会では、高校生を対象に童話作品を募集しています。締切は2022年9月9日。金賞は図書カード10万円分が贈られます。さらに、賢治のまち花巻への研修旅行にご招待! 君にしか書けない斬新な作品を応募してみよう。
ファンタジーやSFなどテーマは自由!
『銀河鉄道の夜』や『風の又三郎』など、美しく心に残る童話を数多く書いた宮沢賢治。学校の教科書にも載っているので、みなさんも一度は読んだことがあるのではないでしょうか。
そんな宮沢賢治の生まれ育ったまちである岩手県花巻市が開催する本賞。夢のある自由な表現の場や、豊かな創造力と瑞々しい感性を引き出す機会を全国の高校生へ提供したいという想いがあるそうです。
400字詰め原稿用紙5枚~20枚の童話作品であれば、ファンタジーやSF、ミステリーなど、ジャンルは不問。心の中に広がる世界を自由に表現してみてくださいね。
主催者HPには、書き方のアドバイスが載っています。審査員からのアドバイスは特に必見! 「最後の終わらせ方が中途半端になっていないか」、「セリフに難しい漢字を使っていないか」など、自分では気が付かないポイントも指摘されていて、とても参考になります。
文章力の高さが評価され金賞に!
これまでに20回開催され、20,000編を超える作品が応募されたこちらのコンテスト。前回は、182校から958編が集まり、金賞1点と銀賞3点、銅賞7点が選ばれました。金賞作品のあらすじと選考委員コメントをご紹介します。
金賞受賞作品 『縞猫』
<作品のあらすじ>
岸辺に立派な1匹の猫が住んでいました。毛並みは美しく、理知も働きますが、唯一泳ぎができずに悩んでいました。ある日、猫は水鳥の卵を盗もうとしたいたちを捕まえ、お礼に水鳥に魚を取ってもらいます。それをきっかけに、泳げないこと、いたちを捕まえたことなど、猫はさまざまな葛藤に苦しむように。家に帰って星に悩みを話していると、いたちが盗み聞きをしていてある言葉を猫に投げかけます。それは猫を後戻りできないところまで追いつめてしまい……。
<選考委員コメント>(一部抜粋)
文章力の高さは応募作中でも随一と言えるのではないでしょうか。童話であるからには、読み手にわかりやすく書くということも意識できたらと思いました。(石野晶氏)
縞猫の「泳げない」をめぐる自己追及は、あたかも賢治の「よだかの星」を思わせながら、どこまでも海の奥底へ沈潜していく。よくぞ描き切ったものだ。(牛崎敏哉氏)
自分の弱さを受け入れられず、自分より優れた者を賞賛できず、周囲の人たちの期待に応えられない自分を否定する猫の姿は、過剰な自己意識に苦しむ現代の私たちの姿によく似ています。(夏井敬雄氏)
それぞれの心の葛藤が、両者(猫といたち)のやりとりを通して、丁寧に描かれています。「海底へ行きたい」というつぶやきが、悲しく心に残る秀作です。(やえがしなおこ氏)
(出典:「第二十回全国高校生童話大賞 受賞作品集」
https://p1.ssl-dl.jp/dl/41278-447f5858063bf7668762bb112bb39647 )
金賞に選ばれたのは、現代に生きる人々の姿を想起させる作品です。童話ですが大人の読者にも読み応えのある作品が金賞に選ばれました。受賞作品の選考委員コメントが作品を書くヒントになるかもしれませんね。
主催者HPから、選考委員コメントも含めた受賞作品集のPDFをダウンロードできます。応募を考えている方は、ぜひ読んでみてくださいね。君も宮沢賢治のような、美しい世界観の童話づくりに挑戦してみよう!
香山衣美
ライター。公募の入選回数は400回以上。得意分野は川柳や短いエッセイだが、最近はアートや料理公募でも入選している。「公募ライター香山が挑戦!」企画も連載中。
出典:http://www.fuji-u.ac.jp/koukousei-douwa
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