あなたとよむ短歌 vol.28 「見る」は「要る」か?
入選を逃した短歌や投稿できなかった短歌などを募集し、歌人・柴田葵さんと一緒に短歌をよむ(詠む・読む)連載です。ただいま、テーマ詠「食べ物」で作品を募集中!
(『母の愛、僕のラブ』より)
「見る」は「要る」か?
じっとりと暑い日が増えてきました。日の当たる時間が長くなるのはうれしいですが、体調も崩しやすい季節です。
疲れた体には、短くて、どこからでも読みはじめられる歌集がなじみます。最近は、図書館などにも若手歌人の歌集が多く並んでいるようです。ぜひ手にとってみてくださいね。
それでは今月も、みなさんの一首を読んで・詠んでいきましょう!
「容彩祭詩歌コンテスト」は、オンラインゲーム『原神』のイベントとして今年の4月に開催されました。『原神』は美しく広い空、海、山、町などを冒険するオープンワールドRPGです。リアルな世界観を持つ最近のゲームをプレイすると、ゲームのなかでもう一人の自分が生きているような気さえします。
近年、ゲーム関係の公募も増えてきたそうです。特に多いのはゲームキャラクターのファンアートなどの募集ですが、この容彩祭詩歌コンテストのように「ゲームに関する短歌や川柳を募集」というのはユニークですね!
私は『原神』をプレイしたことがないので、公式WEBサイトなどを見てみました。なんて鮮やか! COCOさんが詠まれたように、雲や空も奥行きのある美麗なグラフィックが印象的です。ちなみに、プレイ中にグッピーを釣ったりできるようです。楽しそう!
COCOさんの作品は、私のようにゲームを知らない人でも共感できる一首です。特に夏は雲がもくもくと見える季節ですね。時間と共に次々と形を変えていく雲は、まるで連想ゲームのようで見ていて飽きません。
どうせだったら、もっと具体的に連想を続けてほしいきがします。より想像が広がりそうです。そう考えたとき、削るとしたらどこを削りましょうか?
私だったら「ながめ」を省略します。雲の形について詠んでいる、というだけで、雲を眺めていることが伝わるからです。
『原神』をプレイしていないので、ゲームの本質からずれてしまっていたら申し訳ありません。改作の一例として読んでみてください。
「眺め」という言葉を入れなくても、雲を眺めていることは伝えられます。小さなグッピーのような雲が、流れに流れて、大きく伸びる龍のような雲に追いつく様子です(『原神』には龍も出てくるようですね!)。
人間は五感のうち、視覚から約8割の情報を得ていると言います。短歌も、基本的には「見た」ことを表現することが多いものです。だからこそ、特に「見る」という動詞は省略できる可能性があります。反対に、敢えて入れることで何かを強調することもできそうです。
引き続き、一緒に「読む・詠む」短歌を募集中です。コンテストだけでなく、新聞歌壇、雑誌投稿、WEB投稿の短歌(投稿できなかった短歌)もお待ちしています!
連載30回に向けた特別企画として、短歌を募集します! 課題はテーマ詠「食べ物」。採用された3首は30回の記事で、柴田葵さんの講評をもらえます。ふるってご応募ください!
応募規定 | テーマ詠「食べ物」で作った短歌をお送りください。 |
応募方法 | 応募フォームもしくはTwitterでご応募ください。Twitterの場合は公募ガイド公式アカウント「@kouboguide」をフォローして、ハッシュタグ「#あなたとよむ短歌30」をつけてツイートしてください。 ※応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。 |
賞 | 採用3首=公募ガイドONLINE上で講評、Amazonギフト券2000円分進呈 |
締切 | 2022年7月31日(日) |