子どもたちに夢を届けて! 「福島正実記念SF童話賞」
創作集団プロミネンス・岩崎書店では、小学校3・4年から読めて高学年でも楽しめる童話作品を募集しています。締切は2023年9月30日。隔年開催です。大賞には賞金20万円が贈られます。さらに、大賞作品は岩崎書店から出版。児童文学作家としてデビューするチャンスです!
空想物語ならばどんなジャンルでもOK!
日本のSF界育成に多大な貢献をし、児童向けSFの翻訳家・作家としても活躍した福島正実氏の名を冠したこちらのコンテスト。少年文芸作家クラブを結成し、子ども向けSFエンターテインメントの隆盛を願った福島氏の思いを継承し、1983年に設立されました。
大賞受賞作が単行本として出版され、課題図書やベストセラーになるにつれて応募数も増加。現在では毎回200編以上の作品が集まるようになり、児童文学作家をめざす新人にとって重要なコンテストとなっています。
「SF童話賞」となっていますが、募集ジャンルはSFに限らず、SF的なファンタジーや冒険もの、ミステリー、ホラーなど、単行本になりうる空想物語であれば応募可能。作品の主人公の年齢も限定していないため、子どもに限らず大人や宇宙人などでも問題ありません。
詳しくは主催者HPの「よくある質問」に掲載されているので、応募の前にご確認ください。
最新の科学技術を取り入れた作品が受賞!
これまでに多くの児童文学作家を輩出してきた同賞。第35回では、木内南緒さんの『AIロボット、ひと月貸します!』(受賞時の『AI、ひと月貸します!』から改題)が大賞となり出版されました。大賞受賞の決め手は何だったのか。作品内容と第35回の選評をご紹介します。
【作品内容】
我が家にエイトという名前のAIロボットがやってきた。ぼくにそっくりで、ぼくよりうんと優秀! 最初はいろんなことをやってもらえてうれしかったけど、だんだん不安になってきて…。涙と笑いの一か月が過ぎて、その日は来てしまった。
心通うはずのないロボットとの確かな心の交流を描いた、胸が熱くなる作品。
【選評】(一部抜粋、選評の全文は主催者HPから閲覧可能)
きっちりとした起承転結、オーソドックスを守りながらしっかりと立たせたキャラ、そして、その合間にちりばめていく小ネタ、と、これぞ小学生目線で楽しませる書き方なのだ。(石崎洋司氏)
決め手になったのは「この方の次の作品を拝見したい」という気持ちでした。きっとこれからもよい作品を書いてくださる、と思った方を推しました。(後藤みわこ氏)
人工知能というものが、より身近な、ごく当たり前の存在になってきているのを改めて強く感じます。奇想天外で非常に面白く、ラストもきれいにまとめてあります。(廣田衣世氏)
児童文芸ジャンルではおそらく初というAIが、タイトル通りに主役を張る。といっても小難しい理屈はまったく抜きで、(略)熱い友情で結ばれる軽快で秀逸な成長物語になっている。(南山宏氏)
(出典:「第35回選考経過、選評」
https://www.iwasakishoten.co.jp/news/n33920.html )
AIという現代の科学技術を反映しつつも、読者目線で書かれた点が受賞のポイントとなったようですね。こちらの作品は出版後、愛媛出版文化賞を受賞したり、韓国や中国などでも翻訳出版されたりしています。さらに、今年の9月には、著者の第3作目の刊行も予定されています。
次に児童文学作家になるのはあなたかも! みなさんぜひ応募してみてくださいね。
香山衣美
ライター。公募の入選回数は400回以上。得意分野は川柳や短いエッセイだが、最近はアートや料理公募でも入選している。「公募ライター香山が挑戦!」企画も連載中。
出典:https://www.iwasakishoten.co.jp/news/n10461.html
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