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あなたとよむ短歌 vol.24「答え」を言わない

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川柳・俳句・短歌・詩
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あなたとよむ短歌
vol.24
「答え」を言わない

ついにこの連載も2周年を迎えました。読んでくださる方々、大切な作品を送ってくださる方々のおかげです。ありがとうございます!

2周年だからか、公募ガイドONLINEリニューアルのためか、今回は投稿数がとても多かったです。魅力的な作品ばかりでご紹介しきれないのが残念です。ご投稿前に、よければぜひバックナンバーも読んでみてくださいね。引き続き、作品をお待ちしています。

それでは今月も、みなさんの一首を読んで・詠んでいきましょう!

大好きな君の隣で見る花火1ルクス分明るく光る
(真冬の雪光さん/令和相聞歌/テーマ「恋」)


令和相聞歌は、「恋人の聖地」に認定された香川県宇多津町が開催している公募です。相聞歌は、恋愛を含め、大切な人を思って詠んだ短歌を指します。この公募では令和時代の相聞歌として、80字以内であれば短歌に限らなくても応募可能だそうです。もちろん、短歌でもOK。テーマは「恋」ですが「恋」の字を作品に入れるかどうかは不問です。

真冬の雪光さんの応募作は、しっかりと短歌の定型(57577)に収まり、リズムよくあざやかな一首です。なによりカッコいいのが「1ルクス分」という表現です。明るさの単位で「恋」を表現することで、不器用な雰囲気や、抗いようのない運命を感じます。

ここでは「大好きな」という1句目について考えてみたいと思います。この正直でまっすぐな表現は、私はとても好きです。もし連作(複数の短歌をまとめて1つの作品にすること)であれば、このような開放感のある明快な表現もより輝くような気がします。

ただ、「大好きな」というのは「君」に対する感情の答えです。最初に書いてしまうと、せっかく後から「1ルクス分明るく光る」とカッコいい表現で恋を表している、そのインパクトが薄れてしまう気がします。「大好きな」と明確に表現できる関係性や感情ならば、「1ルクス分明るく光る」という比喩をするまでもなさそうです。

なぜだろう君の隣で見る花火1ルクス分明るく光る

たとえば、このように少しすっとぼけてしまってもいいかもしれません。「なぜだろう、どうも花火が明るい、これは恋…?」という発見の短歌になります。

グーひとつ君の隣で見る花火1ルクス分明るく光る

もう1パターン、今度は「君」との距離を入れてみました。こぶし1個分、微妙な近さでドキドキしますね。「1ルクス」という物理的単位に比べ、君との距離は「グーひとつ」で計るというのも、ちぐはぐでもどかしい「恋」の雰囲気を伝えられそうです。

引き続き、一緒に「読む・詠む」短歌を募集中です。コンテストだけでなく、新聞歌壇、雑誌投稿、WEB投稿の短歌(投稿できなかった短歌)もお待ちしています!

 
■講師プロフィール
柴田 葵 1982年、神奈川県生まれ。元銀行員、現在はライター。「NHK短歌」や雑誌ダ・ヴィンチ「短歌ください」、短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」への投稿を経て、育児クラスタ短歌サークル「いくらたん」、詩・俳句・短歌同人「Qai(クヮイ)」に参加。第6回現代短歌社賞候補。第2回石井僚一短歌賞次席「ぺらぺらなおでん」。第1回笹井宏之賞大賞「母の愛、僕のラブ」。
応募要項
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