東京藝大×JR東日本 上野駅ギャラリー「CREATIVE HUB UENO “es”」2025年度前半 展示会スケジュールのお知らせ
【5/20~6/15】 久保田荻須智広 個展「5/?のR」が開催

JR上野駅構内の「CREATIVE HUB UENO “es”」(2024年4月開設)では、東京藝術大学の各科より推薦されたアーティストの展示を開催しています。この度、2025年度前半の展覧会のスケジュールをお知らせします。
2017年に美術学部絵画科を首席卒業後、ウィーン応用芸術大学への交換留学を経て、現在は大学院美術研究科博士後期課程に在籍中の久保田荻須智広によるインスタレーションが5月20日(火)からスタート。
続いて、陶や粘土を用い、他者との関係性を主題に国内外で作品を発表している平山匠、ノルウェーの首都オスロと東京を拠点に幅広い分野で活躍し、2023年に平山郁夫文化芸術賞を受賞したナタリー・ツゥー、中国黒龍江省ハルビン市生まれ、現在は東京を拠点に映像・写真・ドローイングを始めミクスト・メディウムの制作を行なっているリリー・ナイトの作品を紹介。
後半に向けてますます注目の展示が続きます。東京藝術大学を経て、世界で活躍する注目の若手クリエーターの個展にぜひお越しください。
<ギャラリー概要>
□住所:CREATIVE HUB UENO “es” 東京都台東区上野7-1-1(上野駅浅草口付近)
□時間:11:00~19:00(最終入場18:45)
□休場:月曜定休(祝日の場合は翌日に振替)
□入場:無料
□ウェブサイト:https://ueno-es.jp/
■展示スケジュール(2025年6月~2025年11月)

※展示時期、展示内容は変更になる可能性がございます
■次回展示

《一時的廃棄目録》2017, 素材可変(倉庫から移動されてきた諸物品)
久保田荻須智広 個展「5/?のR」
会期:2025年5月20日(火)~ 6月15日(日)
2025年、久保田荻須は2017年の卒業制作《一時的廃棄目録》を再構成します。本作は、生活空間に蓄積された家族の物品や自身の過去作品を取捨選別しながら、展覧会という場を生活環境の改善装置として活用するタイムスペシフィックなインスタレーションです。本展では、生活と制作が重なるプロセスの再演を通して、「R=再利用・再配置・再構築…」をめぐる行為を実践し、アーティストの生産物がいかにして取り残されるか、その資産性と負債性について観客に問いを投げかける展示となります。
■アーティストステートメント
本展は、久保田荻須智広が2017年に発表した卒業制作《一時的廃棄目録》を、約8年ぶりに再演するものである。同作は、作家の生活空間に蓄積された家族の私物や過去作品を展覧会空間に持ち込み、それらを選別・配置することで、生活環境の整理と制作行為とを重ね合わせたインスタレーション作品である。展示の形式を利用して「片づける」という実践的行為を、時間・空間と結びついた一つの芸術表現として提示した。今回の再構成は、作家の生活環境の変化を背景に、あらためて同様の課題と向き合うかたちで行われる。展覧会タイトルである『5/?くらいのR』/"R: 5 out of ?" は、こうした不完全性・暫定性を象徴している。本展では、芸術作品や創作物が時間の中でどのように残され、あるいは残されずにいくのか、またそれらが「資産」として機能しうるのか、「負債」として残されるのかといった問いを、生活と制作の交錯から浮かび上がらせようとするものである。
■推薦者コメント
私の知る限り久保田荻須智広さんは絵描きであった。しかし描かれた絵は記録され一枚の紙にプリントされ質量を失って展示されていたことを記憶している。絵描きはイメージを作り出すが、絵画はイメージを物質化する営みでもある。久保田荻須はどうもこの質量と闘うことに挑み、無謀にも全てのアーティストの生産物を引き受けようとしているように見えるのである。
東京藝術大学美術学部絵画科 教授 三井田 盛一郎

(C)︎久保田荻須智広
久保田荻須智広(くぼたおぎす ともひろ)2020年に東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻版画研究分野を修了。現在、同大学院博士後期課程に在籍。文化資産が持つ「負債」としての側面に注目し、物品の一時的な移動や契約、他者の負債の肩代わりといった行為を通じて、しばしば物理的な制作を伴わない作品を展開している。彼の制作は、所有や管理、移動、保存といったプロセスそのものを介して、アートが制度や経済とどのように関わり合うのかを批評的に考察することを目的としている。近年の作品では、個人的な経験や実際の出来事を出発点とし、共同体における物の所有や責任の所在、そして個人から組織、さらに制度へと拡張する負債の関係性を探求している。
WEB: https://tomohirokubota.myportfolio.com/
■次回以降の展示

(C)︎平山匠
平山匠 個展 「Voice Coil Seoul」会期:2025年6月24日(火)~ 7月27日(日)
支えている人や物。それらは何に支えられているのか?静かなシグナルに耳を傾けて、ワタシは大声で叫ぶ。地面の破れ目に鳴り響く。反すうして欲しいそれぞれの足の裏。
平山 匠(ひらやま たくみ)
1994年生まれ、彫刻家
東京藝術大学大学院修了。陶や粘土を用い、他者との関係性を主題に国内外で作品を発表。

(C)︎Natalie Tsyu
ナタリー・ツゥー 個展「巣を抱く灰 ー 音、熱に裂け 灰に満ちた子宮の喉を、涙が沸いていく」会期:2025年8月5日(火)~ 2025年9月14日(日)*8/12~8/18は夏季休業
本作は、身体が緊張にどのように応答するのかというプロセスを辿り、痛みを音へと変換する没入型インスタレーションです。塩、熱、そして反応する電子機器いった素材によって、不安定な音環境が立ち上がります。そこに現れる音の周波は、音楽ではなく、生き延びるための信号--ノイズ、脈動、震えとして現れます。鑑賞者は、音が言葉に代わり、記憶が空間の表面にとどまるような、緊張感に満ちた場に足を踏み入れます。そこでは、たとえ姿が見えなくても、身体の存在が強く感じられるのです。
NATALIE TSYU ナタリー・ツゥー
ナタリーの作品は、身体、電気、音が絡み合い、変容するかたちの中で合成として立ち現れる。動くオブジェクトは空間の楽器となり、不在によって形づくられ、存在によって起動される。共鳴は動き、距離、触れ合いとともに漂う。音は固定された構成から逃れ、緊張、変調、変容の場となる。あらゆる関わりが空間を変化させ、変動する音の生態系を形づくる。彼女の活動では、音は視覚的な形をとり、視覚芸術とサウンド・アートの境界線で、見えないものを聞き、聞こえないものを見ることへと導く。

(C)︎リリー・ナイト
リリー・ナイト 個展「Death is Death」会期:2025年9月23日(火)~10月26日(日)
生物は存在した時点から、生分解と燃焼のなかで消滅に向かい、そのプロ
セスは時間のように不可逆的である。屍体は死そのものではなく、生の循
環を可能にする回路をつくり、生の循環ができるところには絶対的な死は
存在しないとも言える。しかし死の循環というものもある。生だと見せか
けた死もある。
LILY NIGH リリー・ナイト
1988年中国黒龍江省ハルビン市生まれ、日本とイギリスで留学と仕事を経て、現在東京を拠点に制作活動している。映像・写真・ドローイングを始め、ミクスト・メディウムの制作により、越境的に存在することの可能性、大きな物語に無視されがちで、単一な解釈に回収されがちな差異の価値と自律性を制作によって確かめている。
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