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ネットの海で物語る【第4回】小説は急に書けるもの? 2/2

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ネットの海で物語る
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介護記録とは

支援した介護サービスの内容、利用者の様子などを記したものが介護記録です。 同僚はもちろん、利用者本人や家族が閲覧する場合もあります。 スムーズな情報共有のために、できるだけ簡略にわかりやすく書くことが求められます。 書き方の基本は「5W1H」です。 ビジネスシーンで多用される言葉なので、知っている方も多いかもしれません。

・いつ(When)
・どこで(Where)
・だれが(Who)
・何を(What)
・なぜ(Why)
・どのように(How)

この6つを意識して書くことで、相手に伝わりやすい文章になります。

小説のなかの出来事をすべて5W1Hで書く必要はもちろんありません(説明しすぎると文章が 冗長になりますし、読者が想像する余白がなくなります)。 ですが、書いた文章が読まれない、伝わっていない場合は5W1Hを意識してみるといいでしょう。自分の脳内では補完されているけれど、文章では足りていない部分があるかもしれません。読者は、作者の脳内を覗くことはできないのです。

私は介護記録を思い返しながら小説を書いてみることにしました。 そのとき、ちょうど講談社が運営する小説投稿サイト「NOVEL DAYS」で公募がありました。 お仕事小説をテーマとした、2,000字の短編小説コンテストです。

渡りに船でした。 人生2作目の小説は介護記録の書き方を活かして、介護の小説を書いてみよう。 そうして書いたのが 『お椀に映る少女』という作品でした。

今読み返すと拙い部分も多い作品ですが、介護記録を意識して書かれた作品だということが よくわかります。また、専門職くささが抜けきっておらず、記録っぽい感じがありますね。

この作品は、ありがたいことに佳作として選出・紹介していただけました。 2作目にしては快挙です。そうして調子に乗った私は公募の沼にハマっていくのでした。

小説を書く基礎や種は、ほとんどの人が持っている

このエッセイは私の経験なので、介護記録と小説が結びついています。 ですが、5W1Hを意識した文章を書く機会がある方って、きっと多いですよね。 業務報告書、メール、レポートなど、文章を作成しなければいけない場面はたくさんあります。 そして、その経験を小説に活かすことができるはずなんです。

なんだか、小説が身近なものに感じてきませんか? 思っているよりずっと、創作というものは自分の手の届く範囲にあるのです。

今までの人生経験を活かすことができる「小説」。 あなたも知らず知らずのうちに、小説を書く能力を培っているのかもしれません。

次回は「小説とTwitter(X)」について、書かせていただきます。

※次回は8/30(水)更新予定です。

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■profile
蜂賀三月 (はちが みつき)
小説家。ショートショート、児童書、YA小説をメインに執筆活動を行う。著書に『絶対通報システム~いじめ復讐ゲームのはじまり~』(スターツ出版)、 短編小説収録『5分後に奇跡のラスト』(河出書房新社)など。小説情報メディア 「WebNovelLabo」 を運営。

Amazonのアソシエイトとして、㈱公募ガイド社は適格販売により収入を得ています。