ネットの海で物語る【第12回】書籍化作業に向けて~備えあれば憂いなし~ 2/2
書籍化にあたって役立った知識
文章の基本ルールと校正の知識はかなり役立ちました。
・文章作法(文章に関わるルール)web上で創作活動をするにあたって、正直に言うと文章の基本的な作法を守っていなくても活動できます。
多くの文章作法は縦書きの原稿用紙を想定しているものであり、横書き表示が多い小説投稿サイトでは絶対に守らないといけない……なんてものではないのです。むしろ読みにくくするパターンすらあります。
私もサイトに合わせて「行頭字下げ」をわざとなくしたり、改行を多くしたりしています。 しかし、書籍化するのであれば話は別です。 「行頭字下げ」や「―(ダッシュ)」や「…(三点リーダ)」は二倍で使用推薦など。 基本的な作法は学んでおきましょう。
もちろん、編集さんや校正さんも確認してくれるでしょう。ですが、書籍化する作品はみんなで作るものですし、自分で気づけて直せるものは直した方がいいはずです。それに、誰かが見逃さないとも限りません。正しく見る目は多いければ多いほど安心です。 ・校正知識
書籍化作業にあたってPDFデータや実際に印刷した紙も含めて「ゲラ」と呼ばれるものと向き合うことになります。それを読み直しながら先ほど話した文章作法を直したり、物語の矛盾を潰したり、文章の誤り・誤字脱字衍字を指摘していく作業があります。 校正作業のなかには校正用語(トルツメ等)も出てきます。
実際に専門的な校正用語や校正記号を知らなくても校正作業を行うことはできますが、よりわかりやすく伝える・作業するためには知っておいて損はないと思います。 自分はたまたま興味があって校正実務講座を修了していたので、比較的スムーズに校正・校閲作業に入ることができました。まさかこんな形で役立つとは想像もしていませんでしたが。 以上、書籍化の連絡が来てから必要だったもの、役立ったものを紹介しました。 名刺に関してですが、私は書店さんにご挨拶するタイミングで作りました。 次回は「初心者のための文章作法」についてお話をする予定です。 余談です。
私は初めての打ち合わせのときに、東京駅の中で迷いました。 こんな偉そうにエッセイを書いていながら極度の方向音痴なのです。 優しい編集さんが迎えに来てくれて事なきを得ました。 打ち合わせには余裕をもって向かいましょうね!
※次回は12/20(水)更新予定です。
■profile
蜂賀三月 (はちが みつき)
小説家。ショートショート、児童書、YA小説をメインに執筆活動を行う。著書に『絶対通報システム~いじめ復讐ゲームのはじまり~』(スターツ出版)、 短編小説収録『5分後に奇跡のラスト』(河出書房新社)など。小説情報メディア
「WebNovelLabo」 を運営。