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あなたとよむ短歌 vol.47 テーマ詠「辛いもの」結果発表 ~短歌の質問、まだまだ回答します!~(1/3)

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川柳・俳句・短歌・詩
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あなたとよむ短歌
結果発表
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テーマ詠で短歌を募集し、歌人・柴田葵さんと一緒に短歌をよむ(詠む・読む)連載。

柴田 葵 1982年、神奈川県生まれ。元銀行員、現在はライター。「NHK短歌」や雑誌ダ・ヴィンチ「短歌ください」、短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」への投稿を経て、育児クラスタ短歌サークル「いくらたん」、詩・俳句・短歌同人「Qai(クヮイ)」に参加。第6回現代短歌社賞候補。第2回石井僚一短歌賞次席「ぺらぺらなおでん」。第1回笹井宏之賞大賞「母の愛、僕のラブ」。
■作品
プリキュアになるならわたしはキュアおでん熱いハートのキュアおでんだよ
(『母の愛、僕のラブ』より)
vol.47
テーマ詠「辛いもの」結果発表
~短歌の質問、まだまだ回答します!~

短歌を読む・詠む連載、「あなたとよむ短歌」。
今回はテーマ詠「辛いもの」の結果発表です。
「からいもの」とも「つらいもの」とも読めるテーマです。常用漢字としては基本的には「からい」と読み、「つらい」の場合はひらがなで書くというルールがあります。また、「採点が辛(から)い」など、厳しい・つらいという意味で「からい」を使うケースもありますね。
今回はどちらでも、あるいは両方読める短歌があってもいいな、と考えてテーマを設定しました。テーマ詠を通じて、なにげなく使っている言葉を再認識したり、語源を調べたりするのも面白いかもしれません。
今回も最後に、投稿者の皆さんからの質問に回答しました。ぜひ入賞作品とあわせてお読みください。

それでは、最優秀賞の発表です!


冒険も飽きて勇者は裏面の
レシピ通りにカレーを作る
(高原すいかさん)

装備を手に入れ、仲間を集め、過酷な旅をくぐり抜けて敵を倒した勇者。何が起こるかわからない冒険にも、疲れたり飽きたりするかもしれません。勇者だって歳を取りますしね。
ここでいう「勇者」や「冒険」は、そのままの意味でも面白いのですが、比喩表現として読むと親近感がわく作品です。学業、青春、留学、企業、仕事など、全力でぶつかってきた日々に、ふと足を止めたくなるとき。ルーの箱の裏側のレシピ通り作れば必ずおいしくできるカレーに、心が安らぎます。



続いて、優秀賞2首です。

パチスロのでかい眩しい看板が
残業終わりのわたしを照らす
(一色凛夏さん)

「でかい眩しい」という形容詞の重なりに注目したい一首です。通常、限られた音数の短歌において、このように形容詞を重ねるのは稚拙な感じがしてしまうのですが、この場合は、 形容詞を重ねる「不粋さ」そのものが、周囲の景観も「わたし」の心情も無視して、ギラギラと光る看板の存在を強調しています。 眩しい(4音)→でかい(3音)ではなく、でかい(3音)→眩しい(4音)と音数が広がる順序である点も、ボリューム感が出て効果的です。

四川風麻婆豆腐にんげんは
ひとりひとりが川であるはず
(水面叩さん)

歌意(歌の意味)が取りづらい一首ですが、どうにも魅力的で優秀賞に選びました。人間や人生を川にたとえるのは、美空ひばりほか、さまざまな歌や名言に見られます。四川風麻婆豆腐を食べているときに、ふと思い出したのかもしれませんね。おそらく「四川風」という文字から想起したのでしょう。「川だ」と言いきらずに「川であるはず」という結句。「川であるはず(なんだけれどな……)」と、なにか思うところがあるのかもしれません。 まっすぐ流れたいのになかなかそうはいかないな、と考えつつ、辛い麻婆豆腐を黙々と流し込む日々です。

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