せきしろの自由律俳句 第95回「山」結果発表
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結果発表
第95回 課題: 山
せきしろの一句
山頂白くなり手には赤本
最優秀賞
猿山の中に自分を探している
( 東京都 根本史紀 54歳)
猿山を見る。走り回っている猿もいれば、じっとしている猿もいる。孤独に見える猿もいれば年老いた猿もいる。自分はどの猿なのか。気づくと探していることがある。
優秀賞
自転車のライト弱く黒い山
( 神奈川県 デボン人 45歳)
自転車のライトは街ではなんとも思わないが、暗い道になると限られた範囲しか照らされず頼りなくなる。その範囲外が怖くなる。それでも漕ぎ続ける。そんな姿が伝わってくる。
怒ったように軽トラ登る
( 長崎県 毎日ハッピー 45歳)
エンジン音とともに、そこそこのスピードで山道を走っていく軽トラ。たしかにそれは怒っているかのようである。言われて初めて気づく風景。自由律俳句ならではである。
イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト