せきしろの自由律俳句 第98回「夕方」結果発表


結果発表
第98回 課題: 夕方
せきしろの一句
夕方が私から離れていった
最優秀賞
金魚鉢の底も夕晴れ
( 東京都 水面叩 33歳)
よく行く喫茶店に水槽があって、その中にはもう金魚はいなくて水もなく、小石があるのみ。それに夕日が当たっている光景を何度もボーっと見ていたが、素晴らしい句として言語化していただき感謝である。
優秀賞
駄菓子屋にも夜が来る
( 東京都 めめめい 17歳)
駄菓子屋は放課後のイメージが強く、その光景しか思い出せない。しかしもちろん駄菓子屋にも夜は来る。それは当たり前のことであるのに、新たな情報を得たような新鮮な気持ちになれる句だ。
夜の赤子として夕陽
( 大阪府 反時計 25歳)
夕陽はやがて夜になる。つまり夕陽は赤子のようなものであり、成長して夜となる。その一時を封じ込めた句である。やがて日が昇り、朝の赤子が生まれるのである。
イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト