2025年本屋大賞ノミネート10作 ファイナリストの経歴 公募出身者も多数!


春の恒例イベント、本屋大賞。今年は昨年デビューしたばかりの作家から、本屋大賞常連、直木賞作家の作品まで、甲乙つけがたい10作品がノミネート。作風はもちろん、経歴もさまざまですが、共通点は公募や出版社への飛び込み営業など下積みを経ていること。あの人気作家も、最初から売れていたわけではなかった!というわけで、今回は各作家の経歴に注目します。作家志望の人にとって、希望がわいてくるエピソードばかりですよ。
本屋さんが本当に売りたい本
本屋大賞とは?
第1回(2004年)大賞の『博士の愛した数式』(小川洋子)をはじめ、受賞作はほぼ毎回ベストセラーになる本屋大賞。その名の通り、全国の書店員による投票で決まるコンテストです。主催はNPO法人本屋大賞実行委員会。本当におススメしたい本(1年以内に出版された新刊)を一般市民に広めたいと、書店員有志によるボランティアで始められました。毎年12月に1次投票し、2次投票。4月上旬に決定。ということで、すでに書店に並んでいる今年のノミネート10作をご紹介しましょう。
※タイトル五十音順に紹介
高校球児から作家へ。華麗なる転身
『アルプス席の母』早見和真
神奈川の強豪・桐蔭学園野球部出身の早見さん。20歳のとき出版社に飛び込み営業し、紀行文執筆を始めたそうです。編集者に勧められて書いたという『ひゃくはち』がデビュー作。経験を存分に生かした作風と、出版社に売り込む行動力は作家志望者として見習いたいところですね。本作は、甲子園をめざす高校球児とその親たちの人間ドラマ。読後感爽やかで、野球ファンならずとも惹きこまれます。
高校時代から公募ひとすじ
『カフネ』阿部暁子
阿部さんは、なんと全国高等学校総合文化祭文芸部門に毎年応募し、高校3年生の時には最優秀賞を受賞したという、公募経験者。作家を夢見る若い世代にとって理想のモデルとなりそうです。本作は、ほのぼのとした表紙からは想像もつかない意外な展開と深いテーマについて考えさせられる、時間をかけてじっくり読みたい一冊です。
【公募歴】2008年度集英社ロマン大賞受賞(2014年にノベル大賞に統合)
医師、母、そして作家。夢はあきらめない
『禁忌の子』山口未桜
本作でデビューし、2024年の鮎川哲也賞受賞、そして本屋大賞にまでノミネート!医師として、母として、忙しい日々を送りながら、作家への夢は捨てられなかったという山口さん。2年半かけて書き上げたというだけあり、特に医療の専門知識がふんだんに盛り込まれ、場面や人物描写が丁寧。東野圭吾のガリレオシリーズのように、イケメン城崎医師シリーズ化も実現してほしい作品です。
【公募歴】第34回鮎川哲也賞受賞
同人誌で文章力を磨く
『恋とか愛とかやさしさなら』一穂ミチ
パンデミックをテーマにした直木賞受賞作をはじめ、社会問題を描いた作品が多い一穂さん。同人誌で二次創作の小説を書いていたところを編集者にスカウトされたそうです。主人公だけでなく、すべての登場人物に寄り添った描き方が印象的。本作もYouTuberのリアルな生態など、シリアスに、時にユーモラスに今の世の中を描き出しています。
文章力は人間力
『小説』野﨑まど
獣医学部を卒業後は同人誌執筆をしていたという野﨑さん。読書をしているときが幸せだったそうで、作家デビューのきっかけは公募。本作には公募ネタが登場し、主人公と作者の人生もリンクします。作家をめざす読者は「この主人公は自分だ!」と感じながら読み進められるはず。
【公募歴】第16回電撃小説大賞

※Amazonのアソシエイトとして、(株)公募ガイド社は適格販売により収入を得ています。