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あなたとよむ短歌 【お悩み回答】~短歌のバリエーションと連作~

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今回はこちらの質問について考えていきたいと思います。


私が短歌を作ろうとすると、58577になることが多く、57577よりも収まり良く感じてしまいます。どうすればいいでしょうか?

これは面白い質問です。質問者さんはなぜ58577が収まりよく感じるのでしょうか?
一度、575のリズムで手を叩いてみてください。「タタタタタ(休)タタタタタタタ(半休)タタタタタ(休)タタタタタタタ(微休)タタタタタタタ」のようになりませんか?
人それぞれな面もあるので一概には言えませんが、たとえば百人一首の札を読み上げるときのリズムはこのような感じです。
よく4句目が8音になりやすいと言われるのですが、句切れのなかで一番微かになりやすいからこそ、音を入れて勢いで繋げがちなのかな……という気もします。諸説あるので、今回は私の考えとして聞いてください。

質問者さんは2句目が8音になりやすいとのこと。2句目の7音で勢いがつきやすく、3句目と融合しやすいのかもしれませんね。もしかしたら質問者さんは、2句目でエンジンがかかる短歌をつくりやすい傾向にあるのかもしれません。
57577は短歌の定型ですが、定型を知る必要はあっても、厳守する必要はありません。当然、質問者さんのように2句目が8音でもいいわけです。しかし、短歌を楽しむためにも、自分の表現にはバリエーションを増やしていきたいものです。
質問者さんは、リズムというより、言葉や内容そのものを2句目に重く乗せがちなのかもしれません。その一首の要となる言葉を下句に持ってきたり、一旦できた短歌の上句と下句を入れ替えてみる実験をおすすめします。

現代短歌のリズムについては多くの人が論じています。四拍子で捉えたり、西洋の詩と比較したり、モーラ言語としての日本語からアプローチしたりとさまざまなので、興味のある人はぜひ評論などをあたってみてください。



5月は連作に初めてしっかり取り組んでみた月でした。今、僕はまったく1人で活動しています。連作も少し調べて出てきた情報をつぎはぎしながら作りました。しかし、たくさん作っていくと、自分の中で何がいいのか悪いのかよく分からなくなってしまいました。

「どのように連作をつくるか?」という質問は、毎回、必ず複数寄せられます。
連作というのは、複数の短歌を一連とし、タイトルをつけた形式のことです。絵画や写真でも連作や組写真という形式がありますね。連作を楽曲のアルバムにたとえる歌人もいます。
連作論、または連作の作り方のノウハウというのは、一首ずつの短歌よりも語られておらず、入門書でもあまり触れられていません。一方で短歌の新人賞といえば、ほぼ連作の形式で募集がかかります。さて、どうしたものか。困りますね。

私は短歌のなかでも、連作という形式が大好きです。短歌は約31音という限られた情報しか提示できないぶん、その余白に限りない魅力があります。それが連作になると、短歌と短歌の間にも「行間」という余白が生じます。設計できる余白が増える分、詠んでいても読んでいても楽しいのです。

まずは、さまざまな歌人の連作を読んでみるのがいいと思います。短歌専門誌を1冊購入すれば、必ず複数の歌人の連作が載っています。また、書肆侃侃房が出版しているアンソロジーシリーズ「現代短歌パスポート」では、15人の歌人がそれぞれ20首の連作を書き下ろしています。私もシリーズ1作目に「おさしみ」という連作を寄稿しているので、ぜひ読んでください。結構気に入っています。

連作の捉え方、構成の仕方は、歌人によってこんなにも違うのかと思うはずです。自分はどういうものを作りたいのか、見えてくるかもしれません。

連作をつくる際に、ほとんどの歌人が共通して気を配っている点があるとすれば、単調にならないようにすることかもしれません。一つ目の質問にも繋がりますが、2句目が8音のものばかり何首も続いていないか、体言止めばかりになっていないか、同じような句切ればかりになっていないか、そもそもそういったバリエーションが自分のなかにあるのか。連作への挑戦は、自分の短歌の傾向と向き合うチャンスですね。

作品や質問のご投稿ありがとうございました。
今月は、テーマ詠「謎」を募集しています。
テーマ詠は、お題の単語を短歌のなかに入れても入れなくてもOKです。そのテーマにあった短歌をお待ちしています。
どこかに応募した作品も、未発表も作品もぜひご投稿ください。(著作権がご自身にある作品に限ります)
分かち書き、句ごとの改行はしなくてOKです。採用されている短歌の書式をご参考に!

 
応募要項
応募規定 短歌(57577)を募集します。
テーマは「謎」
応募点数制限なし。
応募フォームに柴田さんへの質問欄を設けています。短歌のことや、作品づくりについて選者:柴田葵さんに質問があればご自由にお書きください。匿名で質問内容とその回答を記事に掲載させていただく場合があります。必ずしも回答があるわけではございませんので、ご了承ください。
応募方法 応募フォームからご応募ください。
※X(旧Twitter)での応募はなくなりました。
※応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。
最優秀賞1点=Amazonギフト券3000円分
優秀賞2点=Amazonギフト券1000円分
佳作数点=ウェブ掲載

※該当作品なしの場合があります。
※作品を記事内で推敲する場合があります。
※発送は発表月末~翌月頭を予定しております。
締切 2025年7月31日
発表 2025年9月1日