【書けない人のための発想術】長編小説にチャレンジしたいあなたへ|アイデアシートを活用してネタ切れ知らずになろう!


タネを探してふくらませる物語の骨格を作ろう
長編小説を書こうにも、何を書くかが思いつかなければ始まらない。そこでここでは、物語のタネを見つけ、ふくらませていく方法を解説する。
物語のタネを探そう
アイデアのきっかけは外からやってくる
アイデアを生み出すには、まずインプットがされていることが前提。そのうえで、なんらかの外的な刺激によってひらめく。名探偵が誰かの何気ない一言で「そうか、わかったぞ」となるのと同じ。
ここでは「書くことが思いつかない」人のために、トランプを使って偶発的に物語のタネを見つけるアイデアシートを考えた。
トランプ(お手製でも可)を用意し、カードを4回引いてみよう。それだけで着想が得られる!

モチーフはいつ考える?
アイデアシートで着想を得たら、それをストーリーにする。その際、テーマは考えないといけないが、モチーフはあとでもいい。〈受験を通じて親子愛を描く〉という場合、テーマは「受験」、モチーフは「親子愛」だが、モチーフは書いた結果、見えてくるもの、または読んだ人が発見するもの。書く前はわからなくてもいい。
物語の型を知る
行きて帰りし物語
物語のタネを得たら、今度はそれをストーリーにするが、そのときに知っておきたいのが物語の型。これには二つあり、一つは「行きて帰りし物語」。日常にいる主人公が非日常の世界に行き、元の場所に戻ってくるが、そのとき、マイナスがプラスに転じている。
非日常は社会の周縁、未知のもの、行事や旅行、ハレとケならハレ、生死なら死を感じる世界など。非日常に触れて、精神が浄化されて帰ってくるという構図は神話の時代からあり、今も定番。旅もの(ロードムービー)はその典型。
欠如を回復する物語
もう一つは、「欠如を回復する物語」。この欠如は加害、不足と考えてもよい。「人が殺された」、「恋人が奪われた」も元の状態から見れば不足。貧困や介護もお金や健康の不足。ミステリーの謎もそれが解かれていないという意味では不足の状態。
物語ではまず欠如、加害、不足のマイナス状態が提示され、それを回復させようとするところにストーリー展開がある。
すべての物語がそうなっているので、身近にある小説や映画、漫画、昔話などで検証してみよう。
ストーリーメイクの鉄則
「行きて帰りし物語」ではどこかに行って何かをし、「欠如を回復する物語」ではマイナスをプラスにしようとするが、これが主人公の物語上の目的。この目的を達成することで物語は終局を迎える。
しかし、すんなり実現しては面白くないので、目的をはばむ障害を設ける。これが人の場合はライバルや敵となり、人でない場合は身体的なハンディや差別、自分の弱さなどになる。
目的の対象はそれが人の場合は奪われた姫などになり、人でない場合は戦いでの勝利だったり、何かから立ち直ることだったりする。
主人公
物語を牽引する中心人物。主人公が体験する出来事と、主人公の物語上の目的の実現がストーリー展開の軸となる。
障害(敵)
主人公の目的をはばむもの。恋愛小説なら恋敵がたき、反対する両親、世間の常識など。障害が大きいほど面白くなる。
目的の対象者
目的の対象となるもの。恋愛小説であれば恋愛を成就させたい相手。奪われた恋人など。多くは異性。
目的の協力者(バディ)
主人公の味方。対等の相棒のほか、子分、補佐役。目的の対象が人でない場合、対象者は協力者になることも。
目的の任命者
任務を与える人。能力を与える贈与者を兼ねる場合も。任命者がいない場合、主人公は出来事に巻き込まれる。
実際にあらすじを作ってみた
物語のタネ
〈 旅先で、中年の専業主婦が、大切な人と別れる話〉(前ページのアイデアシートにより偶発的に得られたもの)
あらすじ
40歳を目前に夫の転勤が決まり、二人で海外に行くことに。血のつながらない母と暮らして30年、記念に温泉旅行に行く。主人公は30年分の恩返しをしようとはりきるが、温泉宿に着き、母がバッグから取り出したのは、遠い国にあるホスピスのパンフレットと遺書だった。
ワーク:アイデアシートを使って物語のタネを見つけ、ふくらませてあらすじを作ってみよう。
※本記事は2022年1月号に掲載した記事を再掲載したものです。