【なぜ長編を書き切れないのか?】原因は構成にあり! 三幕構成で物語を完成させる方法とプロットの重要性


ハリウッド映画に学ぶ三幕構成でプロットを
物語をうまく作れない原因はすべて構成にある。特に長編の場合は長編の構成法を学ぶのが近道。ここではハリウッド映画の構成法、三幕構成について解説する。
場面を考え、リレーのように配置する
三幕構成は形だけを見ると序破急や起承転結と似たところもあるが、幕と幕をつなぐという点が決定的に違う。
第一幕は設定を明らかにする部分。登場人物の大半は第一幕の段階で登場している。第一幕の終わりには第一ターニングポイントがあり、ここで大きく展開する。
第二幕はある意味、本編。主人公の目的は実現から離れるが、ミッドポイントで潮目が変わる。
第二幕は長いため、ミッドポイントの前後にピンチ(危機という意味ではなく、つなぐの意)という場面を配すこともある。
第二幕の終わりには第二ターニングポイントがあり、ここから目的実現に向けて一気に加速する。
第三幕はクライマックスを含む解決編で、ここまでにあった問題が解決し、エンディングを迎える。

長編初心者は必ずプロットを
プロットを作らない作家もいて、その代表がスティーヴン・キング。「構想に重きを置かない理由は二つある。第一に、そもそも人の一生が筋書きのないドラマである。(中略)第二に、構想を練ることと、作品の流れを自然に任せることはとうてい両立しない」(スティーヴン・キング『小説作法』)
全くそのとおりなのだが、自由に演技できるのはダンス上級者だけで、ダンスのダの字も知らない人に〝自由に〞と言ったところでまともには踊れない。
初心者はまず一度はプロットを綿密に作ってみること。できれば既存の作品からプロットを起こし直してみると勉強になる。〝自由に〞が生きるのはこのあとだ。
展開させるとはどういうことか
展開とは何か。童話「ウサギとカメ」でいうと、ウサギがカメをバカにし、カメが競争を挑むまでが設定編だが、そのあと、仮にウサギが勝負をこばみ、カメは一人でゴールを目指しましたというのでは展開したことにはならない。
展開の芽は主人公の目的の中にあり、笑われたことで失われた何かを取り戻すためにカメの心が変
わり、「それなら競争しよう」と言う。これが展開の始まり。
その後、カメは地道に歩むが、ウサギは寝てしまうという過程が展開の主要部分。その結果、ウサギとカメの立場が逆転する。
目的のために主人公が変化し、結果、新局面が出てくる。これが展開させるということだ。
場面の意識と枚数の適正な関係
初心者は枚数と場面の関係がわからない。書いてみたら場面が多すぎたり、逆に短編を長くしただけに終わったりする。
一番の勉強法は失敗してみることだが、不安であれば既存の長編の一場面の枚数を数えてみよう。書籍は1ページに600〜650字ぐらいが多いので、ページ数に1.5をかけると400字詰め原稿用紙の換算枚数がでる。『自転しながら公転する』の「プロローグ」は7ページ(約10.5枚)。『ノースライト』の導入部「1」も7ページだが、「2」は会話が多く、11ページ(約16.5枚)。だいたい10〜20枚が普通だろう。
200枚の作品を想定して、場面が30あったら大すぎ、5しかなかったら少なすぎだ。
長編にはサブプロットが絶対的に必要
長編が書けない理由には構造に関する認識不足がある。よくある失敗はメインストーリーだけで長編を書こうとしてしまうこと。メインだけでもつのは100枚の短編までで、それ以上はサブプロットが必要になってくる。
「シックス・センス」ではメインとなるAストーリーのほか、いくつかのサブプロットが仕込まれている。これがなければストーリーはやせ細り、話がシンプルすぎて展開が読まれやすくなる。
サブプロットは主人公の別の面(多くは恋愛)を描いたものか、副主人公のメインプロットであることが多い。サブプロットにもやはりセットアップやクライマックスがあり、セットアップはメインプロットが先、クライマックスはサブプロットが先であることが多い(ただし、「シックス・センス」のような例外もある)。
ワーク:これまでのワークで考えたあらすじを、三幕構成を使って詳細なプロットにしてみよう。
※本記事は2022年1月号に掲載した記事を再掲載したものです。