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あの歌人に読んでもらおう! 選考委員から短歌公募を選ぶメリット

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今、幅広い世代に「短歌ブーム」が訪れていると言われています。特に、現代的で自然な口調でつづられた若い歌人の歌集(短歌集)が人気です。

岡本真帆さんの『水上バス浅草行き』に収録されている、

ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし

(岡本真帆『水上バス浅草行き』)

という一首はTwitterでも大きく話題になりました。木下龍也さんの歌集『あなたのための短歌集』も多くのメディアで取り上げられています。

こうした影響から、その上の世代の歌人の作品を手にする人も増えました。穂村弘さんや東直子さん、俵万智さん……。次第に、好きな歌人・気になる歌人が出てきた人もいるのではないでしょうか?

あなたの好きな歌人が、短歌公募の選考委員を務めているかもしれません。

好きな歌人に力作を届ける

短歌公募では、同じ歌人が続けて選考委員を務めるケースが多いようです。締切を逃した短歌公募でも、翌年の開催時に同じ歌人が選考を行う可能性は高いと言えます。

好きな歌人が選考委員を務める公募に応募することは、すなわち、自分の短歌をその歌人に読んでもらえるチャンス。大規模な公募では「下読み」と言って別の人が一次審査を担当し、選別したものを選考委員が審査する場合もありますが、短歌の公募は小説などと比べ、選考委員がすべての作品に目を通すケースも少なくありません。

31音と短い短歌は、読む人の感性によって評価も大きく分かれます。自分の好きな歌人が選考委員を務める公募は、きっと相性もいいはず。結果的に、「あなた自身にとって」入選しやすい短歌賞だと言えそうです。公募を検討するときには、ぜひ選考委員に注目してみましょう!

この短歌公募にはこの歌人

短歌公募とその選考委員をいくつかご紹介していきましょう。※現在募集中ではない公募も含まれます。応募の際には最新の情報をご確認ください。

あたらしい歌集選考会(選考委員:木下龍也、岡野大嗣)

冒頭の『水上バス浅草行き』ほか、若手歌人の魅力的な歌集を数多く出版しているナナロク社主催の短歌公募です。これまで開催された2回とも木下龍也さん、岡野大嗣さんの2名が選考委員を務めています。全応募作をおふたりが読み、それぞれ1作品ずつ選出する点がユニークな賞です。選考委員ひとりひとりの感性に任せた選出がされます。

応募できるのは、歌集を刊行したことがない人。応募する歌数は100首です。受賞すると歌集が刊行されます。

なお、岡野大嗣さんは、関西の雑誌「Meets Regional」の短歌投稿コーナー「レッツ短歌!」でも短歌を募集中。全国から応募可能です。

 

和歌の浦短歌賞(選考委員:東直子、藤原龍一郎、江戸雪)

短歌だけでなく、エッセイや戯曲、イラストでも活躍する東直子さん、ラジオディレクター出身の藤原龍一郎さん、NHK短歌で選者を務めている江戸雪さんが選者を務めます。第8回の募集は、2023年6月30日締切です。

「和歌山県」の名の由来になった「和歌の浦」には、与謝野晶子などの歌人が、短歌の上達を願って訪れたこともあるそうです。SNSなどに短歌を投稿している人も多く入選しています。

 

短歌ください(選考委員:穂村弘)

人気歌人といえばこの人。情報誌「ダ・ヴィンチ」で連載している穂村弘さんの短歌コーナーです。テーマ詠と自由詠を毎月募集しています。採用されると、同連載が単行本化された際に収録されます。自分の短歌が活字になって出版されるチャンス!

前述の木下龍也さんや、歌集が映画化された工藤吉生さん、なんと女子プロレスラーのハイパーミサヲさんも過去に応募していました。

 

笹井宏之賞(選考委員:大森静佳、染野太朗、永井祐、野口あや子)

最先端の短歌を牽引する4名の若手歌人が、第1回から選考委員を担っています。50首ひとまとまりの「連作」形式で募集。選考委員の歌人全員が全作品を読むそうです。

大賞のほかに選考委員各賞が設けられているのも特徴的です。大賞受賞作品は歌集として出版されます。第1回の受賞は公募ガイドONLINEで「あなたとよむ短歌」を連載する柴田葵さん。

 

若山牧水青春短歌大賞(選考委員:坪内稔典、永田和弘、永田紅)

俳人でもある坪内稔典さん、細胞生物学者で京都大学名誉教授の永田和弘さん、農学博士でもある永田紅さんが選者を務めます。俳句や理系研究など、短歌ではないジャンルでも活躍する選者たち。小学生から応募可能で学生部門が充実しており、若い人の応募が多いのが特徴です。

このほか、新聞の短歌投稿欄や、NHK短歌の投稿欄は、選考委員を選んで投稿できるケースが多いようです。

応募しなくてもいい、でも応募してもいい!

短歌を詠んでみようと思ったら……。日記に書き留めたり、スマホのメモ帳に書いてみたり。TwitterなどのSNSに投稿する人も多くいます。自分に合うスタイルで創作を楽しむのが一番ですよね。ただ、その選択肢に、思い切って「公募への応募」も入れてみませんか? 締切日を意識して作品を仕上げる緊張感や、入賞するかもしれないワクワク感も楽しいもの。実際に入賞すれば、多くの人に作品を読んでもらえます。

締切日だけでなく、ときには選考委員にも注目して、ぴったりの短歌賞を見つけてくださいね!

芦田みどり

公募情報ライター。最近は各地を盛り上げるご当地公募から目が離せない。好物はネギトロ。公募ガイド公式Instagramでも執筆中。

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