ジャパンフードセレクション【グランプリ受賞】に込めた、わたしたちの(流行遅れな)生食パンの物語
朝焼けの光が、まだ静かな工房の窓から射し込む。パン生地の香りが、眠たい空気をゆっくりとかき混ぜていく。今日も「ゆめちからもちもち生食パン」を焼き始める。日常のルーティーン。

生食パンブームが去った今でも、このわたしたちの工房では毎朝「生食パン」を焼いています。流行遅れと言われても、この「生食パン」には、わたしたちの誇りとこだわりが詰まっています。
生地をそっと手に取る。ずっしりとした重みが掌に伝わります。
これが、私たちの「ゆめちからもちもち生食パン」。
日常の食卓にちょっとした“非日常”を添えたくて。
そして、ありふれた一日に「パン以上、ケーキ未満」の幸せを届けたい──そんな想いから生まれました。
そしてこの「ゆめちからもちもち生食パン」が、
ジャパンフードセレクション2025において最高賞のグランプリを受賞しました。

◆ きっかけは北海道十勝から送られてきた小麦

物語の始まりは、北海道・十勝のある社員の実家から届いた宅配便の荷物、
小麦粉「ゆめちから」でした。
「これでパンを作ってみたらどうだろう?」
厨房で試しに焼いてみた一斤のパンが、全てを変えました。
焼きたてを一口かじった瞬間の、あの驚き。
「何だ、このもちもち感!?」
頬張るたび、自然な甘みがじんわり広がる。思わずみんなが笑顔になる。
「これまでのパンとは、何かが違う」
「このゆめちからを使ってどこにもない食パンをつくろう」
――でも、それは、悪戦苦闘の日々の始まりでした。
実は「ゆめちから」は超強力粉。普通にパンを焼くと、ゴム鞠のように固くなってしまう。わたしたちが目指すしっとり・もちもち感の両立など至難の業。
「けれど、この小麦の魅力を、そのまま活かしたい!」
パン好きのエゴ。でも、挑戦したかったのです。
◆ 「湯種(ゆだね)」、手間の向こうにしかない味
何度も試作し、失敗を重ねながら、季節は廻ります。「ゆめちから」でのパンづくりをはじめてから3回目の春が訪れた時、私たちは「湯種製法」にたどり着きました。
これだ!と思いました。

湯種製法は小麦粉に熱湯を加え、一晩じっくり寝かせる、非常に手間暇のかかる製法です。
正直、効率だけを考えれば絶対に選ばないやり方です。でも……
湯種が生地に弾力を与え、小麦本来の風味を最大限に引き出してくれる。その奥深い旨み、そして“もちもち”の決定的な食感。――どれほど生地の発酵と焼成に時間がかかっても、この製法にこだわることにしました。
朝、焼き上がるパンを前に、みんなで顔を見合わせます。
「うまく焼けた?」
ずっしりと重い焼きたてを持ち上げて、何気なく指で押してみる。
「おぉ、弾力が!」
焼きたてパンの香りが工房に満ちます。
工房のスタッフ全員が笑顔になります。
◆ もちもち感の秘密
「ゆめちからもちもち生食パン」は、手に取った瞬間からその“ずっしり”とした重みが伝わります。一口かじれば、どこにもない特別な“もちもち感”としっかりした弾力。市販の軽やかなくちどけパンとはまったく違う世界です。
その理由は、素材選びと製法への徹底したこだわりにあります。
まず、水分量。市販の食パンが高い水分を抱えて“ふわっと”仕上がるのに対して、ゆめちからもちもち生食パンはあえて水分を抑え気味。その分、生地が密になり、噛むほどにもちもちとした弾力が際立ちます。焼成中にも水分がほどよく蒸発し、軽さではなく“素材の重量感”を残します。
さらに、「ゆめちから」小麦と発酵バターをたっぷりと使用。たんぱく質が豊富なゆめちから小麦は、パン生地のネットワークを強くし、独特のもちもち食感を生み出します。バターの風味も豊かに感じられ、ひと口ごとに贅沢さが広がります。
生地の発酵にもこだわりがあります。天然酵母を使うことで、イースト特有の香りを抑え、小麦本来の香りや甘みをしっかり引き出しています。パンをちぎった瞬間に立ちのぼる、穀物のほのかな香りも魅力です。
そして決定的なのが「湯種製法」。小麦粉・グラニュー糖・熱湯を混ぜて団子のような“湯種”を作り、それを生地に加えることで、しっとりとした水分感ともちもちの弾力が同時に生まれます。この“湯種”が、まるで和菓子のような粘りと噛み応えをパンにもたらしてくれるのです。
ふわふわ・くちどけ重視の市販パンとは真逆。噛みしめるたびに広がる、どこにもないもちもち感と豊かな小麦の味わい。これが「ゆめちからもちもち生食パン」だけの特別な魅力です。
◆ パン以上、ケーキ未満──“ちょうどいい贅沢”を目指して

わたしたちは「パンだけど、どこか特別」をずっと考えていました。
それは、ケーキのような高級感や“ハレの日感”ではなく、あくまで毎日の食卓に“ちょっとしたご褒美”を添えたい、そんなイメージです。
「パン以上、ケーキ未満」──
このフレーズに、わたしたちの想いはすべて詰まっています。
パッケージも、トレイとリボンを付けて“贈り物”のように仕立てました。
「今日中にお召し上がりください」という小さなタグには、“焼きたての美味しさを届けたい”という想いが込められています。
パン好きの人も、普段はパンをあまり食べない人も、ひと口食べた瞬間、思わず目を閉じて口の中の芳醇な味わいを感じながら、本物の美味しさを味わってほしい――それがわたしたちの願いです。

朝の支度で慌ただしい時間でも、このパンを薄く切ってサッとトーストすれば、香ばしさともっちり感が際立ち、コーヒーだけで立派な“朝のご褒美”になります。昼どきには厚めにスライスして、お好きな具材をのせれば、噛むほどに小麦が香り立ち、具材の輪郭までくっきり引き立ちます。仕事終わりの夜には、バターが溶けるほど軽く温めてから、塩をひと振り。焼き立てのような湯気とともに疲れがほどけていくはずです。
「パン以上、ケーキ未満」の立ち位置だからこそ、日常のどの瞬間にもそっと寄り添い、ちいさな背伸びをさせてくれる――そんな存在をめざしました。
◆ グランプリ受賞。その瞬間、思い出したこと
2025年、ジャパンフードセレクションでグランプリ受賞の連絡を受けたとき、最初に思い出したのは、北海道の小麦畑の風景。あの最初の試作パンにみんなで驚いた日のこと。何十回も何百回も湯種の仕込みをやり直し、それでも生地が思うように膨らまず朝まで粘った夜のこと。
「やってきて、本当に良かった」
審査員のレポートには、こう記されていました。
「日常を非日常に変えてくれる、まさに“プレミアム”なパン」
「手に取った瞬間から幸福感が高まる特別な一品」
「素材・安全性で98%という歴代最高級の評価」
「唯一無二のこだわりと、おもてなしの心が伝わった」
わたしたちの覚悟が、パンそのものにもパッケージにも伝わったことを、誇りに思います。
でも、それ以上に「食べた人が笑顔になった」「何もつけずに、また食べたくなる」
──そんな感想が一番のご褒美です。
◆ これからも、“パン以上ケーキ未満”の物語を

グランプリ受賞は、決してゴールではありません。
むしろ、私たちの物語の新しいスタートです。
日常の中で、ふと特別を感じられる一切れを届けたい。
「パンのある食卓に、ちょっとだけ笑顔と物語を」
今朝もまた、パン工房には小麦と酵母の香りが満ちています。
焼き上がったパンを手にしたスタッフたちの顔には、自然と笑みがこぼれる。
「さあ、今日も笑顔を焼き上げよう」
流行遅れでもかまわない。
わたしたちは本当においしい生食パンをこれからも焼き続けたい。
「ゆめちからもちもち生食パン」で、これからも皆さまの毎日に、
ささやかな非日常を届けられますように。
◆ 店舗情報

サニーベッカリー(本部工房直売店)▶︎所在地:〒252-0344
神奈川県相模原市南区古淵3丁目9−8
▶︎アクセス:JR横浜線「古淵駅」より徒歩5分
▶︎OPEN:10:00~18:00

マチダベッカリー▶︎所在地:〒194-0013
東京都町田市原町田6-10-19
▶︎アクセス:小田急線「町田駅」から徒歩1分
▶︎OPEN:10:00~19:00
パン以上、ケーキ未満。公式HP
【会社概要】
パン以上ケーキ未満株式会社
メール:bakkery@panijou.co.jp
電話番号:042-713-4961
所在地:〒194-0013 東京都町田市原町田6-10-19
代表:代表取締役 鍜治史子
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