ネットの海で物語る【第7回】創作活動に付随する悪意 2/2
悪意に関するアンケート
さて、先ほど“誰にでも訪れる可能性があるイベント”と書きました。 実際ほかのクリエイターさんは創作活動を行うなかで「悪意を向けられたことがあるのか」が気になり、Xでアンケートを取ってみました。
【アンケート内容】
webで小説を投稿している方に質問です。創作活動を行うなかで、他者から誹謗中傷、嫌がらせ行為、作品への理不尽なコメントや評価を受けたことがありますか?(投稿サイト内・SNS・匿名掲示板等を含む)
857票が集まり「受けたことがある」が46.4%。「受けたことはない」が53.6%という結果になりました。 おおよそ半数が経験していると言ってもいいでしょう。 また、誹謗中傷の内容や嫌がらせが始まったタイミングをリプやDMで教えていただきました。タイミングとしては「受賞したとき」「投稿サイトでランキング上位になったとき」などが多く、 人の目に触れる機会が増えたタイミングで悪意を向けられやすいこともわかりました。
もし、悪意を向けられたら
できるだけ気にしないようにするのが一番ですが、もしものときを考えて証拠は残しておきましょう。 批評のラインを超えた明らかな誹謗中傷(名誉棄損・侮辱)や脅迫行為は絶対に証拠を残しておいてください。 私も確認できたものは全てデータに残すようにしています。反応はしていませんけどね。
ちなみに、小説投稿サイトやSNSのコメントで誹謗中傷が届いた場合は、ただスクリーンショットを撮るだけではベストと言えません。「誹謗中傷のコメント」「コメントされているページのURL」「投稿日時」「証拠を残した日時」が確認できないといけません。詳しくは弁護士の方等が監修している記事の情報を参考にしてください。
■参考:スマホのスクショは証拠にならない?
弁護士が教えるネットで誹謗中傷を受けた時の正しい対応方法
(貞永憲佑 弁護士)
→ https://sharescafe.net/59837644-20221021.html
そのうえで、状況に合わせて小説投稿サイトの通報機能や運営者に報告する等の対応を行うといいでしょう。コメントが削除される前に素早く証拠を保存しましょう。
創作をしている根源を忘れるな
悪意について話していたら「だったら創作をする(小説を書く)なんてしない方がいいじゃん」と思う方もいるかもしれませんね。もしくは、すでに悪意を受けた経験があって「もう傷つきたくない」と考えている方もいるかもしれません。
創作活動をするにあたって、たしかに謂れのない悪意を受けることがあります。しかし、小説を書くことでしか得られない楽しい、嬉しいことがたくさんあるのです。叶えたい目標や夢が、その延長線上にあるのならなおさら悪意に負けてほしくないと思います。
そして、自分が他人に悪意を向けてしまいそうになるときも、思い出してほしいのです。小説を書き始めた理由や、書き続けている理由を。無責任に他者を貶すためではなかったはずです。
私には私の、あなたにはあなたの価値があります。その事実は受賞の結果や、ランキングに関係なく、誰にも汚されないものです。言葉は誰かの心を折るためのものじゃありません。小説を書く私たちだからこそ創れる言葉と文章は、もっとポジティブなものを生み出せるはずです。自分も他人も救うことができる力が小説にあると、私は信じています。
いいことばっかりじゃありませんが、心を折られず、また他人の心を折ることもなく、創作活動をしていきましょう。
次回は「執筆依頼」をテーマに、ネットでの創作活動が仕事に繋がったお話をさせていただきます。
※次回は10/11(水)更新予定です。■profile
蜂賀三月 (はちが みつき)
小説家。ショートショート、児童書、YA小説をメインに執筆活動を行う。著書に『絶対通報システム~いじめ復讐ゲームのはじまり~』(スターツ出版)、 短編小説収録『5分後に奇跡のラスト』(河出書房新社)など。小説情報メディア
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