せきしろの自由律俳句 第88回「座る」結果発表 (2/3)


第 88回 課題: 座る
佳作
亡き父の場所で飯を食う
(広島県 えぺ 43歳)
マッサージチェア父の帰り待つ
(静岡県 幸江 56歳)
父の席から見るテレビ
(福岡県 はしもり 29歳)
あの子の席であの子の世界を見る
(静岡県 わか 41歳)
おそらく膝は鳴るだろう
(東京都 瓢箪 36歳)
誰も知らない一日を眺めるベンチ
(東京都 稲葉智子 44歳)
優先席に小さく座る
(愛知県 けい瑚 72歳)
空席の優先座席に西日
(大阪府 水槽 32歳)
夏を吸うサドル座らない
(千葉県 桜那恵 26歳)
おしりから伝わる冬
(東京都 ふすま苫小牧 22歳)
記念撮影の中腰の列の中年
(埼玉県 おかっち 33歳)
もう1番前の席しか空いていない
(北海道 エリンギ 37歳)
チョキのまま音無く座る
(栃木県 縦川 島々 34歳)
ないしょ話と軋む椅子
(千葉県 xissa 58歳)
背もたれに支えられる夜
(東京都 芦田晋作 49歳)
座り心地は尻が決める
(福島県 可笑式 58歳)
腰かけて気づく昼の月
(東京都 水面叩 33歳)
アバターも観たソファー一緒に運ぶ
(大阪府 フルカワ 32歳)
美容室の椅子頑張って座る子
(福島県 きりんのき 22歳)
病院の待合室の冷たいソファー
(北海道 ももんが 78歳)
『亡き父の場所で飯を食う』『マッサージチェア父の帰り待つ』。この他にも父親の句が多かったが、父親には「定位置」が存在するイメージがあるのか。私にはある。思えば祖父にもある。
『父の席から見るテレビ』『あの子の席であの子の世界を見る』。自分の席以外から見る景色はたしかに違う。新鮮さもあれば落ち着かなさもある。
『おそらく膝は鳴るだろう』。予言である。しかも当たる自信がある予言だ。
『誰も知らない一日を眺めるベンチ』。「だれも知らない」がベンチにかかっているとありふれた句になってしまうが、「一日」にかかっていることで作者のみ視点が想像できる。
『優先席に小さく座る』『空席の優先座席に西日』。どちらも優先席を題材にした句。どちらも見覚えも身に覚えもある。
『夏を吸うサドル座らない』『おしりから伝わる冬』。ふたつの季節。夏のサドルは想像以上に熱いことがある。冬の椅子のひんやり感をあえて求める時もある。
『記念撮影の中腰の列の中年』。社員旅行や同窓会か。楽しそうな中腰が見えてくる。フィジカル的には辛いだろうが。
『もう一番前の席しか空いていない』。自由席の演劇を見に行った時などに遭遇する光景。一番前が好きな人には良いが、苦手な人には辛い。しかし座るしかない。
『チョキのまま音無く座る』。じゃんけん大会で敗退。
『ないしょ話と軋む椅子』。静かな内緒話と椅子が軋む音。対比が良い。読後、音だけが残り続ける。