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創作で困る「登場人物の名前」どう命名する? どこにこだわればいいの? 徹底分析!

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Pickup!

多様な命名法を使った作品をさらにご紹介

さて、既存の人気作品から、前ページに載せていないものを例に挙げ、さらに命名パターンを分類してみましょう。
(タイプ名が長いので、略して表記しています)

 「かいけつゾロリ」など、児童文学作品のキャラクター = ①プリキュア型+②ポケモン型+③DB型+④コナン型

主人公ゾロリのオマージュ元は「怪傑ゾロ」で、「Zorro」はスペイン語で「狐」。つまりゾロリはある種のダブルミーニング(?)。
さらにその子分のイシシ、ノシシは、キャラモチーフそのまま「イノシシ」のもじりでわかりやすい。

 「葬送のフリーレン」のキャラクター全般 = ①プリキュア型+②ポケモン型 

ちなみにドイツ語由来だそうです(フリーレン=「凍る」、フェルン=「遠く、かなた」、シュタルク=「強い」etc.)。なんとなくキャラの印象とも合っていますね。

 「忍たま乱太郎」のキャラクターほぼ全般 = ②ポケモン型+③DB型+⑤デスノ型(+①プリキュア型?)

原作者の出身地である兵庫県尼崎市や近畿地方の地名、実在の忍者等からつけられたキャラ名が多いです。例えば主人公「猪名寺乱太郎」は、尼崎市の猪名寺地区&原作者が視(だった?)だからという由来があるそうですよ。
ほか、最新映画「ドクタケ忍者隊最強の軍師」で注目のキャラ「雑渡昆奈門(ざっとこんなもん)」など、明らかにダジャレめいたキャラ名も多いです。

ゲーム「逆転裁判シリーズ」と一連の作品のキャラクター全般 = ①プリキュア型+③DB型+④コナン型+⑤デスノ型

例えば主人公「成歩堂龍一」は、「なるほど」と、メインディレクターが好きな「坂本龍一」氏から、ライバル検事「御剣怜侍」は、切れ者で怜悧なイメージから名づけられているとか。
さらに単発キャラはダジャレのような名前、そこから転じた当て字の名前がとても多く、プレイヤーが覚えやすいので推理の助けになります。

 「xxxHOLiC」の「四月一日君尋(わたぬき きみひろ)」「百目鬼 静(どうめき しずか)」 など= ⑥鬼滅型 

 両方とも実在の難読名字です。わたしは初見時まったく読めませんでした…。

 「クレヨンしんちゃん」の「ボーちゃん」 = ⑦名前不明型

 彼の名前は一体何なのか、永遠の謎です…。

小説「ステップファザー・ステップ」の主観人物「俺」= ⑧フランケン型

 物語の語り手「俺」は名前が終始未登場で、ある事情から主に「パパ」と呼ばれます。

 

命名でこだわりたい? ポイント

さて、主人公の命名で毎回悩むわたしが、個人的に「ここは押さえておきたいな」というポイントを3つご紹介します。

① 覚えやすいか、親しみやすいか

基本にして、最重要レベルで大切だと思うポイント。
シンプルに「親しみやすい名前」は幅広い年代に受け入れてもらいやすいですし、覚えてもらいやすいです。宣伝やSNSで表記してもらう時にも絶対的有利になります。
また、設定上「実はすごく長いフルネームを持っている」としても、実際に表記・表現をする「覚えやすい名前」という要素は大切です。
普段はファーストネームで呼んでいるとか、ニックネームで通しているなどの理由で、普段は短く覚えやすい(&表記しやすい)名前で表現するが良いかなと思います。

② 世界観・時代観に合っているか

もちろん、「あえて名前によってキャラを引き立たせたい」とか、設定上「その名前に意味がある」などの理由ありきならば、むしろミスマッチな命名がキャラクターの特色になります。
たとえば異世界転生ものなどの作品では、「世界観と合致しない名前の主人公」を置くことで、主人公が別世界(=現代社会)からの異邦人であると印象づけることができます。

しかしここで提示したいのは「なんてことのないキャラクターでミスマッチな名前だと違和感があるのでは?」ということです。
例えば、剣と魔法のファンタジー世界なのに、その世界の住人が「一郎」「花子」みたいな名前ばかりだと何だかミスマッチ感がありませんか?
モブキャラにまですべて名前をつけるということではありませんが、名前が必要なキャラにおいて、ある程度世界観や時代観に則った名前をつける、というのは結構重要です。

③ 音にして呼びやすいか

これは完全にわたしの個人的こだわりなのですが、「声に出した時に呼びやすいか」もあります。
作品がめでたくデビューして運よくメディア化、となった時、「音にして呼びにくい名前」だと役者さんが苦労するかも…なんて、気に病むのは嫌だし、シンプルにずばっと呼んでもらったほうが聞いている側も気持ちがいいので、最初から呼びやすそうな名前にしちゃいます。

いわゆる「音にして呼びにくい名前」の例なのですが、「連続母音」や「連続子音」の名前は日本語的に発音しづらいらしいです。つまり「ああああ」とか、「りゃ(RYA)」「きゅ(KYU)」「ぎょ(GYO)」みたいな音が幾つも連続するような名前ということですね(1個程度なら呼びやすそう。「ルフィ」とか)。

参考までにこちら、声優・内田夕夜さん(映画「ラ・ラ・ランド」の主演ライアン・ゴズリング氏の吹き替えなどで有名)のブログの過去記事より引用。

(韓国時代劇の吹き替えで)
この人(役)の名前だけは呼びたくないと共演者と意見が一致するのが神官長の名前。
その名も、ナチャルリョ。NACHARURYO。
連続母音や連続子音は難しく、特にR連続は難しいと言われるのに、A連続+R連続。
しかも、神官長なので呼びかける時は最後に‘SAMA’が付きます。
A連続+R連続+A連続。恐ろしい..。

引用元:内田夕夜オフィシャルブログ「夕夜のブログ」2010/11/27記事「恐れていた事が」

わたしは以前このブログを読んで「こういう音の名前って呼びにくいのか」と知りました。
なので、特に名前を呼ばれる機会が多いメインキャラにおいて、連続母音や連続子音の多い名前にしてしまうと……ひょっとしたらメディア化した時、呼びにくいかも?