公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

創作で困る「登場人物の名前」どう命名する? 人気作品のパターンを分析!

タグ
小説・シナリオ
小説
Pickup!

こつこつと小説投稿をしている公募ライター、梨木しんです。

創作で困ることの筆頭に「キャラクターの命名」があります。本当にいつも命名に悩みます。キャラクターの名前、特に主人公の名前は作品の看板となりえるものですし、作者が納得する名前をつけたいもの。
しかし(わたしの場合ですが)フィーリングでつけると「自分の好みの語感」みたいなのがあって似たような名前ばかりになってしまいがちです。だからなるべく「違う視点」から名づけたい。みなさんはそう思うことはないでしょうか?

そこでわたしは、キャラ命名に関して、自分にない「違う視点」を得るべく、既存の作品のキャラクターの名前を独自に分析してみました。

キャラ命名に使えそうなWebサイトの一覧も添えてご紹介します。
みなさんの創作の助けになれば嬉しいです。
 

プロだって悩む!? キャラクター命名

実際に、プロの作家でも命名に苦労するというのはあるあるのようで…。
ベストセラー作家の大沢在昌先生、京極夏彦先生、宮部みゆき先生の公式サイト「大極宮」より。過去のアーカイブにおける「読者からのQ&A」でも命名について回答されています。

(以下、要約&引用)

Q32 登場人物の名前はどのように考えられますか?
A32 大沢「これは苦労する。机の上にある辞書の編者とか、身の回りの本の著者名は使い尽くしている。あと、頼まれて書店員さんの名前を使ったりも」
  京極「僕は、適当」
  宮部「でも、気がつけば同じようなの使ってたり…。やっぱり、なんとなく自分で音とか字面で好きなのがあるから」

引用元:「Q&A 三人の作家たちへの質問 Part2 Q32」

やはりプロの作家でもキャラの命名には苦労するようです。


そもそも「キャラクターの名前」ってどうなってる? タイプ別に分析!

キャラクターの命名について、幾つかの作品を分析してみました。人気作品のキャラ命名法は、おおまかにこのようなパターンに分けられると思います。

①「プリキュア型」→ キャラクターのイメージや能力、作品コンセプトそのままに命名する

毎年新シリーズが放送される女児向けアニメ「プリキュアシリーズ」。
この作品の主人公たちは、作品コンセプトやキャライメージを投影したキャラ名をつけられています(「トロピカル~ジュ!プリキュア」の主人公・夏海まなつ=キュアサマー、「ひろがるスカイ!プリキュア」の主人公ソラ・ハレワタール = キュアスカイなど)。
これはキャラのイメージをすぐに掴める、直感的に理解できる、という利点があります。子どもをメインターゲットにした作品などに多い印象です。

②「ポケットモンスター型」→ 既存カテゴリの何か由来の名称、特定の共通点を持つ名前にする

ポケモンシリーズにおいて、例えばジムリーダーは「植物の名前」をその名につけられています。このように「特定のカテゴリの単語」を由来に名づけるやり方です。おそらく一番多い命名パターンかなと思います。
これは作品の全体イメージを固めるのにも一役買うやり方です。また作者(=命名する側)にとってのメリットは、命名パターンを最初に決めてしまうので、新規キャラクターの名前をつけやすいことでしょうか。

③「ドラゴンボール型」→ 特定の単語をもじった命名をする

孫悟空の本来の名前「カカロット」、そして「ベジータ」「ブロリー」など…サイヤ人は全部「野菜の名前」をもじったキャラ名というのは有名ですよね。
この命名法はギャグ漫画などにも多い印象です。また覚えやすい名前になるので、推理小説や推理ゲームの単発キャラ(事件関係者)などで使うと、読者やプレイヤーが推理しやすくなる利点があります。

④「名探偵コナン型」→ 既存作品のキャラ名、実在人物(偉人)などからオマージュで命名する

「江戸川コナン = 江戸川乱歩+コナン・ドイル」のように、オマージュ元(元ネタ)がはっきりわかる命名法。その作品だけでなくオマージュ元は何だ? と楽しめるやり方です。
注意点ははっきりと「オマージュ元が何かがわかるように名づける」必要があること。いわゆる「パクリ」と言われてしまわぬよう、オマージュ元への愛と尊敬を込めて名づけましょう。

ちなみに「名探偵コナン」は古今東西の探偵もの・刑事もの作品からオマージュされたキャラ名の宝庫なうえ、事件関係者など単発キャラの名前も凝っているので、そういう視点で読んでも楽しいですよ。

⑤「DEATH NOTE型」→ 初見で読めないなど、現実ではありえないような(読みの)名前にする

「夜神月(やがみライト)」のように、当て字などを駆使して、あえて特殊な読ませ方をする命名法です。メリットは何と言っても「唯一無二」「インパクトのある」名前にしやすいこと。キャラの名前を一発で覚えてもらいやすいです。

ちなみに「DEATH NOTE」の場合、「(主人公を含めて)犯罪者のキャラが多い」ために、あえて現実にいないような名を多くつけたそうですよ。

⑥「鬼滅の刃型」→ 実在の珍しい名前(特に苗字)を使う

「竈門(かまど)」「栗花落(つゆり)」「不死川(しなずがわ)」「甘露寺(かんろじ)」「産屋敷(うぶやしき)」などなど…これらは実在する珍しい名字なんですって。いわゆる難読名字ですね。
「現実にある名前」を使うこのやり方は「現代劇」だけでなく、架空の世界や時代を描いた作品でも使える手法です。その珍しさから字面のインパクトなども見込めます。

⑦「名前不明型」→ 文字通り名前不明、あるいはイニシャルや通称のみで通す

少しコンセプトから外れますが、こういうパターンもあります。例えば、設定上「名前を明かしてはいけない」「そのキャラクター自身も自分の名前を知らない」「本名不明だからイニシャルの“A”と呼ぶ」などです。
あるいは「本名不明なこと自体が叙述トリック」というパターンも。推理もので、「アイ」と名乗っているのはAのはずだが実はBだった…みたいなのがこれです。
しかし場合によっては「隠されていた真の名前がある」という展開も多いので、その際は「通称」と「真の名前」の2種類を考える必要があることも。

⑧「フランケンシュタインの怪物型」→ あえて名前をつけないままでいく

「あえて名前を設定しない」というのもアリ。パターン⑦「名前がある(はずだ)けど明かさない」とは異なり、完全に名づけないままいく手法です。
例えば「人造生物で名前がない」「神のような存在だから」とか、「主人公の視点で物語が展開するので、終始『僕』と表記するから」など。こちらも叙述トリック物で使える手法です。

有名なものだとメアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」、その主人公の「怪物」でしょうか。実は、一般的に知られる怪物=人造人間には名前が存在しないんですよ。フランケンシュタインとは、怪物を造った博士の名前ヴィクター・フランケンシュタインのことです。

 

このようにカテゴライズしましたが、これらの作品は、ひとつの命名パターンのみでキャラ名をつけているわけではありません。

日本の人気アニメ(orゲーム)など、特に長期展開をしている作品は、必然的にキャラクターの数が増えるためか、複数の命名パターンを組み合わせているものがとても多い印象です。

次のページでは、上記に挙げていない人気作品を例に、さらに分析してみましょう。