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【トピックセンテンス法】「その文章、結局何が言いたい?」とはもう言わせない! ロジカルな言語化力を身につけよう

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先の見えない文脈に「何が言いたい?」と突っ込め!

最後まで読まなければわからない、最後まで読んでもわからないとならないために。まとまらないのは書き方より、思考の問題のほうが大きい。

わからないときは分けてみよう

下記の例文(右)は、安楽死について思いつくまま書いたもの。かなり混乱しており、何が言いたいのか頭に入ってこない。

こういうときは見出しをつけて、似たような文章をグループ化してみるといい。そのうえで文章に流れをつければ、思考の流れがわかりやすくなる。

グループ化して、論理的に書こう

グループ分けしたあとは、各グループを論理的に並べる。

ここでは「序論‐本論‐結論」という論文の構成にした。古市氏の話が序論にあたる導入部で、その後、メリットとデメリットを紹介し、最後にまとめを書いている。

グループ分けしているので、話があちこち飛ぶことはない。

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思考が未整理なまま書くと失敗する

もう1つ、例文を挙げよう。

〈ハガキは個性を出しやすいが、ハガキ代がかかり、メールは深夜でも応募できる。そのうえで無料だが、冷たい印象がある。やはり、作品には温かみが必要だ。〉

ハガキでの応募とメール応募を比較しているが、考えが整理されていないのかわかりにくく、最後の一文はハガキについて言っているのか、メールについて言っているのかわかりにくい。

こういうときは、一度、図にしてみると思考が整理される。

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日本語の欠点を補う文章作法

「最後まで読めばわかる」のでもいいが、文章構造や結論が見えていると、理解はずっと早くなる。

最後まで読まないと全体像が見えない

日本語の場合、一文の結論は語尾の述部を読むまでわからない。この一文の構造がそのまま文章の構造に影響し、従来の日本語の文章作法では結論が最後にくる。

この欠点を補う方法がトピックセンテンス法。トピックセンテンスは文章の趣旨を一言で言い表したもので、たとえば、〈私は安倍政権には反対である。〉のような趣旨を先に書く。

読者はこうした趣旨を踏まえて読むので、理解が早くなる。

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うまく先行きを予告するとわかりやすい

上記と似ているが、展開が予想される一文を書くのも効果的。

たとえば、何かの原因を3つ並べるとする。前置きせずに3つの原因を書いて、〈以上、原因を3つ挙げた。〉と書くと、読者はこの時点でようやくそうとわかる。

そうではなく、最初に〈原因は3つある。〉と予告すれば、読者は何が書かれるかわかるうえ、3つの原因が並列に並べられるという構造もわかる。文章の流れを方向指示器のように前もって示そう。

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重複と指示代名詞

一文一文を正確に書いていこうとすると言葉の重複が増え、過度に不足を埋めようとすると、言葉がダブついてわかりにくい文章になる。

例文を示そう。

〈彼は私の取引先の社員だ。彼は同性の私が見ても嫉妬を覚えるくらいの好青年だ。なぜ好青年と思うかと言うと、彼は性格が素直で、気配りもできるからだ。私もあんなふうになりたいものだ。〉

この文章の重複する部分を削ってみよう。

〈彼は取引先の社員だ。性格が素直で、気配りもでき、同性が見ても嫉妬を覚えるくらいの好青年だ。あんなふうになりたいものだ。〉

重複がないと、余分がない分、話がわかりやすい。

ただし、短ければなんでもいいわけではない。短くても文と文の関係は明白でないといけない。また、重複を避けようとして、「それが」「あれは」「そんな」といった指示代名詞を多用すると、「『それ』が何を示すか」わかりにくくなる。

重複を避けるか、はっきり明示するかは、そのつど、文脈に応じて判断しよう。

接続詞

接続表現とは、接続詞、接続助詞、副詞、指示代名詞の4つを指す。副詞と指示代名詞は接続詞とは違うが、似た働きをし、ここでは同じ仲間とする。この接続表現の役割のうち、代表的なものを2つ挙げよう。

1つは、先行文と後続文の関係性、方向性を示すこと。

〈私にとって書くことは呼吸することに等しい。だから、やめられないのだ。〉

「だから」はなくても通じるが、あるとわかりやすい。

同様に、「なぜなら」と言えば理由を言うとわかるし、「たとえば」と言えば例を出すとわかる。また、「まず」と言えばいくつか並列の関係にある事柄を並べるとわかる。展開が推測できる。

もう1つは、文章のつながりを滑らかにすること。

〈人生は落丁の多い書物に似ている。一部を成すとは称し難い。しかしとにかく一部を成している。〉(芥川龍之介『侏儒の言葉』)

この「しかし」は、実用書では「むだな接続詞」と言われるかもしれない。しかし、文芸の文章では削らず、リズムを優先していい。

※本記事は2019年4月号に掲載した記事を再掲載したものです。