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魅力的なキャラクター設定のかんたん3ステップ

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作文・エッセイ

「キャラクターが立っていない」と言われたことはありませんか? 
今回はそんな人に向けて、登場人物に命を吹き込む「キャラクターの作り方」を伝授します!

3つのステップでできる!
 

1. キャラクター作りの基本

STEP1 小説の設定を考えよう!

キャラクターを作るとき、まず考えたいのは、小説の設定を考えること。
これはストーリーと似ていますが、そこまで詳しくなくてかまいません。
ログラインとも言いますが、要は「一言で言えば、どんな話なのか」です。

たとえば、〈悪魔と人間の間に生まれた双子の妹ルナが人間界に降臨し、悪魔人間として修業をする話〉といった具合です。
コツは、「誰が、何をきかっけに、何をしようとする話なのか」を書くこと。

このあとに、主人公の最終的な目的は何で、それを阻むものや対立する敵を考えてみましょう。
ここまで考えれば、なんとなくもうストーリーが浮かんできますよね。

STEP2 主人公の性格を考えよう!

 
● 欠点・弱点はある?
 

個性的なうえに共感も得られるキャラクターは、なんといっても欠点、弱点のある人物です。
たとえば、〈いつも周囲に迷惑をかけるトラブルメーカー〉はどうでしょうか。
きっと懲りない人なんですね。そんな人は頑固で意固地で、不器用で要領が悪く、ちまちま努力するより一発逆転を狙って大きな賭けにでようとする。そして、そのことでいつも周囲に迷惑をかける……。

キャラクターが立った登場人物は、現実的にはそばにいてほしくない人です。
でも、フィクションの中ではそれぐらいの人物でないと立たないのです。
キャラクターを作るときは、迷惑な人、嫌なやつ、鼻つまみ者、でも憎めないという人物を考えてみるといいです。

もちろん、作品の内容によっては“いい人”を主人公にすることもありますが、そのときもどこか一点、極端な部分を持つキャラクターを作るようにすると、ストーリーを引っ張り得る人物になります。

● 人が持っていない能力は?
 

主人公はほかの人が持っていない能力を持ち、そのことで問題を解決します。
昔話などでは、主人公は特殊なアイテムを与えられて、それで目的を実現したりします。『一寸法師』で言えば打出の小槌がそうですね。

警察もの、法廷ものなどでは、頭脳明晰な刑事や弁護士があっと驚く推理で謎を解いたりします。アクションものでは、主人公は類いまれな身体能力で危機を脱したりします。

特殊能力はこうしたことだけではありません。〈誰よりも努力家〉〈夢見る力が異常にある〉〈草花を育てるのが神がかり的にうまい〉といったことも特殊能力の一つです。
こうした地味な能力を持つキャラクターを作る場合は、“バカがつくほど”であるほうがキャラクターが立ちます。
つまり、「〇〇し過ぎる人物」にすることです。「優しい人」では弱いですが、「優し過ぎる人」と設定すると、何やらストーリーが始まりそうな気がしませんか。

STEP3 サブキャラについて考えよう!

設定と主人公の性格を考えたら、最後にサブキャラクターや脇役を作ります。誰を登場させるか、どんな性格にするか、キャストを考えてみましょう。

 
● 敵(ライバル)
 

対立構造のストーリーの場合は、主人公が目的を実現するのを阻む敵が必要です。この敵は強ければ強いほど盛り上がります。
主人公が貧しければ、敵は令嬢など、主人公とは性格も育った環境も真逆のキャラクターにするのがセオリーです。

● バディー
 

主人公の相棒、相方です。同じ目的に向かって努力し、時に主人公をサポートする仲間ですが、主人公とはまた違った性格をしています。主人公が慎重な性格なら、バディーはその背中を押すチャレンジャーなど、主人公の欠点を補完する人物にしましょう。

● 恋人
 

主人公の恋人や配偶者、または好きな人です。それがバディーである場合もあれば、恋人を射止めることが物語の目的であることもあります。
恋人の性格は、気まぐれであったり、気高かったりして、主人公の恋の障害となるものであるほうがストーリーが盛り上がります。なんでもそうですが、簡単に実現することは面白みがないのですね。

キャラにリアルさが増す!
 

2. キャラクターに履歴を与えよう!

プロフィールを考えよう!

俗に「履歴を与える」と言います。登場人物は架空の人物ですが、まるで本当に生きている人間であるかのように、過去や経歴を持たせるのです。そうすることで、登場人物が単なる人物でなくなり、血の通った生身の人間になるのです。

ただ、市販の履歴書にある「2002年3月・芝公園小学校卒業」のような項目を埋めることはあまり意味がありません。小説では外見もさほど重要ではありません。
キャラクターを作るうえでもっとも重要なのは性格です。それ以外はすべて些末なこと。
それとジャンルによってはどんな職業であるかもポイントになります。

ここでは、下記のようなことぐらいを設定してみましょう。
必要がなければ、すべて埋める必要はありません。
なお、キャラクターの性格については、すでに前項STEP1で考え済みですね。

氏名
年齢・性別
身体的特徴
特技
好きなもの(得意なもの)
嫌いなもの(苦手なもの)
職業
性格

性格が形成された出来事を考える

性格が決まったら、その性格が形作られたきっかけを考えましょう。極端な性格であればあるほど、そうなった原体験があるはずです。
現実には生まれつきそういう性格ということもあると思いますが、過去の出来事を設定することで、「だからそうなったのか」という説得力が生まれるのです。

こうした原体験やトラウマとなっているような出来事は、だいたい幼少期に体験しています。または十代が多いでしょう。

二十代以降は基本的な人格はすでに形成されていて、大人になって急に性格が変わることはあまりありません。しかし、それでもその後の人生に多大な影響を及ぼす出来事が起きないとは限りませんから、「二十代」と「それ以降」の項目も設けてあります。
性格は変わらないまでも、その後の人生の目的を見つけるということはあり得ますね。

出来事に対するリアクションは、人によります。〈いじめられて臆病になる人〉もいれば、〈いじめられて正義感が強くなる人〉もいるでしょう。あまりステレオタイプ的に考えるとキャラクターにリアリティーがなくなりますが、それより、キャラクターの性格とストーリーがうまく連動していることが大事です。

たとえば、「夢の実現のためなら周囲の人を次々と潰していくような冷酷な主人公」だが、そうなったのは「周囲に振りまわされ、夢破れて死んでいった父親が『オレのようになるな』と言ったことをレクイエムとしているから」など。
そして主人公が岐路に立たされたとき、いつも父親の言葉と無残な最期が蘇るといった設定にすると、キャラクターとストーリーが連動してきます。

幼少期
十代
二十代
それ以降

現在の環境を考える

キャラクターを作るうえで性格とともに重要になってくるのが、現在の生活です。
これも主人公の行動や目的、性格と密接に関わってきます。

〈社会生活〉は、職業や社会との関わりです。どんな仕事をし、どんな人とどのように関わっているかです。
〈人間関係〉は、家族、職場の人間、友人関係。そこにはどんな人がいて、どんなスタンスで付き合っているかです。
〈プライベート〉は、一人きりのときに何をしているかです。〈ぼんやりしている〉のか、〈将来のために勉強している〉のか、〈SNSで暴言を吐いている〉のか。一人のときこそ本性が現れます。

社会生活
人間関係
プライベート
キャラは立てるべきか、立てざるべきか!
 

3. ジャンル別キャラクター設定

キャラクターを立てるジャンル

・ライト文芸(ライトノベル)
・ミステリー、ファンタジー
・時代小説

比較的若い読者層向けの小説や、いわゆるジャンル小説のキャラクターは個性的である必要があります。
キャラクターが魅力的であるとそれだけで面白くなりますし、平板なストーリーでも面白く感じられたりします。もちろん、面白いストーリーはさらに面白くなります。

キャラクターを立てないジャンル

・純文学
・心境小説

逆にテーマ性の強い小説では、漫画的にキャラクターを立たせると、少しうるさく感じられます。社会問題についてドキュメンタリータッチで迫っていく小説や、人間の存在について深く考察した小説、今まで言えなかったことを告白した小説などでは、変に個性的な主人公にしてしまうとテーマ性を阻害します。
個性的であってもかまいませんが、テーマや雰囲気を壊さないようにしましょう。

設定だけでは伝わらない!
 

4. キャラクターを表現するコツ

性格を説明しただけではだめ

よくある勘違いは、設定した性格を説明すれば、それで伝わると思ってしまうことです。
たとえば、誰かからある人を紹介され、「とても親切な人です」と言われたとしましょう。頭では、「親切な人なんですね」と理解します。
しかし、心から「親切な人だ」とは思えません。

説明=読者は頭では主人公の性格を理解しているが、実感をもってそう思ってはいない。

これではキャラクターの性格を表現したとは言えません。

出来事を通して表現する

では、どうすればいいでしょうか。
性格がわかるような出来事を書くことです。
たとえば、大きな荷物を持っているとき、「お持ちしましょう」と言われれば、「親切な人だ」と思うでしょう。
落とし物をしたとき、落とし主を探し、「相手は困っているだろう」と遠方から届けに来てくれたとなれば、親切を通り越して「お人よしだな」と思うかもしれません。

いずれにしても、何か出来事があり、それに対して相手がどんな選択をし、それを目の当たりにすることで、初めて実感がもたらされます。
出来事を起こし、主人公に選択をさせる。これが性格を表現するコツです。

キャラクター表現の公式

出来事×選択

性格を印象づけるコツ

 
● 同じ行動をくり返す
 

「無鉄砲」なキャラクターを作るとして、無鉄砲さを表す出来事が一回だけでは印象に残りません。強調したいのであれば、出来事が起きるたびに無鉄砲さを発揮すること。
これを貫通行動と言います。

● うまいあだ名をつける
 

キャラクターの性格や人となりを表すあだ名をつけましょう。
「無鉄砲」であれば、単純に「テツ」でもかまいません。
最初に〈テツは本名ではない。無鉄砲だからテツと呼ばれている。〉と書いて印象づけておけば、「テツ」と呼ばれるたびに読者はこの設定が頭をよぎるはずです。

● オーバーにやる
 

「無鉄砲」と言いながら、「人よりは多少無鉄砲かな」と思うぐらいのことしかしないのでは印象に残りません。周囲の人が「向こう見ずとはこんな性格だな」「命知らずもたいがいにしろ」と言ってしまうぐらい少しオーバーにやりましょう。

《まとめ》

キャラクターが立っていると出来事に対して主人公らしい選択をするようになり、選択した結果、さらにキャラクターが強化されていきます。
そうなるとキャラクターが人格を持って独り歩きするようになり、ストーリーがどんどん展開していきます。こうなったらしめたもので、作者であるあなたは主人公のあとを必死についていって、その出来事を夢中で書き留めるような感じになります。
そんな小説体験をするためにも、まずはキャラクターを立てることから始めましょう。



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