“海がない街”で行う海洋教育:『水をたどる仮面ー内陸から海を結ぶ授業の記録』冊子完成のお知らせ
秋田県大仙市立中仙中学校×みなとラボが描く、仮面制作で探る地域・水・文化の循環
「海と人とを学びでつなぐ」をテーマに活動する一般社団法人3710Lab(みなとラボ:代表理事・田口康大)と大仙市立中仙中学校は、海洋教育プログラムの取り組みをまとめた冊子『水をたどる仮面ー内陸から海を結ぶ授業の記録』を日本財団の助成のもと制作しました。

みなとラボは、2024年度より大仙市立中仙中学校と協働で、海洋教育プログラム「仮面文化―自然との共生を探る」を実施しました。同校1年生の美術の授業において、地域のルーツをたどる取り組みとして、「水」と深い関わりを持つ地域の文化や山・川・海の循環に目を向け、自然とのつながりを表現する「仮面」を制作しました。


秋田県の内陸部に位置する大仙市は、川を通じて文化が行き交い、日本有数の米どころとしても栄え、水とともに歩んできた文化が息づいています。県内各地に息づく人形道祖神がつける「仮面」もまたこの土地で受け継がれてきた文化を映し、自然とのつながりの中で育まれてきました。
本プログラムは、こうした地域文化や自然環境との関係に目を向けるとともに、気候変動に深く関わる要因である「海」にまで視野を広げ、持続可能な生き方や文化を未来につなぐためのきっかけづくりを目指しました。
授業では、フィールドワークを通して、生徒一人ひとりが地域の自然や文化に向き合い、それぞれの思いや願いを込めた仮面を制作。その成果や学びの過程を記録し、今後ほかの地域でも活用できるよう冊子にまとめました。
プログラムの詳細はこちら:https://3710lab.com/contents/8958/
掲載内容
PART.1「大仙市の自然」:地域の自然や文化についてのエッセイ

生徒による「暮らしの中で感じる自然や文化の魅力」をテーマにつづったエッセイと、大仙市の自然の写真を収めた記録。学校帰りにふと目にとまる風景や、季節ごとに表情を変える自然など、地域ならではの印象的な瞬間が描かれています。生徒たちがどのような自然に囲まれ、何を感じているのかに触れていきます。


PART.2「授業の記録」:仮面の紹介/大仙市と海との関わり/授業のねらいとながれ/展示記録など

生徒による仮面を紹介。仮面に込めた思いや地域への願い、そして授業を通して考え、感じたことが、生徒それぞれの言葉でつづられています。あわせて、授業の目的や意義、プログラムの流れや取り組みの過程も記録し、本プロジェクトの全体像をまとめています。


新たな海の学びを提案:内陸部での取り組みの開発
海は地球全体の水の循環や気候変動に深く関わり、「海洋教育」は持続可能な社会づくりに欠かせないものです。国連の専門機関であるユネスコIOCが進める「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」(2021~2030年)も折り返しをむかえ、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の実現に向けて、世界的に海洋教育の取り組みが広がっています。
しかし、内陸部にある地域では海を身近に感じにくく、海洋環境の取り組みを自分ごととして実感しづらいという課題があります。その背景から本プロジェクトでは、生徒が地域の文化や自然から海とのつながりに気づき、地球環境を考える視点を育むことを目指しました。内陸に限らず全国にも共通する課題に応えるモデルケースとして、多くの地域や教育の現場に提案するものです。

実践校の募集および冊子配布のお知らせ
本プログラムに関心をお持ちの方、また海や自然をテーマにした教育活動を取り入れたい学校・教育関係者、児童生徒の皆さんを募集しています。また、ご希望の方には冊子をお配りしております。プログラムに関する取材も受け付けておりますので、ご興味やご要望がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら:https://3710lab.com/contact/

冊子情報
『水をたどる仮面ー内陸から海を結ぶ授業の記録』
執筆・撮影|大仙市立中仙中学校1年生(2024年度)
授業・撮影・執筆|田中真二朗(大仙市立中仙中学校教諭)
特別授業|ハウレット エリー リー(みなとラボ)
企画|みなとラボ
編集・執筆|田口康大、ハウレット エリー リー
デザイン|吉村雄大
写真提供|大仙市(パート1 p.6, p.14)
協力|だいせんLabo
印刷・製本|株式会社アイワード
発行|一般社団法人3710Lab(みなとラボ)

授業実践についてのエッセイの紹介
みなとラボ・代表理事の田口康大による本授業に関連したエッセイが、東北大学医療系メディア「ライフ」マガジンに掲載されています。ぜひご一読ください。
エッセイ:水の流れと仮面の声 -暮らしの水脈をたどる学び
3710Lab(みなとラボ)2015年、海洋教育の実践的なプログラムを開発・実施・提供するプラットフォームとして設立。海洋や教育、デザインなどの専門家と協働し、海洋教育とデザインを融合した実践的なプログラムを実施。環境問題や社会課題、地域のコミュニティ課題に向きあっている。代表理事:田口康大/兼任東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター特任講師
https://3710lab.com
https://www.instagram.com/3710lab

助成 日本財団ボートレースの売上金からの交付金を財源として、国境や分野を超えて様々な角度から社会課題解決をサポートしていく、日本最大の社会貢献財団。市民、企業、NPO、政府、国際機関などさまざまな立場の人々と連携し、年間約1,000団体に対する助成事業や日本財団自ら推進する支援事業(自主事業)を実施することで、国内外の社会課題の解決に挑戦する。海洋・船舶に関する問題の解決、福祉や教育の向上、大規模災害の影響を受けた地域への復興支援や災害対策支援、人道支援や人材育成を通じた国際貢献など多岐の分野にわたり活動を行う。
https://www.nippon-foundation.or.jp/

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