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他の公募に応募した作品はNG問題 ~だったら規定に書いてくれ

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作文・エッセイ

プロ志向なら、新作で勝負したい

細部を省いてざっくり言えば、一度落選した作品で再応募しても二重投稿とはならない。
しかし、改稿もせず、しても多少手直しをした程度で再応募すると、「これ、前に読んだぞ。選んで大丈夫か」と思われたりする。
数年前に、ある人が別の公募で落選した作品で再応募したところ、それを知った予選委員に「そんなことをするな」と言われ、ネットがザワついたことがあった。
きっかけは、以下のようなツイートからだった。

文学賞の下読みをしているのだが、編集者から連絡があり、何番のXは過去の某文学賞の最終候補作なのでボツにしたいと。作品名と筆名を変えているので検索にひっかからなかったが、下読み委員が「これ読んだことがある」ということで判明。作品名と筆名を変えて送ってよこすなんてタチが悪いよ。

最終候補になったら、その作品はいったん諦めなさい。あらたな作品を書いて挑戦すればいいではないか。いつまでも後生大事に抱えて、あちこち小さなところを直して送るのはみっともない。私は新作が書けません! といっているようなもの。受賞してから数年後、過去の作品を直して出せばいい。

twitter/池上冬樹さん-2021年9月4日
(「作家になりたい人を応援するサイト」より転載させていただきました)
https://sakka.club/days/tips/mame/saioubo-twitter/

池上冬樹さんの主張は正論だ。
一度落選した作品の再応募だが、まず、同じ賞に送る人はいない。これはお分かりだろう。すればバレるし、「なんの振り返りもなくまた同じものを送ってきて」と思われる。

それではと応募者は「別の公募に応募しよう。今度は評価されるかも」と考えたくなるが、そう都合よくはいかないし、ほかの賞で最終選考までいってしまっては、作品の中身は公表されていなくても使いまわし感がでてしまって印象はよくない。

ということで、早い段階で落選した作品は全面的に改稿し、完成度が高い作品で落ちたなら、同じレベルの作品を書く能力はあるわけだから、新たな作品に取りかかったほうがいい。

ちなみに、アマチュア時代は毎回新作で応募し、プロになってからかつての落選作品を出版する例もある。もちろん、かなり改稿しているが、そういうこともあるので、落選作品のことはいったんきっぱり忘れることだ。

だったら規定に書いてくれ

でも、応募者の気持ちも痛いほどわかる。代弁すると、こんな感じ。
「別の文学賞だったら受賞したかもと思うと、諦めきれなかったんだよね。タチが悪いと言うけど、別に規定違反をしたわけでもないし。だめだと言うのなら、はじめから応募要項の中にはっきりと『不可』と書いておいてよ」
ツイッターで問題となったのは、多くの投稿者がそう思ったからだろう。

それはそうだ。「規定には盛り込まないけど、それぐらい常識でわかるだろ」みたいなのはどうかな。特に十代、二十代の人なんかは「そんな業界の常識とか知らないよ」と思ってしまいそう。なんかすっきりしないよね。

そんなわけで、各文学賞が応募規定に一文盛り込むようになったらしい。
二重投稿をしていない人は、特に気にする規定でもないのだが。

さて、実際の応募要項はどうなっているか。
特に明記していない賞もあるが、調べてみたので、気になる人は次ページの一覧をご覧ください。
ちなみに、「二重投稿」はすべての公募において不可なので、表の項目には入れてありませんが、「他の賞の落選作品の再応募(全面的改稿なし)」のほか、「同人誌掲載、WEB掲載、自費出版した作品」をどう扱っているかも表に入れてあります。
(2024.3月現在)。

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