ネットの海で物語る【最終回】 特別企画 質問コーナー 2/3
最終候補で落ちてしまう作品と受賞する作品の決定的な違いは何だと思いますか? 蜂賀さんの肌感覚でよいので教えていただけると嬉しいです!
ごめんなさい。その公募が求めているものによってめちゃくちゃ変わるので一概には言えないです……。 最終候補まで残っているのなら、作品の質はある程度認められているはずなので、自作の講評と受賞作品(過去に開催されている賞なら過去回も含めて)を 比べて分析するといいと思います。
・そのレーベルや賞にとって新しさを感じる作品だったか
・そのレーベルのカラーと合っているか
・商品として売れそうかどうか
・選考委員の好み
色々な理由が考えられますが、賞によってどこに重きを置いているかも違いますし、様々な要素が絡みます。 あえてはっきり書きますが、運要素もあります。
もし、複雑に考えすぎて手が止まるなら「もっと面白いものを書こう」ぐらいのシンプルな気持ちに切り替えて次の作品を書き始めた方がいいかもしれません。私は分析や傾向を考えるのが好きですが、考えすぎて手が止まるのが一番もったいないと考えています。わからないものはわからないです。それなら結局作品の質を高めるか、数を出すのが一番確実な方法です。タイトルをつけるのが苦手なので、蜂賀さんがどんなふうにタイトルをつけているのかを聞いてみたいです。
ごめんなさい。私もめっちゃ苦手です。現在商業作品として世に出ているものは関係者の方々のお力添えでタイトルができていたりします……! 普段公募で出す作品は、内容を端的に表しているものを書くことが多いです。
でもこれ、とてもいい質問ですよね。「タイトルの付け方」でいっちょ特集組みましょう、公募ガイドさん(笑)。小説投稿サイトを読んでいると「ハッピーエンドになったものの、作中に起こった出来事の一部(「主人公へのいじめ」など)が未解決のまま物語が完結した」作品を見かけ、モヤモヤした気持ちを抱えることが何度かありました。 小説を書く際、「作中に起こった出来事や伏線」はある程度「解決(回収)」するよう執筆しているのでしょうか? ちなみに私としては「作中の問題は関わったキャラの処遇も含めてすべて解決」しないとスッキリしない読者だったりします。
私はできるだけ回収するつもりで書いていますが、作者によってはある程度の流れを示して、残りは読者の想像に委ねるという方もいると思います。 一番に伝えたいこと、伝えたい道筋を目立たせるために書きたくても省いているパターンもあります。あとは単純に忘れてるだけか。 作者さんの考え方、そして作品によりけりです。身も蓋もない回答で申し訳ないです。
自作品を客観視してクオリティ向上に繋げる、かつ自己嫌悪や改稿の袋小路に陥らず息長く創作するには、どうすればいいでしょうかね?
すごく難しい質問ですね。私なりの答えですが、自作品のクオリティを上げるなら書き上げてから一ヶ月以上その作品を見ないようにするのがいいと考えています。 毎日作品と睨めっこしているとその作品のいいとこも悪いとこもよくわからなくなってきます。自分自身がその作品の細かい部分を忘れちゃうくらいに間を置いて見直すと、客観視しやすいです。
また、書き上げたばかりだと大きな改稿をしたり不必要な場面を削除したりするのに「もったいない」という気持ちが少なからず出てきます。 時間を置くことで「ここは不必要だから消すべき」という判断もちゃんとできますし、「もったいない」気持ちも薄れます。最初から完璧に書ける人はいないはずですし、プロの人たちだって何度も推敲して本を出しています。書き上げた瞬間に納得はいかない場合でも「初稿はこんなもんだろう」と一度切り上げるのも大事です。息長く創作するためには、ひとつの作品にこだわりすぎずどんどん新作を書いていくのがいいと思います。新作を書くことで見えてくるものもあるはずなので。作家としての武器になるもの(得意なもの)が見つかりません。 蜂賀さんは見つけていますか。見つけていたら、どのようにして見つけましたか。
自分もまだまだ未熟なので「武器を持ってます!」とは正直言えません(笑)。
でも、武器は見つけるものではなく作るものだと考えています。
自分は小説を書き始めて1年間くらいは色々なジャンルをショートショートで書いてみて、それぞれの感触を確かめていました。その結果、児童向けの作品を作りたい自分に気づき、今があります。
頑張りたいと思うもの、書いていて結果がでたもの、楽しいと思うもの、その全てが武器になり得ます。
色々試して見つからないと迷うのならば、視点を変えて「どんな武器を作りたいか」で考えた方がいいかもしれません。武器なんてなんぼあってもいいですからね。