せきしろの自由律俳句 第97回「景色」結果発表 (2/3)


第 97回 課題: 景色
佳作
三年生になり高い窓
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)
喧嘩した日に車窓から見つけた喫茶店
(大阪府 つま先式部 19歳)
新幹線窓から見る我が家
(福島県 きりんのき 23歳)
電車から見えたはずの店が遠い
(愛知県 鹿むら 30歳)
無機質な街で蚊に刺される
(岐阜県 場外 54歳)
どの景色にも人骨が埋まっている
(埼玉県 一の橋 世京 66歳)
絵葉書より寒い
(神奈川県 石井健琉 18歳)
国道跨ぐ歩道橋から街
(埼玉県 こせきり 19歳)
田の真ん中の校舎へ通う太陽
(愛知県 ウリ坊 17歳)
結局はカメラマンの腕がすごかったのだ
(東京都 めめめい 17歳)
遠くの雨がまだこちらへ届かない
(広島県 箭田儀一 19歳)
墓標乱立す祖母は何処
(広島県 ばらし屋貧子 22歳)
人に見せる用の風景も撮る
(大阪府 反時計 25歳)
飛行機大きく傾いて窓の外が海
(東京都 原茉梨花 26歳)
二度とない景色が右へ流れる
(千葉県 ような恵 27歳)
小さなベランダから小声でたまや
(北海道 エリンギ 37歳)
病気がわかった日の晴天とデニーズ
(新潟県 あさ 38歳)
サル山をバックに澄ましている
(東京都 増田鹿 44歳)
吐く息と重なりより白く川霧
(北海道 下小路智之 48歳)
故郷の景色は切り干し大根の匂いがする
(栃木県 パンダ 64歳)
『三年生になり高い窓』
私が通っていた学校は三階建てで、学年があがるごとに階もあがっていった。三年生になった春を思い出させてくれる句。
『喧嘩した日に車窓から見つけた喫茶店』
良さげな喫茶店であり、いつもならすぐに報告するのだが、今は喧嘩中であるからそうもいかない。しかし仲直りのきっかけにもなる。
『新幹線窓から見る我が家』
今まで考えていなかったが、たしかに新幹線から自宅が見える人もいるか。ちなみに私が前に住んでいた家は中央線から見える。
『電車から見えたはずの店が遠い』
知らない駅に近づき、宿泊予定のホテルが見えて、まあまあ近いなと思ってもそうではないことは多々あるものだ。
『無機質な街で蚊に刺される』
そういうこともあるのだろうが、そういうことはなさそうだと思ってしまう。
『どの景色にも人骨が埋まっている』
骨という単語の強さ。さらにそれより強い人骨という単語。単語は知っておいて損はない。
『絵葉書より寒い』
絵葉書より綺麗と言うときもあればその逆もあるものだ。この句は視覚ではなく体感であるのが良い。
『国道跨ぐ歩道橋から街』
実家の近くはまさにこれで、歩道橋からいつも国道沿いの店を眺める。靴流通センターが見える。