戦後80年の夏、注目の直木賞作家が描く女性科学者の生涯 - 『翠雨の人』が発売前重版の快挙
- タグ
- 報道発表


今夏、文学界で大きな話題を呼んでいる作品がある。伊与原新の直木賞受賞第一作『翠雨の人』だ。7月30日に新潮社から刊行されるこの小説は、戦後80年という節目の年に注目を集め、異例の発売前重版が決定した。
『翠雨の人』は、「猿橋賞」の創設者であり、国際的に活躍した科学者・猿橋勝子の生涯を描いた長篇小説である。紫陽花と雨を愛した少女が、歴史に名を残す偉大な科学者へと成長していく姿を、丁寧に紡いでいく。
1920年東京生まれの猿橋勝子は、日本初の女性のための理系専門学校を卒業後、中央気象台研究部で研究を重ねた。1954年のビキニ水爆実験による放射能汚染の実態解明に取り組み、その研究成果は後に核実験の抑止に大きな影響を与えた。また、1980年には「女性科学者に明るい未来をの会」を設立し、第一線で活躍する女性科学者を表彰する「猿橋賞」を創設した。
著者の伊与原新は、神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院で地球惑星科学を専攻した経歴を持つ。科学的な知識と文学的な才能を併せ持つ伊与原氏だからこそ、猿橋勝子の生涯にわたる科学への情熱を鮮やかに描き出すことができたのだろう。
戦時下で科学と戦争の関係に疑問を抱き、戦後は核実験の危険性を世界に訴えた猿橋勝子。彼女の生き方は、現代を生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれる。科学技術が急速に発展する今だからこそ、この作品が多くの読者の心に響くのではないだろうか。
『翠雨の人』は、ハードカバーで全国の書店にて販売される。定価は1,980円(税込)。ISBN:978-4103362159。科学と文学の融合が生み出す感動を、ぜひ体験してほしい。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002232.000047877.html