【思いつきで書いて挫折していない?】小説の書き方入門! テーマの重要性と物語設計のコツ


小説を書くコツ①全体を設計しよう
小説は書いている時間より考えている時間のほうが長い。書き出してからつまずかないように、設定の部分については事前に煮詰めておこう。
土台や骨組みは、書く前に決めておく
まず、書く前には、ある程度の準備が必要だ。準備とは、何を題材に、どんなストーリーにするか、どんなジャンルで、枚数はどれくらいかといったこと。
あまり詳細に決めすぎるのもよくないが、全くのノープランでも挫折する。家で言えば土台や骨組みのところは決めておきたい。
小説の設計─ 事前に考えること ─
テーマと題材
テーマについて時間をかけて熟考しておきたい。それが深さを出す。題材はなければ始まらない。
ジャンルと枚数
応募する場合はジャンルの意識は持っていたい。
枚数も決めておかないと書き方が決まらない。
人称と視点
一人称か三人称か、三人称でも一視点か、全知
視点(神の視点)か決める。途中では変えない。
ストーリー(プロット)
書き出し、結末、中継点ぐらいは決める。細かい
運びまで考えてもいいが、柔軟に考えること。
登場人物
人物のキャラを考える。キャラはかぶらないこと。
書きながらキャラを決めていく方法もある。
テーマを探すには、寝転がって見ること
題材やストーリーは、入れもので、中にはテーマを入れる。テーマとは作品を通じて伝えたいことで、作者の発見でもある。大仰なものでなくていいが、一面では真理であってほしい。
薄井ゆうじさんに「蠍座カレンダー」という小説がある。
旅人は赤い蠍を踏んでしまい、赤い蠍はお返しに旅人を刺し、7日以内に青い蠍に刺されないと死ぬと言う。旅人は青い蠍を探しあてるが、青い蠍は敵でないものを刺すことはできないと言う。助かりたければ、「本気になって俺を殺す気でかかってこい」と言う。旅人は罪のない青い蠍を殺す気になれず、一人死を待つ。これが題材。
同作には、最後にこうある。
「人はみんな生まれた瞬間に蠍に刺された。いつ毒が回ってくるのか、誰も知らない。毒を回避するために誰かを恨んだり殺したりはできない」
これがテーマだ。このテーマは、物事を真正面から見ても探せない。寝転がって見るようにするのがコツ。寝転がると、物事は違って見える。普通は見えないところが見えてくるというわけだ。
そうして発見したテーマは実際には書かないか、書いてもさりげなく書いて、読者に察してもらうようにする。つまり、読者が自分で気づいたと思わせる。手柄を譲る。そうしないと読者はテーマを押しつけられた気になる。
心が動いた局面に書くべきテーマが
「寝転がって見る」というのはもちろん比喩で、当たり前のように見ず、横から斜めから、時には後ろから見るということだが、それでは漠然としているので、もう少し手がかりが欲しいところだ。
何か月、何年も考え続けても関心があり続けるテーマは、自分にとって切実な問題、心の問題でもあるはず。そうした心の問題が発生する局面は、家族、人間関係、職業、生命などにかかわるときが多い。
テーマはこれらの局面ですでに発見していることが多い。それに気づいたら、読後にテーマが自然と浮かんでくる出来事を考える。これが題材やストーリーになる。

テーマ探しのヒント
なんらかの危機に遭遇したとき、人はそこにテーマを発見する!
家族(結婚・出産など)
結婚あるいは未婚、非婚、出産あるいは不妊、家族の崩壊、夫婦のすれ違いなど
人間関係(ケンカ・いじめなど)
親友との仲たがい、誤解、ご近所トラブル、同窓会、いじめ、セクハラなど
職業(就職・定年など)
就職難、ブラック企業、脱サラ、同僚とのトラブル、定年、再就職、起業など
生命(死別・病気など)
死産、死別、葬儀、法事、ペットロス、心の病、死の病、病院、介護、戦争
物語構造の基本
物語は、基本的に「行って帰ってくる」という構造を持つ。『桃太郎』も村に帰り、『浦島太郎』ももとの海岸に帰ってくる。
主人公に何か欠落した部分、欠陥がある場合は、それが回復することで結末となる。主人公に目的がある場合は、それが実現することで結末を迎える。
ただし、『桃太郎』で、鬼退治という目的を強調した場合、それが実現すれば帰還しなくても物語は成立するし、目的が実現することをにおわせたところで終わりにするバリエーションもある。
ストーリーを考えるときは、第1ターニングポイントと第2ターニングポイントで物語を展開させる出来事を起こす。また、ミッドポイントでは物語を結末へと向かわせる出来事を起こす。
主人公には目的を任命する人や実現に協力する相棒を配し、実現を阻む多数のトラブルを設ける。

※本記事は2018年10月号に掲載した記事を再掲載したものです。