公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

「ー」と「―」の違い、分かる? 読みやすく整える推敲術:構成・文脈・表記まで完全ガイド

タグ
小説
バックナンバー

完成に近づけるための推敲の技術と最終チェック

最初に書き上がった原稿を第1稿と言う。「やった、終わった」と言いたいところだが、ここでの完成度はまだ70%ほどでしかない。ここで終わると佳作止まり。推敲で完成度100%に近づけよう!

STEP1 テーマと構成を推敲する

大改修が起きそうなところから修正する

推敲は、大改修になる可能性があるテーマと構成の確認から。

コツは、速読する感じでささっと読んでいくこと。展開はスムーズか、流れはどうかなど、ストーリーだけを追っていく感じだ。

このとき、読後にテーマが浮かんでくるかを確認する。浮かんでこないなら、それは構成に問題があるはずだから、そこを直す。

場合によると大改修になるが、コレが済んだら、テーマと構成以外に、大きなミスがないか確認しながらもう一度通しで読む。

たとえば、ゾンビから血が噴き出るという場面があるとして、それが死体なら血圧がないので血は噴き出ない。こうした話が成立しなくなるような矛盾を直したり、納得できる説明を入れたりする。

推敲のコツ
全体を大局的に見ていく。起承転結の関係、流れ、話の運び、大きな矛盾などをチェックする。細部を見ないようにするのがコツ。

必須チェック項目
1.展開はスムーズか
2.必要ない場面はないか
3.テーマが浮かぶか
4.大きな矛盾はないか

STEP2 文脈と表現を磨く

段落と文章についてチェックしていく

全体的な推敲が済んだら、今度はもう少し部分を見ていく。

たとえば、ある場面に3人いて、突然2人になっているとか、前半では髪が短かったのに、後半では長髪になっているなど、場面間に矛盾がないか確認する。

また、文と文の関係、説明や描写の分量、順番、場面のスピード感、一文の係り受け関係、文章のリズムなどをチェックする。

ここでやることは、主として段落のチェックと文章上のチェックになる。音読する場合もある。

推敲のコツ
段落としてのまとまりや、一文の完成度などをチェックする。文節ごとに係り受け関係や語順を確認し、音読して文章のリズムを整える。

必須チェック項目
1.段落と段落のつながりは適正か
2.文と文の関係は適正か
3.描写や説明の仕方、分量は適正か
4.一文の文脈はよじれていないか
5.文章のリズムはどうか

STEP3 語句や約物を確かめる

1文字1文字を記号として見ていく

最後は文字や記号などの推敲。このときは、文章は〝読まず〞、1文字1文字、記号として見る。

たとえば、「口」と「ロ」。前者は漢字、後者はカタカナ。記号についても同じ。「ー」と「―」。前者は音引きと言われる長音を示す記号、後者はダッシュという記号。これらは文章として見るのではなく、記号として見ないと見逃す。

また、テニヲハやテンの位置、語順、送り仮名や使用漢字についても、「間違っているかも」を前提にチェックしていく。

推敲のコツ
表記や表現など細部を確認していく。文字や記号は一種の絵として見ていくと誤記に気づきやすい。「人は間違うもの」を前提に校正する。

必須チェック項目
1.テニヲハは適正か
2.句読点、語順は問題ないか
3.送り仮名は正しいか
4.熟語や固有名詞は間違いないか
5.表記の不統一はないか

※本記事は2018年10月号に掲載した記事を再掲載したものです。